【沖縄からの通信】

1・13〜21

 イラク攻撃阻止!沖縄民衆は何ができるか

   バグダッド行動団を派遣


 十二月二十三日、沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会は、「止めよう イラク攻撃・嘉手納基地第一ゲート前座り込み行動」を行った。この行動は、十月十八日の市民集会から一月十三日〜二十一日のイラク攻撃反対・バグダッド行動へいたる一連の諸行動の一環であった。
 嘉手納基地前のこの12・23行動には、「嘉手納基地から出撃するな 」「石油強奪をやめろ」「アメリカこそ最大のテロリスト」「ブッシュの大量虐殺をとめよう 」など、それぞれのアピールを掲げて約二〇〇人が参加した。
 凧(たこ)をあげている子どもたちもいるが、傑作は、建築士・真喜志光一さん作の大バルーンによるアピールであった。
 多くの人びとが意見表明を行った。その中でも、国場盛徳さんのスピーチが印象深い。 国場さんは一九二〇年代生まれの復帰協、沖教祖の元指導者だが、アコーディオンを持って現れ、『沖縄を返せ』の合唱をリードした。そして「私たちは、他国の民族を平ちゃらで殺せるよう教育された。今のアメリカはそれ以上だ」と述べた。
 平良夏芽牧師は、「ブッシュはアメリカの、その家族の中では、よき父であるが、その彼の一言によって、自動的に大量虐殺を行うことができる。アフガンでやったし、イラクでもそれをやろうとしている」と指摘した。
 中部周辺の人びとが多い。中部の大長老、連絡会事務局長の崎原盛秀さんも奮闘している。老人、女性、青年たちが自由に発言し、新しい時代の市民運動の発展を作っていく雰囲気がただっている。
 バグダッド派遣の行動は、十一月二十七日の「アメリカのイラク攻撃=戦争を阻止するために沖縄で何ができるか」集会で最終的に決定された。
 続いて、沖縄各地でのイラク写真・パネル展が開始され、九一年湾岸戦争以降の米軍劣化ウラン弾被曝に苦しむ子どもたちなどの状況が伝えられた。
 十二月十五日、嘉手納基地包囲道ジュネー(車輛等によるデモ)が行われた。
 一月十一日は、県庁広場座り込みから国際通りデモへ。
 一月十三日には、那覇空港で激励会が行われ、バグダッド行動団が出発する。島田正博(那覇市議)団長ら七名である。

 一月十八日、イラク攻撃阻止世界同時行動のこの日には、バグダッド行動団のイラクでの行動と同時に、嘉手納基地第一ゲート前座り込み(第二波)行動をたたかう。(午後二時半〜五時)
 平和市民連絡会をはじめとする沖縄民衆のイラク攻撃阻止のたたかいは、バグダッド行動団の準備を軸に、大車輪で展開されつつある。
 なお、バグダッド行動の「趣意書」は次のように述べている。
 「私たち沖縄は自らの意思とか関わりなく『民衆殺りくの基地』を支える役割を強いられ続けてきました。再びアメリカがイラクに武力攻撃をしようとしている時、私たちはこの現実をしつかり認識しなければなりません。」
 「私たちは沖縄での闘いを結合し、攻撃対象となっている現地バグダッドの地に立って、沖縄戦をはじめとする自らの歴史的経験と現在の闘いをアピールし、イラク民衆との直接的連帯の出会いを実現することが、現実感をもってイラク攻撃や沖縄基地の存在を考え、行動するうえでぜひ必要であると考えました。」
 「この行動に対しイラクのフセイン政権を支援するのか、との疑問があるかもしれません。私たちの立場は、国家や政権に関わりなくそこで生活し、戦争によって最も被害を受ける民衆との直接的な出会いを通した反戦平和・非暴力不服従の連帯です。‥‥多くの制約があることが予想されますが、私たち派遣団はこの立場を貫きます。」
 これらの運動は、これまでの沖縄革新運動にみられた悪習を取り払い、沖縄の反戦平和運動・市民運動の新しい発展につながるものともなるだろう。
 一つは、これまでの運動は、政党本土系列化の下、民衆運動に水をかけ、足を引っぱる悪習がまかり通っていた。「〇〇党の〇〇センターがあいさつするなら、××党の××委員会もやらせろ」などなど、党派の支配・干渉を消滅させて、無条件に民衆運動の発展を支援する思想を構築するべきである。
 もう一つは、全世界とのつながりということである。
 かつて復帰運動のある時期、アメリカはベトナム戦争の泥沼化によって、アジア戦略の変更、沖縄の日本への返還を余儀なくされていたのであるが、復帰運動の指導部でさえもが、「アメリカが沖縄を返すはずがない」という迷信から逃れきれなかった。
 それは、「渡航の自由」を奪われ、目をふさがれ、ボイス・オブ・アメリカ、琉米親善の下に置かれていたことにもよるが、復帰運動も沖縄人だけのものだとする「井の中の蛙(かわず)」的思考があった。復帰運動を、世界人民の運動の歴史的発展の中に位置づけようとしない、主体的な限界があった。
 私たちは、島ぐにの狭あいさを払しょくし、全世界とつきあわなければならない。
 一月十八日には、全世界の大都市で壮大な反戦デモが計画されている。私たちは国境を超えてこれに連なり、アメリカの殺りく基地のど真ん中にいる沖縄人が、ついにはその基地を撤退させる──。
 全世界の市民とともに、イラクの攻撃を阻止しよう   (T)