≪2003年 各界・新年メッセージ≫

 

歴史的大危機に血がさわぐ
                     樋口篤三


 拙著『めしと魂と相互扶助』(第三書館)が、日本労働ペンクラブ賞(〇二年度)をうけました。「新たな戦前」といわれる右への流れに抗し、左の旗をたててオルグ一筋だったので、ペンで受賞とはいささか驚きです。
 歴史的な大危機に血がさわぎます。大手術をのりこえて地域社会・東久留米市では、市民運動の仲間達と有事法制反対デモ二百人、学習会(竹岡元防衛庁官房長)七〇人。五年目の「しみん」新聞、NPOファミリー、新たに市職労と組んで市民自治研究センターを起ちあげ。
 十年来の協同社会への道は、中西五洲「社会的企業」提起をうけて、労組─生活・生産協同組合との「協同」「市民自治」「労働者自治」の実践をめざしています。
 三池写真展は、成功し新たな連合への前進にみな意欲的です。
 キューバ連帯は、新段階をむかえ相互の広がりが拓けそうです。「北の巨人」の強まる主権侵害、イラク戦争ノーの闘いもさしせまっています。
 二〇〇三年を前進の年に!

 

共産主義運動の真価が試される
        共産主義者同盟首都圏委員会 畑中文治

 労働者共産党の仲間と「プロレタリア」読者の皆さんに、階級的連帯の熱い思いを込めて、新年の挨拶を送ります。
 今、私たちはかつて経験したことのないと思えるような政治的、社会的、そして人間的精神の強い緊張の中で毎日を過ごしています。私も、いたずらに馬齢をかさねて、この社会の歴史的過渡や転換、資本主義の没落とプロレタリアートの主体的危機について言及したことはその回数において決して人後に落ちないと思っています。しかし、私たちが直面している事態は、これに考えを及ぼすとき、名状し難いとしか言いようのない不安にとらわれることがしばしばあります。
米・英帝国主義が着々と準備を進めているイラク攻撃については言うにおよびません。帝国主義者のあからさまな欲望と行動が示されることは今に限ったことではありませんが、恐るべきは、その結果についてどのようなヴィジョンも見えないことです。焦点となっているのは、近代帝国主義の生成によって政治的秩序としての中東諸国体制が築かれた地域の、しかもパレスチナとならぶ重みのある地域です。しかもそこは、今日の世界の主要なエネルギー資源の最大の保有産出地域です。フセイン大統領の首の挿げ替えによって事を収めようとする動きも出始めていますが、ここを戦場にしてその後の混乱にどのような秩序が現れるのでしょうか?
 アジアの東の端における事態も深刻です。わが国を含むこの地域では、朝鮮半島をはじめとして第二次帝国主義戦争の諸結果についての清算と、それに続く冷戦体制を終焉させることが未だできていません。以後五〇年に及ぶ国際的政治環境の変化と経済社会の進展によって、事態はこじれにこじれています。ここでも恐るべきは、当事者相互が、軍事的解決を叫ぶところにきていながら、問題を解決しようとする国家的ヘゲモニーがどこにも見えないことです。
 わが国においてもまたしかりです。政治、社会、経済の改革が叫ばれて以来一〇年を越える時間が経過しています。一体何が変わったのでしょうか?新自由主義と新保守主義との癒着については驚くに当たりません。それはあたかも、天皇主義とアメリカ主義との野合によって出発した日本国家の戦後をおさらいしているように見えます。問題なのは、支配階級の政治的発言においてすら、そんな二番煎じではもはや通用しないというほどの見識が見受けられないということです。日本国家の忠実な反対党としての新旧左翼にあっても事情は同様です。
 こうした状況にあればこそ、共産主義をめざす私たちの運動の真価が試されることになります。決定的な非力を日々感じながらも、私たちの等身大の生活そのものによって、希望をつないでいくことになるでしょう。そうした中で、労働者共産党の仲間達の存在は、私にとってはかけがえのない支えの一つです。小異をないがしろにせず、かつまた主義主張をともにして、しかも一党一派を超えて少なからずの顔と生き方を、懐かしく親しく思い浮かべることのできる仲間を持つことは、このうえもない身の幸せです。皆さんのいっそうのご活躍とご奮闘を願ってやみません。私もまた、皆さんとともにする大義に向かって限られた力を惜しまない決意です。共に闘わん。

 

共に活路を拓こう 

      貴党への賛意と意見

       『カオスとロゴス』編集長 村岡 到


 あなた方の機関紙に挨拶を表明する機会を与えていただき深く感謝しています。貴紙を知ったのはかなり以前ですが、ずーと昔に安斎庫治さんと一度何かの会合で同席することがあった程度でした。近年、貴党の堀込純一さんと親交を得て、彼の高い問題意識と旺盛な理論活動に学ぶところ大です。
 折角の機会ですから、日頃、貴党について感じているところを率直に伝えたいと思います。
 まず、憲法問題について、便宜主義的にではなく、綱領的次元で真摯な組織内討論を展開し、かつ公表していることに敬意を表します。また、社会主義への展望との関係で、非武装を方向づけたことも、左翼の共通認識にすべき提起だと考えます。
 ただ、この問題とも関連すると思いますが、国連の位置付けと役割については、なお一歩ふみこんで、従来の左翼の常識──国連はアメリカ帝国主義の道具にすぎない──を検討してほしいと思います。現下の政治情勢との関連でも、アメリカ帝国主義によるイラクへの先制攻撃について、国連安保理決議1441の評価について、アメリカ帝国主義の先制攻撃戦略と対立する面をしつかり見る必要があると、私は考えますがどうでしょうか。カストロが国連総会で火を吹くような演説をしたことがありますが、私たちに必要なのは第二第三のカストロであり、国連の活用だと思うのです。
 もう一つ、貴党の主張で、全体の運動にとっても有効であろうと思われるのは、いわば底辺労働者の組織化を明確に追求しているところです。特に野宿労働者の課題で、生存権に踏まえた実践的方針を提起している点は先駆的だと考えています。
 それから、最近、「編集部だより」というコラムが設けられ、いわば「顔の見える」機関紙への努力が払われるようになったことも好ましいことだと思います。願わくば、さらに貴党の中心的メンバー=役職付きの方について、非合法党建設の時代ではないのですから、公表していただいたほうがよいのではないでしょうか。
 また、以前に映画評が掲載されたことがあり、注目していました。この方面でも新しい試みに挑戦してほしいと希望します。
 日本の情勢は、閉塞感が深まる停滞期と言えるのでしょうが、どこに活路があるのか、互いに努力して見つけ出そうではありませんか。貴党のさらなる前進に期待しています。

 

社会主義運動の新しい地平を共に

              ワーカーズ・ネットワーク 阿部 治正

 現在の日本の政治闘争は、新自由主義的改革派とそれへの抵抗勢力という、保守勢力同士の間で闘われているかのように見えます。もちろん、改革派と言い抵抗勢力と言い、どちらも労働者・民衆の犠牲の上に資本の繁栄、資本の利益を追求せんとする勢力であることは言うまでもありません。
 「左翼」勢力はというと、改革を主張する時には新自由主義に、勤労者や弱者の利益擁護を叫ぶときには抵抗勢力にお株を奪われるという始末で、いずれの面でもブルジョア政治の枠を大きくは突破できないていたらくです。
 とりわけ北朝鮮問題への対応では、北の反労働者的な国家資本主義体制への批判を明らかに出来ないまま、小手先の評論や弁解でお茶を濁すことによって、金正日体制とともに労働者大衆から最後的に見放されつつあります。ソ連圏の崩壊の時にも既成の新・旧左翼は打撃を受けましたが、遠い国々での出来事のゆえその場しのぎの小理屈を弄してやり過ごすことも出来ました。しかし北朝鮮問題は日本に住む(在日も含めた)労働者・民衆にとってきわめて身近で切実であり、不誠実なごまかしに終始する勢力には、徐々にしかし確実に、ボディーブローのようなダメージを与続けずにはおかないでしょう。
 社会経済の未発展な国における、政治・軍事エリート主導の、国家権力や陰謀などに大きく依拠して行われた過去の諸「革命」への過大な幻想は、今こそ最後的に払拭すべきなのです。
 社会主義・共産主義はもともと、労働者大衆自身の手による自己組織化、自己統治の事業です。一人ひとりの労働者が資本との闘いのなかで自らの自立を追求し、労働者同士の連合や協同を発展させながら進めていくべき新しい社会づくりの運動です。それは上からの指令や命令など外在的な力によって推進されるのではなく、労働者自身に内在する力の発現としての、自立した労働者たちの自由な連合を基礎にして成長・発展していく運動です。スターリンや毛沢東や金日成のそれはともかく、マルクスの共産主義理論の積極的な要素は、以上のことを明らかにしえたという点にこそあります。
 日本の政治闘争がもっぱら新自由主義的改革派と改革慎重派・抵抗勢力との間で闘われているかに見える不毛な状況を終わらせ、労働者・民衆の独自の勢力を力強く登場させる必要があります。そのカギとなるのは、「自立した労働者の自由な連合」「アソシエーション」の思想です。こうした立場に立脚した社会変革の戦略や諸要求やそのための組織を早急に作りだしていく必要があります。
 既成左翼の因習的思想を乗り越えんとする姿勢を見せている労働者共産党のみなさんに敬意を表したいと思います。新しい社会主義運動の地平をともに切り開いていきましょう。



日本社会主義共和国の樹立

    日本共産党(ML)全国準備会議長 北川 哲也

明けましておめでとうございます。
高知と東京では遠くて思うように交流ができませんでしたが、本年9月には私たちの全国準備会の事務所を東京に開設し、全国向けの中央機関紙の発行を開始する予定です。そうなれば、2つの共産党が頻繁に交流しながら、理論と経験を交流し日本革命運動の先頭に立って斗うことができるようになると思っております。いかなる大衆斗争も革命的前衛党がまず斗わなければ、大衆斗争は発展しないのです。労働者共産党と日本共産党(ML)の2つの共産党が意志と行動を統一して、日本人民斗争の先頭にたつということは日本革命運動における歴史的な段階を迎えることになると確信しております。
 プロレタリア独裁の国家、日本社会主義共和国の樹立と万国のプロレタリア、被抑圧諸民族団結せよのスローガンを高く掲げて前進しましょう。

 

反空港闘争の今後に向けて

   泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会 阿部 陽一

 三十七年前の四大航空機事故を契機に、一九六七年から始まったこの国の空港整備計画は、その後約五年間隔で引き継がれ、今年三月終了予定の7空整にまで現在至っている。投資予算は当初の三〇倍に膨れ上がり、そして空港数も約二倍の百近い空港が全国に配置されている。
 しかしその実態はといえば、首都圏羽田への一極集中が解消されるどころか、地方空港の新設に伴い、ますますその過密度合いは年々ひどくなっている始末である。その反面、赤字まみれの地方空港は増え続け、地元自治体にとってのお荷物状況に拍車が掛かっている。
 そういう場当たり的空港推進計画が展望もなく長らく進められて来たが、今春からさらに第八次空港整備計画が新たに始まろうとしている。国交省交通政策審議会航空分科会が十二月六日に打ち出した8空整最終答申によれば、羽田再拡張事業を中心として、成田・関西・中部三国際拠点空港整備が重点課題とされている。
 一方、地方空港は、新千歳、福岡、那覇等準拠点空港及び離島を除いて、ほぼ切り捨て状況となっている。「伊丹を縮小すれば、旅客は関西新空港に流れる」というのが役人の考える姑息な目論みではあるが、利便性のよい空港を縮小して借金空港維持という方策には、どの角度から見ても整合性はない。成り振り構わぬこのゴリ押し方向の延長線上には、歴史を紐解けば、空港の抱える宿命としての軍事空港しか残らない。
 折しも十年前の湾岸戦争同様、イラク攻撃Dデー目前という渦中において、空港反対闘争もまた地域闘争を超えた反戦・反拠点闘争としての構えが要求されてもいる。世の中不景気になるとキナ臭くなり、それゆえ過去の戦争のほとんどが経済戦争である。そして空港が真っ先に出撃拠点として軍事使用されて来た経緯や、この国のアメリカ追従姿勢からも、空港反対闘争の意義は決して小さくはない。
 そんな気概で今後の活動を取り組むべく、新年の決意としたい。共に頑張りましょう!