「反空港全国集会inしずおか」に全国七反空港運動が

 共通性大事に闘いの連携を


 十一月二十三、二十四日の両日、静岡で「反空港全国集会inしずおか」が行われ、全国から約二百名が参加した。
 この行動は昨年、関西各空港に反対する地元の呼びかけで、伊丹・神戸・関西新空港の実踏調査と会議が行われ結成された反空港全国連が主催し、地元静岡空港に反対する「空港はいらない静岡県民の会」が共催の形で実質準備をして行われたものである。二十三日は、静岡市の静岡労政会館で集会が行われ、翌二十四日は午前の会議のあと、約四〇名が「静岡空港建設予定地」の現場視察と地元地権者との交流会が行われた。
 一日目の集会は、午後一時半より、「空港はいらない静岡県民の会」共同代表の佐野慶子静岡市議の司会で始まった。まず県民の会の共同代表島野房巳さんが基調報告を行った。 
 基調報告では、「巨大な税金のムダ使いが目に余る公共事業の一つとして、各地の高速道路、ダムや干拓事業等と並んで空港の建設があります。旧運輸省は建設省および農水省と合わせて公共事業の大半を所管してきましたが、そこでは、権力の独善と横暴が遺憾なく発揮されてきました。その頂点をなすものが新東京国際空港の建設にあたっての用地の選定であります。」とし、成田、関西等各地の空港建設の概況を報告し、デタラメで強権的な官僚行政による航空政策・空港整備計画と、官僚・族議員たちがドップリ漬かってきた「甘えの構造」を厳しく批判した。
 更に現地静岡空港建設が、用地取得、需要予測、財源等において行き詰まっている現状を報告し、「途方もないムダつかい、決定的な環境破壊、住民の生活破壊等の上に立って、権力とゼネコンが地域住民・国民を苦しめる、誤った非民主的で有害無益な公共事業の典型であります」と断罪した。
 そして、「各地で反空港の運動を展開している私たちが目標とするところは、あるいは空港計画そのものの中止撤廃であり、あるいは航空機騒音の拡大阻止と問題の抜本的な解決であり、あるいは空港の軍事利用の阻止でありと、それぞれに切実且つ緊急な課題であります。私たちがこれらを一本化した要求として行動に移していくことは容易ではありません。しかし、私たち反空港の運動を貫く共通項があります。それは航空機・空港問題において、上意下達の押し付けをもって、政治・行政と資本が市民の安全と平和な生活を脅かす卑劣低劣・暴虐無道に対し、自由にして勇気ある市民として抵抗し、その廃絶を要求するということであります」と結んだ。この基調に、三里塚、関西新空港建設の反対運動と、各地方空港での闘いを貫いて反空港の闘いが結びつく必要性と必然性が明確に述べられていた。
 集会は、地元の原よう子衆議院議員や細野豪志議員、津川祥吉議員等の特別報告や国土交通政策委員会での質疑の報告があり、静岡空港設置許可取消しなど二件の裁判について藤森克美空港反対訴訟弁護団弁護士が報告を行った。住民投票直接請求で三十万人の署名を集め、県知事選を闘い、今、現地で千名の共有地地権者運動を展開している県民の会のしっかりした運動が支えになって、裁判が行われている事が伝わってくる集会となった。 
 続いて全国各地からの発言に移った。神戸空港からは神戸市議の恩田怜さん。沖縄の新石垣空港については八重山・白保の海を守る会の生島融さんが、白保の美しいスライドを使って報告を行った。更に羽田空港を監視する会の今井英男さん。三里塚芝山連合空港反対同盟の柳川秀夫さんが、「着陸不可」のビデオ上映で暫定滑走路の供用開始後のすさまじい騒音状況を報告し、固い決意を述べた。泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会の阿部陽一さん。中部国際空港建設見直しを考えるネットの村上誠治さん。そして最後に地元静岡の「空港に反対する地権者住民の会」の松本吉彦さんが、絶対に空港を作らせない決意を述べ、全国から七つの空港反対運動が結集し、報告し、フロアからの発言を交じえて討論が行われた。
 最後に、「静岡空港に関する特別決議」を行い、更に「十一・二三反空港全国集会宣言」を採択して四時間にわたる熱気のこもった集会を終えた。
 その後の交流会では、地元の太田川ダム反対運動、浜岡原発反対運動の代表よりの連帯のあいさつと現状報告が行われた。参加者から次々とあいさつが行われ、夜遅くまで交流が続いた。翌日の会議を通して、次回の反空港全国集会は、成田、羽田そして新石垣の闘いを結んでいる首都圏での開催を確認した。
 翌日は、約四〇名で静岡空港現地視察を行い、地元地権者の家族ぐるみでのトン汁の熱い歓迎をうけた。
 三里塚闘争、関西新空港闘争を両軸に長年闘ってきたが、全国の闘いを基礎に、共通性を大事にしながら闘っていく必要性を強く感じた両日であった。  (関西M通信員) 

 

三里塚

暫定滑走路供用即時停止11・17東峰現地行動

  北側延長・ジャンボ飛行反対


 「暫定滑走路供用即時停止!北側延長ジャンボ機飛行絶対反対!11・17東峰現地行動」が、三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会の主催で、十一月十七日午後一時半から現地東峰出荷場において、約一五〇人の結集でたたかわれた。
 じゃがいもの会の大原さんの司会の下、冒頭、連絡会の高橋さんによる「東峰を中心に木の根、横堀の闘いの団結をもって闘い抜こう」という基調提起を受けて、集会が開始された。
 このかん、空港公団総裁に七月就任した黒野は、「現行計画の範囲内で、二千五百mの平行滑走路の完成をめざす。しかし、また一方で北側に延長して二千五百mにすることも選択する方法の一つである」等と発言し、何が何でもジャンボジェット機が発着できる滑走路を建設し、東峰(三里塚)農民を追放しようという意図を現している。
 また扇建設国土大臣は、「本来の滑走路がベストであるが、反対派との和解が難しいならば、北側への延長でもいいから早く二千五百mの滑走路を作ってもらいたい」と援護発言をしており、また空港周辺の財界・地域利権集団の「成田空港早期完成促進協議会」も、「用地交渉が不調ならば、北側に延長してはどうか」等と要望決議をしている。
 また、ブッシュ政権がイラク攻撃の準備を進めているなか、このかん日本政府はPKO自衛隊派兵に成田空港をくり返し使用し、成田空港を公然と軍事目的化・軍港化している。また成田は周辺事態での米軍軍事使用のリストに入っている。
 このような情勢の中で、四月暫定滑走路開港阻止行動、七月シンポ等に引き続いて、東峰住民は、頭上四十m飛行の九〇デジベル騒音と排ガスまきちらしの中で、生活・農業を行ない、闘いぬいてきた。連絡会を中心に我々は、これらの三十年に渡る闘いに連帯し、本行動も闘われたのである。
 集会では最初に、東峰住民の石井紀子さんが、「十一月収穫祭を成功裏に終了した。飛行機が飛んでも生活はできる。日常的な闘いができる。むしろこのかんは台風の被害の方が心配だった。爺ちゃん(父・武さん)が病気でこられませんが、元気で闘いぬく」と力強く決意を述べた。
 東峰団結小屋の岩村さんは、「供用から七か月たったが、人間何とかなる。ちゃんと生活して闘える。」「公団は離発着を、南側よりも北側を考えて誘導しているようにみえる。これらを考えると、北側延長阻止!ジャンボ飛行を許さない闘いが必要である」と東峰真っ只中の闘いの決意を表明した。
 さらに労活評現闘の山崎さんが、「離着陸飛行で、島村さん宅の屋根瓦が壊れた。排ガス轟音が三百六十五日上空から来ている。」「黒野を弾劾し、ジャンボジェット飛行阻止、北側延長阻止、軍事空港反対の闘いを強めよう」と発言。さらにアタックジャパンの秋本さんは、ジョゼ・ボベさんの十月末の来日にふれながら、「反グローバリズムの闘いに連帯して闘おう」と国際連帯の中での三里塚闘争の位置についての、決意を述べた。
 それからただちに、北総台地を席巻するデモンストレーションとシュプレヒコールに移った。デモの途中で、病気療養中の石井武さん宅に向け激励の行動を力強く行なったが、この過程で許すべからざることに、権力は、二名の参加者を不当逮捕するという暴虐を強行してきた。
 デモの後、再び出荷場へ戻り、交流集会をもった。冒頭、山崎さんより、弾圧に対する抗議闘争の決意と、団結小屋の裁判についての報告とを受けて、怒りをもって反撃する意志統一を行なった。
 また加瀬勉さんが、三十数年にわたる三里塚闘争を振り返りながら、このかんのジョゼ・ボベさん来日連帯行動にふれつつ、「フランスのラルザックの闘いに学ぼう。反グローバリズムの国際的闘いを評価しつつ、フランスの闘いの伝統を学ぼう。我々も主体的に、大衆直接行動を闘おう」という趣旨の決意を述べた。
 このかん、静岡空港反対闘争を始め全国の反空港住民運動との連帯を強めてきた三里塚農民(反対同盟)は、諫早湾干拓反対の住民運動、愛知万博反対の市民運動などとも共闘を進めてきている。本日11・17の現地行動は、東峰の闘いを拡大強化するのみならず、全国の住民運動、反戦運動、国際的反グローバリズムの闘いとも連帯するものとして勝ち取られたのであった。(東京Y通信員)