全世界人民と団結し、米帝の戦争政策打ち砕こう

  イラク侵略戦争阻止を


 いま世界は、アメリカ帝国主義の理不尽な対イラク侵略戦争の開戦を許すのか、それとも阻止できるのかを巡って、緊迫する瀬戸際の状況にある。
 日本の労働者人民の直面する第一の課題は、アメリカ本国を始めとする世界規模のイラク戦争反対運動に合流し、米軍の海外侵略拠点であり、米国の最重要同盟国の一つである日本において「イラク戦争やめろ」「日本は加担するな」の大衆的行動を盛り上げ、米ブッシュ政権の戦争政策に重大な打撃を与えることである。そして、このイラク戦争を阻止する運動と一体のものとして、有事法制三法案の今秋臨時国会での廃案、対アフガニスタン戦争からの自衛隊艦船の即時撤退をかちとらなければならない。現在、インド洋で米艦船への燃料補給などを行なっている自衛隊艦船が、不法不当にも、そのままイラク侵略軍の後方支援に入っていく危険性が高まっている。

   戦争計画に抵抗高まる


 九月十二日、大統領ブッシュは国連総会で演説し、「サダム・フセインは少数民族を含む国民を抑圧している」とし、また「イラクは核・生物・化学兵器、長距離ミサイルの開発を続けている」、「アルカイダがイラク国内に逃げ込んだとされている」などを理由に対イラク戦争の正当性を訴えたが、その証拠も何ら示すことはできなかった。仮にそれらが事実であったとしても、なぜ最大の核武装国アメリカには、核疑惑があるとされる国に戦争を仕掛ける権利があるのか、なんの説得力もない。
 九月十六日、イラク政府は、査察無条件受諾を国連に伝えた。
 九月十九日、イラクのこの行動にも関わらず、ブッシュ政権は連邦議会に対イラク武力行使容認決議案を提出した。昨年9・11事件直後の対アフガニスタン武力行使容認決議案には、バーバラ・リー下院議員の一名しか反対がなかったが、この日、彼女を含む十八名の下院議員が決議案への反対を表明した。反対議員の拡大は、米国世論のブッシュ離れを反映している。
 九月二十日、ブッシュ政権は「米国の国家安全保障戦略」を発表した。このブッシュ・ドクトリンは、新しい長期戦略の中にイラク戦争を位置付けようとするものでもある。
 九月二一日、イラク政府は、米英が提出しようとしている国連安保理決議案の拒否を声明した。この安保理決議案はその実質、対イラク査察要求を開戦への段取りの一つとするもので、イラクの拒否は当然と言えるものである。
 九月二二日、ドイツ総選挙で与党・社民党が辛勝し、ドイツのイラク戦争への不参加が明確となった。ドイツはアフガン戦争では積極的に派兵したが、すでに湾岸戦争後のイラクには(ロシアやフランスとともに)石油開発の利権を持っている。フセイン体制の転覆は米国の国益には適っていても、ドイツの国益に適っているわけではないという訳である。
 九月二八日の土曜日、米国と英国の労働者人民は、イラク戦争反対の大規模なデモンストレーションを敢行した。ロンドンでは数十万、ワシントンやロサンゼルスでも共に万近くの人々が「石油のための戦争に反対」、「爆弾を落とすのではなくブッシュを引きずり落とせ」などを叫んだ。英ブレア政権とともにブッシュに最も協調的な小泉政権の日本で、大きな反戦行動を実現することは今や国際的責任と言うべき課題となっている。
 国連の査察委員会とイラク政府との協議は十月一日、九八年末以降中断している対イラク査察(中断した理由の一つは、国連査察団に米CIAが潜り込みスパイ活動を行っていたことが発覚したからであった)の再開について、一定の妥結をみた。しかし、米国が要求してきた大統領関連施設への査察については妥結の対象外となっており、予断を許さない状況にある。

  暴力的一極支配の新ドクトリン


 ブッシュ政権は、国連の査察は無意味である、安保理決議採択前の査察団派遣は認めない、イラクの査察受け入れは時間稼ぎにすぎないという態度を続けており、国連とイラクとの妥結結果に関わらず、イラク戦争を遂行しフセイン政権を転覆する権利が米国にはあるのだ、という傲慢極まりない態度を続けている。
 いまやアメリカ帝国主義の世界一極支配的覇権主義は、かっての米帝・ソ連社会帝国主義という二大軍事ブロックの世界覇権争奪による惨害に取って代わって、世界人民と被抑圧民族に計り知れない惨害を与える元凶となっている。その「悪の主軸」米帝の新綱領に当たるものが、先述の「米国の国家安全保障戦略」である。
 この新ドクトリンは次のように述べる。「ソ連崩壊と冷戦終結によって、我々の安全保障環境は根本的に変化してきた。ならず者国家やテロリストなど新たな脅威が現れてきた」、「米国は必要とあれば、単独行動をためらわず、先制する形で自衛権を行使する」、「米国と同等かそれ以上の軍事力を築こうとする潜在的な敵を思いとどまらせるのに十分な、強力な軍事力を持つ」。またNATO諸国、中・ロ、日本・韓国については「諸国家の連合を組織することで、自らの戦略を実施する」とし、とくに日本について9・11事件以降「前例のない水準の軍事的兵站支援を提供した」、「新しい課題に対処する柔軟性と即応性を持っていることを証明した」と褒めちぎり、今後のブッシュの戦争、先制攻撃への日本の更なる参戦をけしかけている。
 ブッシュにとって新ドクトリンの確証となるものが、イラク戦争である。これを阻止し、新ドクトリンを破滅へ追いやらなければならない。全世界の労働者人民・被抑圧民族人民と固く団結し、また米帝の一極支配に反対する世界の諸政府・諸勢力と連合し、対イラク侵略戦争を挫折させよう。