イラク侵略戦争阻止し、有事法案廃案へ

  米国は戦争をやめろ


 9・11事件から一年の現在、アメリカ・ブッシュ政権はますます戦争熱に浮かされている。アフガニスタン侵略戦争につづき、イラク侵略戦争の準備を中心とした世界各地での戦争に熱中しているのである。
 これは最早、いわゆるイスラム過激派の制圧を主眼とした対テロ戦争という域を越えて、アメリカ帝国主義の一極支配のために、同盟諸国を巻き込みつつ世界を暴力的に再編成する政治目的を持ったものとなっている。そのための邪魔者は、イスラム教徒であろうがなかろうが、また主権国家の合法政権であれ民間組織であれ、「自衛権」の行使と称して戦争の対象とするものである。「テロ撲滅」というイデオロギーの下、その実ブッシュ政権の戦争政策は世界のすべての労働者人民に矛先をむけているのである。
 米帝国主義のこの現在の動向は、なにも9・11事件から急にはじまったものではない。それは、米ソ冷戦終結以降のグローバル資本主義の進展のなかで形をあらわしてきた。労働者共産党の第二回大会決議は、それを「アメリカ帝国主義を主柱とする国際反革命同盟体制の再編成」と表現している。
 ブッシュ政権の戦争政策を明瞭に示す最近の事例は、米国防総省による今年一月の「核態勢見直し報告」に続く、八月十五日の国防報告である。
 米国防報告の特徴は第一に、「アフガニスタンでの戦争の重要な教訓は、米国の防衛には時には先制攻撃が必要ということだ」として、先制攻撃を強調している点である。そして「事前には何も排除してはならない」として、核使用の先制攻撃を選択肢に入れている。核態勢見直し報告では、イラク、北朝鮮、イラン、中国、ロシアなど七カ国への核使用計画の策定が含まれている。
 第二の特徴は、「テロが二十一世紀の唯一の脅威と信じる過ちを犯してはならない」、「地域大国が通常兵器などを使用して米国や同盟諸国に挑戦してくる可能性は排除できない」としている点である。対テロ戦争を越えて、地域大国に対する戦争を含めた統制を強調しているのである。
 こうしてブッシュ政権は、イラクなどが核ミサイルで武装しつつあると決めつけ、「テロ撲滅」と何の関係があるのかという同盟諸国の疑問と不調和を高めながら、当面イラク攻撃を主眼に準備しつつある。とくに国防長官ラムズフェルドや副大統領チェイニ―は、国連のイラクへの核査察は無意味であるとし、「核武装するまで先制攻撃すべきでないという声は、まったく誤りだ」という好戦論に立っている。あやしい奴は、さっさと殺せ、これがブッシュ政権である。しかし勿論、イラクが仮に核ミサイルを実戦配備し、かつ米国へまさに発射しようとしつつあるという状況でもないかぎり、米国のイラク攻撃は国際法の一切に反するものである。
 ブッシュ政権のこうしたイラク戦争準備は今、イギリス・ブレア政権と日本・小泉政権を別として世界中から浮き上がりつつある。アーミテージ国務副長官来日中の八月二八日、自民党幹事長・山崎が「対テロ特措法の範囲で協力するしかない」と暴言をはいた。しかしこの暴言は、米帝の戦争に日本の有事立法制定などが間に合いそうにない、という小泉政権の苦境を示してもいるのである。
 USA・ストップ・ウォーズの世界的反戦に合流し、今秋、有事法案を完全に葬り去ろう。