東京・中野

  虹と緑の第七回政策研究会

   来年3〜400人への拡大目標


 虹と緑の五〇〇人リスト運動の第七回政策研究会が東京・中野でおこなわれた。第一日目(八月二十四日)は、総会がおこなわれ、長時間にわたり、活発な討論が展開された。主要な議論のひとつは、「オープンテキスト」(私たちがすすめる政策というようなもの)第三次案をめぐるものであった。来年の統一地方選にむけては、五〇〇人リスト運動の再挑戦とし、三〇〇人から四〇〇人への拡大を目標としているようである。
 第二日目は、一般参加者も集い、龍ヶ崎市議の披田信一郎さん、小金井市議の漢人(かんど)あきこさんの司会により、シンポジウムと講演がおこなわれた。
 シンポでは、「地域から政治を変える、自治体首長の挑戦」と題して、つい先頃当選したばかりの田中大輔・中野区長と、上原ひろ子・国立市長の二人に、それぞれ「支える」立場の佐藤ひろ子・中野区議と重松朋宏・国立市議が質問する形で進行した。二人の首長とも、議会では「支える」議員が少数であり、なかなか思うようには自治体活動が進められない困難さがありながらも、自治体職員が市民とともに職務をすすめる、自治活動の原点にたった姿勢への転換を意識した発言がめだった。
 実際問題、戦後も半世紀いじょう経っても、中央集権的な官治システムの下で、国からの方針をいかに実施するかという、自治の原則とは掛け離れた状況は、まだまだ強い。自民党政治の行き詰まりと動揺の今日こそ、財政自主権に裏付けられた地方自治、住民自治へ、質的に転換し、さらに発展させる好機ともいえるであろう。
 シンポのあと、田中前長野知事が選挙のために出席できなかったので、ジャーナリストの保屋野初子さんから長野の現状について、報告があった。選挙運動は、敵失もあるが、脱ダム派が有利に展開しているとのことである。
 昼飯のあと、以下の方々からあいさつがあった。国会議員の中村敦夫、川田悦子、非核市民宣言運動・ヨコスカの新倉裕史、プライバシー・アクションの白石孝、メコン・ウォッチ・ジャパンの松本悟の各氏である。
 最後に、新聞記者の竹信三恵子さんから、「ワークシェアリングの実像─雇用の分配か、分断か─」という題で、講演があった。竹信さんは、まずワークシェアリングの定義を「労働時間の短縮によって一人あたりの仕事を減らし、減らした部分を他の雇用のない人々と分かち合う雇用対策」として、ヨーロッパを中心に、その歴史と現状を紹介した。ヨーロッパ各国ともそれぞれの歴史や運動がことなり、それぞれの文化の違いもあるなかで、当然にもワークシェアリングの形態はことなる。だが、それでも特徴的にいえることは、人間はただ働くだけの存在ではなく、子育てやさまざまな文化的社会的活動をする存在である、という人間観の転換が、ワークシェアリング運動のベースにあるということである。 こうした人間観の転換がない場合、それは日本のように、賃下げの代わりに「ワークシェアリング」という言葉を使うという状況になってしまう。問題は、誰のための、何のためのワークシェアリングか、ということである。
 竹信さんは、仕事柄、連合など組合幹部に遠慮されていたのであろう。日本の経営者のほとんどは、グローバル資本主義の下で激しい国際競争に負けまいと、まともなワークシェアリングなど考えていないのだから、組合幹部をこそ集中的に説得すべきかと思う。そうすれば、今日、労働組合員の半分以上が大企業の企業内組合の組合員で、景気の調節弁でしかない下請けなど中小零細企業で働く労働者のほとんどは組合さえないという現状、そのさらに下層にパート労働者がはたらくという現状に、直面せざるをえないであろう。この重層的な格差構造を無視したワークシェアリング運動はありえない。竹信さんは、正当にもパート問題を重視しているのだから、パート労働者の賃上げ、せめて正社員の時間給相当にあたる賃金とむすびつけたワークシェアリング運動という視点を是非とも発展させてほしい。 (T)