9・17 小泉訪朝

 きびしく見守るべき日朝首脳会談

   最大課題は歴史問題解決


 八月三十日、日本政府と朝鮮民主主義人民共和国政府は、九月十七日に小泉首相がピョンヤンを訪問し、「歴史的問題と互いの関心事である諸懸案を討議する」(朝鮮中央通信)ために、キム・ジョンイル国防委員長と日朝首脳会談を開催することを発表した。
 日本の敗戦後五十七年を過ぎた今日まで、すなわち冷戦構造の終結後も、日朝間には緊張関係が継続してきた。それは、米国を主軸とする西側諸国の同盟体制のなかで、日本が日韓条約によって朝鮮半島の分断に加担し韓国に独自の帝国主義的権益を確保しながら、共和国を仮想敵とする緊張政策を続けてきたからである。日本の有事法制制定策動も、この流れのなかにある。
 十七日の初の日朝首脳会談は、この流れを変える一歩となる可能性をもっている。これを機に、日朝の国交正常化へ事態が進展していくならば、アジアの緊張激化を促進している日本の「戦争のできる国家」作りの口実を喪失させ、東アジアの平和を促進するものとなるだろう。わけても有事法制の現実的根拠を根底から失わせ、また北朝鮮を「悪の枢軸」の一つとする米国の戦争政策を押し止めるものとなるだろう。
 そしてまた、朝鮮半島の南北統一にとって促進要因となり、米朝関係の正常化をも射程に入ることとなるだろう。ブッシュ政権が一定の思惑をもって日朝首脳会談を容認していることは、ある意味でチャンスでもある。
 しかし、日朝の国交正常化は正しく進められなければならない。われわれは、「日本の歴史的責任を正しく総括した形での、日朝国交正常化を明確に支持する」(労働者共産党・二回大会決議)。
 不可欠の課題は、日本の三十六年間に及ぶ朝鮮併合・植民地支配についての謝罪と補償である。それと同時に、韓国との間では日韓条約の見直しに入っていく必要がある。日韓条約では、韓国を朝鮮半島における唯一の合法政府と規定するとともに、植民地支配の歴史的総括を回避し、とくに朝鮮併合を国際法上非合法であったとすることを曖昧にしているからである。
 再開されるべき日朝国交交渉の前提かつ最大の課題は、この歴史的問題の解決である。その他の諸問題、日朝双方の行方不明者の問題などは、交渉再開の前提になっているのではない。行方不明者の問題解決が前提という一部の議論には、日朝正常化それ自体に本音では反対する不純な政治的意図を感じざるをえない。
 さて小泉訪朝の報道を受けて、在日韓国民主統一連合は、「われわれは朝日関係が正常化され、主権の相互尊重と平等・互恵の原則のもとに、わが民族と日本民族の間の親善、友好関係が発展することを願いながら、朝日首脳会談を歓迎、支持し、その成果を期待するものである」とのコミュニケを発表した。日朝首脳会談は、在日朝鮮・韓国人民の朝鮮半島平和統一の願いにかなったものでなければならない。
 以上の点を踏まえて、われわれは日韓・日朝・在日の民衆連帯を促進する観点から、日朝首脳会談の成り行きを厳しく見守らなければならない。(Ku)