編集部だより


▼この夏の灼熱地獄は、すさまじいものであった。残暑も厳しい。
 それでも秋の気配は確実に近づいている。今やセミ時雨もなくなり、代わって虫の音の大合唱である。
▼下諏訪町長選、長野県知事選での脱ダム派の勝利は、日本の社会を変革する運動が大きく前進した一つの証しであろう。
 田中知事への個人的評価にはいろいろあるが、県民は、旧来の官僚政治には逆もどりさせない、という正しい判断を下したのである。いわば条件付支持である。
▼経済成長至上主義を謳歌し、政・官・業(財界)のトライアングルによる支配の下で、日本社会はさまざまな歪みや腐敗を増大させてきた。
 その最たるものが、大企業の腐敗である。東京電力、三井物産、日本ハムなど、業界トップ級の大企業の経営責任者が不正行為で、次々と辞任している。
 その多くは、内部告発を直接のきっかけとしている。
▼いくら不正や不法があろうとも、これまでは所属する集団の利益を第一とする身内意識と村八分で内部告発は、おさえられてきた。 だが、九〇年代のすさまじいリストラ、首切りで、大企業だからといって安泰ではなく、情容赦もなく、首を切られ、かつてのような会社への忠誠心は、サラリーマンですら弱まって来ている。
▼東京市場の株安は、フランクフルト、ニューヨークに波及し、また同時株安だ。
▼おごれる者は久しからず。資本主義も永遠ではない。    (竹中)