労働者共産党 第二回党大会

   情勢・任務決議 
  

        世界情勢
     
 国際情勢は、ソ連崩壊後の十年の変遷の帰結として、21世紀の最初の年に大きな転機を迎えた。この転機は、米帝を主柱とする国際反革命同盟体制がグローバル資本主義に抗議する全世界民衆を主要な対象とする対決構造に入ったこと、とくに諸国民衆の武力抵抗への戦争をもってする対決構造に入ったこと。また、グローバルな構造を獲得した産業が成熟を深め、資本主義的な仕方での社会の存立が困難になる兆しが現れてきていることとして、基本的に特徴付けることができる。
 こうした中で諸国の革命運動は、自国の支配階級との闘争だけでなく、米帝の直接・間接の政治的・軍事的介入に対する闘争にもシビアに直面し、国際連帯の構築・強化を一段と問われることになる。同時にまた革命運動は、資本主義社会にかわる高次の社会への希求の増大を背景に、新たな時代の階級闘争陣形を創造する課題に当面することになるだろう。
 
(1) 米帝を主柱とする国際反革命同盟体制の再編成

1)米帝を主柱とする国際反革命同盟体制は、第二次世界大戦を媒介に米帝が他の帝国主義諸国家を一定支配・統制する関係に入る(=超大国となる)ことにより誕生した国家連合体制である。この体制は、NATO・日米安保を基本骨格としつつ、帝国主義列強がそれまで支配してきた旧植民地の独立を承認し、そうした新興独立諸国をその内に取り込むことで国際的支配体系を確立した。こうして形成された国際反革命同盟体制は、帝国主義諸国の金融独占資本が本国市場を含む旧勢力圏に相互乗り入れし多国籍展開する時代に道を開き、またそうした資本主義経済のグローバル化を土台に打ち固められてきた。とはいえ、ソ社帝・官僚制国家独占資本主義のブロックが存在し、ソ社帝との覇権争奪が続いた間は、国際反革命同盟体制の主要な矛先はソ連という『国家』に向けられていた。
 中国が改革・開放に転じ、一九九一年にソ連が崩壊し、世界資本主義が真にグローバルな世界体制となる条件が整う。こうして国際反革命同盟体制は、グローバル資本主義への参加とそのシステムの防衛という各国の共通利害に支持されて、諸国民衆の支配を主眼に置いた体制へと転変する条件が整う。
 そうした中で二〇〇一年九月十一日の米帝中枢に対するテロ攻撃が、その真相は依然不明ではあるが、諸国民衆の貧困、屈辱、反米感情の増大の脅威を、米帝・支配階級に実感させることになる。米帝はこのテロ攻撃への報復に乗り出す中で、「米国を選ぶのかテロリストを選ぶのか、二つに一つだ」(9・11直後の大統領演説)と諸国家に迫って忠誠を誓わせ、諸国民衆の監視・分断・抑圧を主眼に据えた体制へと国際反革命同盟体制を再編成したのだった。
 米帝は、二〇〇二年「大統領一般教書演説」で「わが国は戦時下にある」と規定し、戦時予算を組むと宣言。「いくつかの国に言いたい。行動しないなら、米国が行動する」と諸国に圧力をかけ、また朝鮮民主主義人民共和国、イラン、イラクの三国に対して、テロを支援する「悪の枢軸」との罪状で「対テロ」戦争の対象だと宣告した。そして実際、反米武装勢力の根絶を目指すグローバルで果てしないに戦争にのめりこんでいる。アフガニスタンに始まり、フィリピン、イエメン、グルジア…と諸国への軍事・警察的介入を拡大しており、フセイン政権を倒すためのイラクへの大規模な軍事侵攻計画が既に動き始めている。
 米帝が全世界の諸国家を動員して始めたこの「新しい戦争」の本質は、諸国民衆を相手とする戦争だという点にある。この戦争は、戦果を重ねるほどに民衆の屈辱と怒りを倍化させ、支配秩序の崩壊を拡大し、結局は敗北せざるを得ないものである。この戦争の開始と共に、帝国主義諸国では各種の反テロ法の制定など民主的権利の制限と人民抑圧体制が強められ、「南」の諸国では被抑圧人民の武装勢力に対する露骨な軍事攻撃が強められている。ロシア、中国、インドなどの大国においてもASEAN諸国など中小国においても、米帝の反「テロ」戦争に後押しされ、あるいは独自の思惑をもって、資本投資環境を守り反政府勢力を制圧するための反「テロ」の国家連携が強められている。 
 だが他方プロレタリアートの革命運動は、樹立されたプロレタリア諸国家の変質と崩壊に端的な二〇世紀の挫折の中から戦列を建て直す苦闘の過程に未だ在る。そうした中で民衆の運動は、「北」の諸国においてはブルジョア民主主義の下での改良主義的対抗に止まり、「南」のイスラム諸国においてはイスラム原理主義の立場からするブルジョア民主主義(近代化)への対抗傾向を強め、資本の世界支配体制と対決する際の普遍的連帯原理を持てないまま、米帝によるアメリカ民主主義を普遍的価値と振りかざした分断と抑圧の政治・軍事攻勢に晒されているという一面もある。
 しかし、このかん欧米を中心に、グローバル資本主義に抗議し、多国籍企業や国際資本投機に規制を求める反グローバリズム運動、国際民衆運動が前進してきている。これまでの国際的民衆運動は、ベトナム反戦、米ソ核軍拡競争反対などの課題でたたかわれてきたが、現在、世界経済の不平等を告発し、公正な世界を求める国際的民衆運動として現れている。
 帝国主義諸国の多くで反グローバリズム運動が盛んになってきた要因には、このかんの新自由主義政策の進展によって「北」側諸国でも貧富の格差が拡大し、切り捨てられる民衆が増大してきたという背景がある。このことは同時に、動揺する小ブルジョア層や未組織労働者の支持をかすめとった国家主義的反グローバリズムという反動勢力が、フランスなどで台頭する背景ともなっている。
 また反グローバリズム運動と連動しつつ、米帝やイスラエルの反「テロ」戦争に抗議し、武力紛争の土壌としての不公正な世界と国家テロリズムを告発して、富者の貧者に対する戦争に反対する国際的反戦運動も活発化しつつある。日本の有事法案反対運動も、一国的な平和防衛運動としてではなく、こうした国際反戦運動の一環として推進される必要がある。
 また、パレスチナ等の中東、アフガニスタン・チェチェン等の中央アジア、パキスタン・スリランカ・ネパール等の南アジア、フィリピン・ミャンマー等の東南アジア、中国・韓国等の東アジア、チアパス・コロンビア・アルゼンチン等の中南米、ソマリア等のアフリカなど、各地で民衆の運動が粘り強く持続している。
 こうした運動は、その性格からいって、資本主義の改善を望むブルジョア改良主義の傾向から、資本主義の革命を望む共産主義の傾向まで、否、反動的傾向さえ含む、極めて広範な性格を持っている。
 われわれは、ブルジョア民主主義政治の欺瞞と対決し、多国籍企業の利益に奉仕するのその本質を暴き、「南」「北」民衆運動の国際連帯を闘い取ることの出来るプロレタリアートの革命的政治を創造していかねばならない。
2)国際情勢の以上のような基本動向に連動して、いくつかの副次的だが注目すべき変動が生じている。
 その一つは、日帝が、米帝に忠誠を示す必要に迫られる形で憲法9条の制約を一挙に後景化して、また独帝も、NATOの集団的自衛権発動という形で、米帝のアフガニスタン侵略戦争に参戦したことである。日・独帝国主義が、戦後の政治的制約を実態的に取り払ったことの波紋は小さくない。東アジア諸国では、日本の軍事大国化に対する民衆の危惧と憤激が一段と強まっている。戦後における日帝、独帝の軍事面を始めとする台頭は、帝国主義の不均等発展を示すものではあるが、それらは米帝を主柱とした国際反革命同盟体制の枠内に制約されており、また、その同盟体制を台頭の必要条件とすらしているものである。
 二つは、ソ連崩壊以降のロシアの全般的後退、中国の反覇権国際統一戦線政策からの転換によって、国際政治・軍事では米帝一極支配の様相が形成されていることである。中・ロは昨年六月「上海協力機構」を創設するなど、米帝一極支配に対抗しているが、米帝の独走を制止することはできていない。しかし米帝一極支配に対する中・ロの反発は、「反テロ」政治同調やグローバル資本主義への参加の必要などとの絡みで抑制されつつも、中国の場合は米帝が台湾擁護の態度を露骨化していることなどから、ロシアの場合は旧ソ連のグルジアなどへ米軍が進駐する事態を突き付けられたことなどから、一層強まっている。
 三つは、中東・パレスチナ情勢の不安定化である。米帝の対「テロ」戦争は、イスラエル・シャロン政権の対「テロ」戦争すなわちパレスチナ自治区再占領の侵略戦争にゴーサインを与えた。「オスロ合意」によるパレスチナ問題の「解決」は、イスラエルによって最も凶悪な形で破壊されており、パレスチナ人民の占領者に対する抵抗闘争は持続・発展していかざるをえない。中東・イスラム諸国の反米反イスラエル闘争、イスラエル人民の占領地撤退を要求する平和闘争は、発展していかざるをえない。事態は、パレスチナ問題の根本的解決が、当面暫定自治区の完全独立を必要としつつも、シオニズム国家が解消され、パレスチナ人とユダヤ人が平等・平和的に共存する共同社会を樹立するということにしかないことが明らかになっていくだろう。パレスチナ解放の左翼勢力の再建が問われている。イスラム原理主義勢力によるイスラム宗教国家樹立の政治路線は非現実的であり、反動的である。 
 四つは、朝鮮情勢の不安定化である。米帝が朝鮮民主主義人民共和国を「悪の枢軸」の一つと名指し、日帝も「不審船」問題等で米帝の対決・分断路線に同調する動きを強め、また米日帝の路線に同調する方向での韓国の政権交代の可能性も出てきたことで、南北民衆の願いである統一問題は後景化されようとしている。それどころか、戦争屋ブッシュの火遊びの標的になる危険が増大してきた。南北の政府当局による一昨年の「南北共同声明」は、世界の政府・人民によって尊重されねばならない。朝鮮半島の自主的平和統一を支持し、統一運動における南北労働者人民の主導的役割に連帯し、米・日帝国主義の戦争策動を挫折させなければならない。
 その他の地域情勢では、核戦争の危険を含んだインド・パキスタン関係の不安定化、アフガニスタンにおける反米抵抗の継続などが特徴となっており、総じて言えることは、米帝を主柱とする国際反革命同盟体制は、「反テロ」を媒介に米帝の武力行使の拡大を推進軸に再編・強化されつつも、それ自身が世界の不安定化と無秩序化を促進し始めているということである。民衆の抵抗が強まらずにいない。

  (2)世界経済の構造変化

 今日、世界経済は大きな構造変化の中にある。これへの対処のあり方は、プロレタリアートの革命的政治の創造にとって重要な位置を占めることになるだろう。
 帝国主義諸国の金融独占資本が、本国市場を含む旧勢力圏の枠を越えて相互浸透し世界的搾取体系を発達させるとともに、産業は、米国を中心にそれなりにグローバルな重層的体系を獲得し、かつまた物を生産するシステムとしては現状の様式ではこれ以上の本質的飛躍の見えない成熟段階に到達しつつある。二〇〇一年の世界同時不況の背景には、こうした産業構造のグローバル化と成熟がある。
 とはいえ、米帝国家と米国金融独占資本が世界を制覇した訳ではなく、あるいは国家・国境が無いか、無いと同じ環境のグローバル市場で諸資本が競争している訳でもない。米帝が他の帝国主義諸国をも『一定』のほど支配・統制する諸国家の連合体制の下で、諸国金融独占資本が多国籍展開し、競争しているのである。そこでは、自国の国家権力をテコにした競争が、「副次的」側面において激化しつつある。そうした中で、米帝を主柱とする国際反革命同盟体制の大枠の下で、欧州諸帝国主義を中心にEU(欧州連合)、米帝を中心にNAFTA(北米自由貿易協定)などの「サブシステム」が形成されてきている訳である。日帝も、二〇〇二年に入りシンガポールと自由貿易協定に調印、日韓投資協定も調印・批准し、地域経済圏形成を画策し始めている。こうした動向を一面的にとらえ、帝国主義世界大戦へと至るブロック化だとする主張は、誤りである。これは、あくまでも国際反革命同盟体制の枠内で、帝国主義諸国の結束を弱める要素として捉えるべき動向である。
 欧州の帝国主義諸国の場合、半世紀前までは世界市場の再分割をめぐって相互に二度の世界大戦を交える関係にあった訳だが、いまやEU(欧州連合)を結成し、この二〇〇二年初頭には共通通貨ユーロの現金流通を実現している。これは、欧州諸国金融独占資本の多国籍展開(とりわけ本国市場の相互乗り入れ)によって条件が熟し、欧州統一市場を基盤に米国(および日本)の金融独占資本に対する競争力の再構築を狙う欧州諸国資本の共通利害から生まれたものである。この時代の金融独占資本は一般に、その多国籍展開の必要から国民国家の狭い枠組みを桎梏とし始めているのであるが、国民国家は金融独占資本にとって政治的拠り所でもある。この矛盾は、全ての帝国主義諸国の金融独占資本が抱える没落期の自己矛盾である。欧州諸国の金融独占資本の場合、多国籍資本主義の発展に迫られて、その置かれた内外環境の特殊性により、域内の国家障壁をより大胆に掘り崩さねばならなくなったということである。
 中国が世界の工場になりつつあると言われている。だがそれは、帝国主義諸国からの工場の移転が牽引しているのであり、中国が米国を中心とする世界経済システムに対抗していく動向では全く無い。中国は、二〇〇一年のWTO加盟によって義務付けられる市場開放・自由競争の下で、帝国主義諸国多国籍企業の世界システムにその経済が一層密接にリンクされると共に、これまで以上に急激な工業化と農業の解体、失業者の増大と都市への流入、貧富の差の拡大、国家資本の衰退と民営資本の台頭が進行し、労働運動、農民運動、宗教運動、民主化運動、少数民族の独立運動などが勢いを増すだろう。
 国際反革命同盟体制とその下での資本の多国籍展開は、「北」の諸国の内に「南」を組み込み、「南」の諸国の内に「北」を移植する、社会の構造変化を引き起こしている。世界的規模での国境を越えた二大階級の対立構造が、遠からず姿を現すにちがいない。二〇〇〇年において、世界の億万長者(百万ドル以上の投資可能な資金を持つ個人)七百万人の資産総額は六%増の二十七兆ドルとなった。この六%という増率は、同じ年の世界の国内総生産成長率(四%増)より高く、世界の三〇億人が一日二ドル未満で生活している状況の相対的・絶対的な悪化と対を成している。
 産業の成熟により、産業から遊離しますます肥大化する貨幣資本は、カジノ経済へと向かっている。富が一握りの人々へ途方もなく集中し、社会の腐敗が急速に進行している。激しい競争に叩きこまれた資本は、労働者に対する首切りと搾取の強化を競っている。米国、日本をはじめとする帝国主義諸国においてさえも、失業者が急増し、貧富の差が拡大しつつある。米国の消費バブルに支えられてきた東アジアや中南米の新興工業諸国の「相対的安定」は揺らいでゆくだろう。既にアルゼンチンが経済破綻に瀕している。最貧諸国民衆の貧困・飢餓状況は一段と悪化するだろう。米帝・ブッシュ政権は、軍需産業の牽引による景気回復を夢見ているが、産業が成熟したこの時代に大きな効果はありえず、財政赤字をもたらすことになるだろう。人類の生存を脅かす自然環境破壊も確実に拡大している。社会は、遠からず存立の危機を迎えるに違いない。
 産業の成熟と世界同時不況の渦中から新しく勃興するのは、これまでのような物の生産領域における新産業ではないだろう。『物』(=資本)ではなく『人間』が目的である社会、『人間』存在の基盤である自然環境を大切にする社会への希求が、「北」の諸国の民衆の間から発し世界的に高まってきている。労働時間の短縮が闘い取られ、環境、育児、職業訓練を含む生涯学習、福祉などの一人ひとりの発展に関わる諸活動が社会の基軸に据えられていくだろう。そうした諸活動は、利潤目的の賃金奴隷制には本質的に適合しないものである。そうした諸活動が、賃金奴隷制の廃絶を射程に入れた運動と固く結合し力強く発展することによって、社会の危機の克服が展望されていくのである。
  
   (3) 主体の問題  

 ブルジョア的世界支配秩序は、ゆっくりと確実に崩れていく。新しい社会への胎動が現れる。こうした中で、人類史を画する共産主義世界革命に向け、革命主体の再構築の課題が浮上してきている。
 今や「北」の諸国では、アメリカ民主主義を普遍的価値と掲げる多国籍企業の世界支配政治を前に、これを打倒する立場に立たないあれこれの民主主義的改良主義者が、世界支配秩序防衛戦争を支える諸国家の翼賛体制に急速に取り込まれつつある。「反テロ」報復・侵略戦争において見られた、米国における大多数の民主主義者の愛国主義的高揚しかり、欧州諸国の社会民主主義政党、緑の政党のNATO軍参戦支持しかり、日本の民主党等の自衛隊参戦支持しかり。日本の共産党のように米帝の「対テロ」戦争は批判しても、世界人民の武力解放闘争一般を否定しつつ、テロ防止策を帝国主義者と競い合う態度も、戦争の政治目的は支持する態度である。こうした民主主義的改良主義諸潮流の体制翼賛化が進行するとともに、新たな時代における共産主義と労働運動、民衆運動の結合の在り方が問われずにいない。
 「南」の諸国では、かつて「民族主義」の旗を掲げたブルジョア・地主の諸国家や「社会主義」の旗を掲げた官僚ブルジョアジーの諸国家が、腐敗を深めつつ国際反革命同盟体制の内に再編・糾合される中で、多国籍企業の強欲の為に政治的・経済的な犠牲を強いられ続ける民衆が、抵抗の旗印をイスラム原理主義に求める動向が強まってきた。しかし、多国籍企業の強要するブルジョア民主主義政治に対して、社会の最も旧い伝統的要素に立脚して対決するイスラム原理主義政治は、民衆の屈辱と怒りの深さを反映はするが、民衆の闘いに勝利の展望を開く政治ではあり得ない。「9・11」と「アフガン」は、躍進してきたイスラム原理主義政治にとって、大きな転回点になる可能性がある。いずれにせよ、遅かれ早かれイスラム原理主義にかわる抵抗の旗印が求められるだろう。この時に際し、「南」の諸国の共産主義者の責務も重大である。
 われわれは、時代の節目に在る。そしてこの時代の節目において鍵を握っているのが、共産主義運動自身の質的転換と再建である。共産主義運動には、今日の労働者階級・人民と結合できる質の獲得が問われており、現代的な質を模索する運動の諸国における統合と国際的ネットワークの構築とが求められている。それは、現代修正主義と根底から一線を画し、マルクス・レーニン主義の現代的発展をたたかいとる道に他ならない。
 共産主義者が転換を果たし、多国籍企業資本主義と対決する二十一世紀の労働運動、民衆運動との結合を果たすとき、「南」「北」民衆運動の分断は打破され、グローバルな規模で政治の流れは変わるだろう。逆流に抗し、革命の時代を切り拓こう。  (以上)

                               


      日本情勢

 

   (1) 日本帝国主義の基本動向

 日本の支配階級は、一方で、本格的な多国籍企業の活動を推進しつつ、他方で、国内企業のリストラ(事業の再構築)、金融システムの改革、行財政改革などを推し進めつつある。これは従来の、ケインズ主義的政策と結合した耐久消費財産業の発展・加工貿易立国から、市場原理を重視し企業の国境をこえた自由な活動と全面的な競争への転換を目指すものである。弱肉強食の新自由主義に対応して、日本帝国主義は、政治的には、次々と反動的な諸立法を成立させるなどして国家秩序の強化をおしすすめ、軍事的には、初めての戦時参戦や、有事立法・憲法改悪の策動など「戦争のできる国家づくり」へ邁進している。
これらは、大規模な不良債権の処理・行財政改革などでのもたつきが見られるものの日本帝国主義の基本方向であり、アメリカン・スタンダードのグローバル資本主義という世界的傾向に対応するものである。

   (2) 支配階級の内外政策の特徴

 日本資本主義の閉鎖的な経済構造は、九〇年代を通してしだいに転換してきている。それは、国内企業の設備投資に対する海外進出企業のそれとの対比を示す現地法人設備投資比率が、九〇年の九・五%から九八年の十九・二%へとほぼ倍増し、貿易における逆輸入(日本の総輸入に占める、海外の日系企業からの日本向け輸出)比率が、九〇年四・二%から九八年十四・〇%へ増大、対内直接投資が、九〇年代前半、二〇〜三〇億ドル以下だったのが、九七年以降倍々で急増し、九九年二百十五億ドル余となる事態などに特徴的にみられる。他方、対外直接投資はバブル崩壊後急減したが、九〇年代後半から再び拡大し、九九年度六六七億ドル、二〇〇〇年度四八六億ドルとバブル期をもしのぎ、二〇〇〇年末現在の対外直接投資残高は、二七八四億ドルにまで拡大している。これに加え、国内での超低金利の長期化で米国国債への投資など対外間接投資も増大し、〇一年末現在、対外純資産は一七九兆円(対前年比三四・七%増)と過去最高になっている。そして今や、貿易収支の黒字は急速に減少し、二〇〇一年の所得収支(対外資産からの収益)と貿易収支がほぼ同じ規模にまでなり、二〇〇五年頃には日本は「経常収支赤字国」に転換すると予想されるほどになっている。今日、支配階級のスローガンは、かつての加工貿易立国から「内外経済の一体化」に変化しているのである。
 バブルの処理と「大競争時代」に対応するために、一方で企業は海外進出を強めるとともに、他方で国内企業の大規模なスクラップ・アンド・ビルドをおしすすめている。政府や独占資本などは、持ち株会社の相次ぐ設立、連結決算制・時価会計など企業会計基準の見直し、株式相互持ち合い比率の低下、社外取締役制度の採用、終身雇用制・年功序列制の廃止などこれまでの企業形態やその活動方法を転換させつつある。
 その転換過程は同時に、企業倒産、失業などの悪化である。バブル末期三〇〇〇件以下に減少した倒産件数は、その後急速に増大し、二〇〇〇年、二〇〇一年ともに一万九〇〇〇件台にのせ、負債総額は二〇〇〇年に初めて二〇兆円をこえた。完全失業率は、5%台で過去最悪を更新している。 
 バブル崩壊後の自民党政権の経済政策におけるジグザクと無定見、そして根強い利益誘導型政治などは、不況をさらに悪化させ泥沼化させている。そして、戦後初のデフレをますます深刻化させている。
 不人気な森政権の代わりに登場した小泉政権は、「構造改革なくして景気回復なし」をスローガンに掲げているが、その新自由主義的な経済政策は弱肉強食、貧富の差の拡大、大量失業の構造化などをもたらすだけである。それだけでなく、自民党などに依拠する小泉政権は、外務省の腐敗問題や議員の口利き問題などへの対応にみられるように、政・官・業の癒着を根本から改革するものではない。中央官僚を中心的担い手とする官僚主義的な統治システムを再編維持する点では、小泉政権も、既得権益にしがみつく守旧派も基本的に変わりはない。このことは、特殊法人改革、抜本的な財政再建問題(〇二年度末には、国・地方の長期債務は国内総生産の約一・四倍の六九三兆円になる見通し)、外務省改革問題、防衛庁の情報公開にかかわる違法行為・反人民的体質の露呈問題などでの守旧派との馴れ合いで明白である。そして、何よりも中央官庁の大規模性と反人民性、地方自治体の財政自主権の弱さなどは、旧態依然のままであり、中央官僚の統治システムは根幹において改革されていない。。労働者階級人民にとっては、構造改革をとなえる小泉政権と既得権益を保守する守旧派、この両者に対決し闘うことが求められている。
 「規制緩和」、市場原理重視の新自由主義は、一方で資本活動の自由を第一として、民事再生法や会社分割法などでリストラ・解雇を容易にし労働者の反撃を封じ込める体制を強化し、他方で、労働基準法、労働者派遣法、職業安定法を改悪し、これまで築いてきた労働者の権利を次々と剥奪している。このうえに小泉政権は、さらに職業紹介規制の抜本的緩和・この分野への資本の参入拡大を目指した職業安定法の改悪、派遣労働者の派遣期間・派遣業務の拡大を目指す労働者派遣法の改悪、有期労働契約での契約期間・適用範囲の拡大を目指す労働基準法の改悪、解雇をしやすくするための解雇立法などを策動し、資本にとって都合のよい労働力流動化政策をさらに推し進めている。
 独占ブルジョアジーの政治的代理人たちにとって、今日の政治の眼目は、かつてのような独占資本と一体となった経済活動の強化からブルジョア的な国家秩序を再編強化するものに移ってきている。具体的には、一つには資本の自由勝手な活動を法的制度的に保証することともに、もう一つはそこから生ずる内外の階級矛盾の先鋭化、階級対立の激化を抑圧しうる合法性の獲得と、現実の抑圧装置の整備・充実である。組織犯罪対策法、盗聴法、改正住民基本台帳法、国歌・国旗法、少年法の改正など、この間の一連の重要法案の成立の背景には、このような国家活動の重点の移動が背景にある。こうした動きは、さらに精神障害者への保安処分、マスコミ対策などの個人情報法案、国民総背番号制の全面的確立、労働組合法の改悪などとして策動されている。家庭、地域、学校など社会レベルで支えられてきたかつての支配秩序が、高度成長いらい、資本主義の発展に伴う諸矛盾の増大の中で、つぎつぎと変質あるいは崩壊し、社会諸矛盾を国家が直接的に抑圧、コントロールする局面がますます増大しているのである。
 日本帝国主義は、細川政権時代いらい一部政治家官僚層を中心とした「日帝自立論」的傾向を内にふくみつつ、基本的には日米同盟を機軸にしつつ、東・東南アジアへの覇権の拡大を引き続き狙っている。
 経済的には、中国、東南アジアへの多国籍企業の進出は著しく、〇一年末には日韓投資協定の基本合意、今年一月にはシンガポールとの自由貿易協定の締結とすすみ、東南アジア市場をめぐるアメリカ、EU、中国などとの経済競争が激化している。 
 だが、今回の小泉政権の対東南アジア外交での新たな特徴は、従来からの経済重視にとどまらず、「テロ、海賊、エネルギーの海上輸送路確保」対策や「感染症、薬物」などへの対処という軍事・治安問題が強調され始めていることである。これはグローバル資本主義の下での多国籍企業の国境を越えた活動を、東南アジア諸国の支配層と政治的に協調しつつ、政治的軍事的に「安全保障」するものである。
 日本帝国主義は、ポスト冷戦になっても、財政赤字がGNPを越えるほど膨れ上がっても、アメリカに次いで、ロシア、フランスに匹敵するほどの大規模な軍事費を注ぎ込み、近代装備の自衛隊を強化してきている。そして近年、あらゆる事件や問題を口実として、自衛隊の海外派兵と戦争のできる体制づくりに利用している。九六年四月、日米安保のアジア・太平洋安保としての再定義、九九年通常国会での周辺事態法をはじめとする新ガイドライン関連諸法の成立、国連平和維持軍(PKF)本体業務の凍結解除、そして9・11自爆テロを契機とするテロ対策特別措置法の成立とそれに基づく自衛隊の初の戦時海外派兵などである。さらに、引き続き有事法制化、憲法改悪、アフガン侵略時のような戦時派兵の既成事実の積み重ねなど「戦争ができる国家づくり」をさらに狙っている。
 こうした流れの中で今回の東南アジア訪問での小泉発言を見るならば、自衛隊の今回の戦時海外派兵は例外的なものにとどまらず、いつでも派兵する傾向がますます強まっていると言える。

   (3) 労働者階級・人民の状態と要求

 長引く不況、深刻化するデフレの下で、賃金カットや、失業・非正規雇用の増大などで労働者の生活は不安定化し、生活水準はますます低下している。
完全失業率は、九五年半ばには三%台だったのが、昨年七月からは五%台に突入し、同年九月からは四カ月連続で過去最悪記録を更新し続けている。この結果、昨年十二月の完全失業率は五・六%(三三七万人)となり、潜在失業者も含めると、失業率は一割をゆうに越えている。今年四月の完全失業率は、五・二%と依然として高水準にあり、しかも完全失業者数は三七五万人で十三カ月連続で増大している。他方、就業者数は六三三三万人で、十三ケ月連続で減少している。野宿者は、大都市だけでなく、地方都市にも広がり、政府統計ですら二万四〇〇〇人、実際はその倍ほどにまで拡大している。昨年十二月の就業者数も、前年同月より七八万人減って六三六二万人と、九カ月連続の減少である。失業増大の圧力はまた、就業労働者の賃金カットや非正規雇用を拡大させている。非正規雇用の労働者は、この間急増し九〇年の約十五%からいまや二七%前後にまで膨れ上がっている。
 勤労者世帯の実質消費支出は、バブル崩壊以降低迷し、九三からの三年連続マイナス(対前年比)につづき、九八年からは初めて四年連続のマイナスという状態である。デフレにより、九九年から連続三年連続して消費者物価指数が下落したにもかかわらず、失業、賃金カットの増大、各種保険制度の危機など将来への不安などで、消費支出は減少している。
 にもかかわらず、大企業のリストラ、人員削減はさらに推し進められつつあり、また、中小零細企業では、倒産が依然として高水準で続き、失業、生活破壊はさらに深刻化する趨勢である。さらに年金、医療、福祉などの社会保障も抑制しつづけられている。
 これに対し連合指導部など労働貴族は、労働者階級の利益よりも会社の利益を優先させ、リストラ・首切り計画に直面しても労働者階級の反撃も組織せず、ただ従うだけである。そして、すべての矛盾をより下層におしつけているにすぎない。労働貴族に指導された大企業労組は、春闘すら放棄し、労働組合をますます労使協議会に変質させつつあり、なかには企業別組合の連合でしかない産別組織からも脱退し、個別利害に傾斜している。
 だが、失業者や非正規雇用の労働者がますます増大し、正規雇用の労働者の賃金・生活水準の低下という現状に対し、職種、職場、企業の枠をこえて広く地域に開かれた個人加入制の合同労組やコミュニティー・ユニオンの活動が次第に伸長してきている。また企業の枠にとらわれない個人加入制の既存の労働組合の中には、労働組合運動の苦境を打開し、下層労働者などの利益を追求する全国的なゼネラル・ユニオンを形成する努力をおこなっているところもある。
 正規労働者がますます絞り込まれ、大量失業が構造化され、非正規雇用の労働者が増大する今日の情勢下で、帝国主義労働運動を打ち破り、下層労働者の利益を重視し、企業の枠にとらわれない自立した労働者諸個人の階級的団結をおしすすめるユニオン運動はますます重要なものとなっている。
生活不安、生活費の切り詰めは、労働者階級だけでなく、農民や自営商工業者も同じである。工業的農法、農民の自発性抑制などにみられる歴代農政の失敗により、農業は荒廃し、耕作放棄地の増大、農産物の輸入が拡大している。この中で、一方に資本家的経営をふくむ大規模経営が形成され、他方の極では、離農や下層農家の没落が増大している。自営商工業者も大手資本に圧迫され、廃業者が続出している。支配階級は、今や自営農家や小規模零細商工業者を明確に切り捨てる政策をますます強めている。
 抑圧された諸階級層の生活破壊が進行する中で、自殺者は九八年いらい三万人台にのぼり、その数は交通事故による死亡者数(九六年以降一万人を切り、二〇〇〇年は九〇六六人)を大幅にうわまっている。借金を返せなくなった個人の自己破産の申し立て数もこの六年連続で過去最多を更新し、昨年一年間で十六万人強(前年比十五・二%増)という状況である。
 高度成長時代いらいの経済至上主義が蓄積した社会全般の諸矛盾は、いっこうに克服されておらず、人々の生命と健康を脅かしている。環境問題では、引き続く原発事故、不用不急の公共事業による自然破壊、廃棄ガスなどによる空気汚染、水・土・食品などの汚染などである。また学校・職場・家庭などでのいじめ、幼児虐待では、青少年の自殺、幼児の虐待死という痛ましい事態も後を絶たない。
 近年の特徴の一つは、工程省略による東海村原発事故、雪印乳業の牛乳汚染、雪印食品のBSE(牛の海綿状脳症)にかかわる偽装工作、そしていじめによるリストラ・首切り計画の遂行など、企業間競争の先鋭化に伴う事件・事故の頻発である。
 いじめ問題も学校、職場などで後を絶たない。社会全体に広がる先行き不安、閉塞感、ストレスに加え、激化するサバイバル競争は、いじめ問題を深刻化させている。学校でのいじめは校内にとどまらず、おやじ狩り、野宿者への襲撃・殺人へと至っている例もある。いじめは特定の必ずしも特定の社会集団に対する差別ではないが、社会的根拠をもった明確な差別である。部落差別、女性差別、精神・身体・知的障害者への差別、琉球・沖縄人に対する差別、アイヌ民族に対する差別、在日韓国・朝鮮人などに対する差別、外国人労働者に対する差別など、種々の性格をもつ差別に対する闘いとともに、いじめのような差別に対する闘いも重視されなければならない。
 近年の労働者人民の闘いでは、下層労働者を基盤とし個人加入制を原則とするユニオン運動などを除き、労働組合運動が低迷する中で、市民・住民運動が活発に展開されていることが、一つの大きな特徴である。
 それは公害・廃棄物など環境破壊に対する闘い、原発に反対する闘い、いじめや教育問題に取り組む活動、沖縄などの反基地や空港問題に対する闘い、セクシャルハラスメントや雇用における「間接差別」など女性差別に対する闘い、アフガン侵略に対する反戦平和の闘い、自治体の不正を糺し住民自治を追求する闘いなど、さまざまな分野で粘り強く展開されている。
 地域によっては進んでいる所もあるが、地域を基盤に新たな労働組合運動と市民・住民運動がさらに深く結合し、従来の大量生産─大量消費─大量廃棄に示される労働・生活のあり方を変革する地域づくりが切実に求められている。また、多国籍企業がその活動基盤を海外に大きくシフトし空洞化がさらに進展し、少子・高齢社会がさらに進展する時代においては、相互扶助の地域づくりがなおのこと要求される。
 そして、こうした闘いと地域づくりを基礎としつつ、同時に日本社会の将来を大きく左右する有事立法、憲法改悪に対決する広範な闘いが要求されている。

   (4) 諸政党の性格と相互関係

日本資本主義の構造的転換期にあって、保守的な諸政党と高級官僚は独占ブルジョアジーの利益を代弁しているが、国際化時代に即応した改革を必ずしも成功裏になし得ているとはいえない。
 さまざまな色合いをもつが、自民、保守、民主、自由の各政党は、いずれもブルジョア政党である。この中で新自由主義の傾向が最も強いのが、民主党と自由党である。
 公明党は、創価学会幹部の指導に従う小ブルジョア政党である。その本性から日和見主義的な行動を繰り返し、とりわけ与党となってからは、ポピュリズムと利益誘導型政治を露呈させている。
 社民党は、社会党からの移行時に党勢を大きく後退させ、今日、護憲と女性の利益などを押し出す特性をもつが、党存続の危機にたえずさらされている。またこの党は、村山政権時代や国労問題、地方議会での保守との癒着にみられるように、決定的な所で人民を裏切ることにより、労働者人民の信頼を勝ちとれる政党ではない。
 日本共産党は、二〇〇〇年に開いた二十二回大会で党の性格を「労働者階級の前衛」から「国民の党」へと変更した。旧来の社会民主主義勢力の変質、分散化の後、一時的に旧社会党支持者や革新浮動層の受け皿となったが、そのセクト主義と入閣主義などにより、選挙獲得票は後退している。日本資本主義を帝国主義と認めない日本共産党は、近年とみにナショナリズムを強め、労働者階級内部の小ブルジョア的傾向を後押ししている。
 左翼諸派は、その一部が民主主義党派に転身し、他の一部は未だセクト主義と観念性が強く、大衆から遊離している。この中で幾つかの党派は、自らの理論上、活動上の変革を進めつつ、同時に労働組合運動や市民・住民運動と結び付き、日本の社会主義革命のために献身的に闘っている。

 近年の議会政治は、小選挙制導入による二大政党制確立には失敗したが、第一与党と第一野党がブルジョア政党として政策上の共通性が多く、この間の重要法案は次々と成立されるという構造になっている。だが、自民党最後の「切り札」と目された小泉政権は、外務省によるNGO排除問題での処理で馬脚をあらわし、自民党内では派閥政治が息を吹き返している。大衆の小泉政権への幻想は大きくはがれ、自民党総体の地盤沈下が避けられないであろう。
 左翼諸党派は、労働者大衆とともに自民党など議会諸党派の反人民性を明らかにし、日本社会主義革命への大きなステップを切り開くことが求められている。
                              (以上)


      任務

 

 以上の内外情勢をふまえつつ、わが党は向こう数年間の党の任務基調および諸任務を、次のように定める。

   (1)当面の任務の基調


 @わが党のすべての同志は、アメリカ帝国主義を主柱とする国際反革命同盟体制と対決し、全世界の労働者人民・被抑圧民族人民と固く団結して、
わが党の党建設と団結・統合政策の前進によって、日本における共産主義運動の現代的な再生・結集軸を戦い取り、また、わが党の労働運動政策・大衆運動政策の前進によって、新しい日本労働運動の本格的登場の第一歩を戦い取って、日本における労働者階級を中軸とした全人民の革命的統一戦線の形成へ前進しよう。
 A党は国際的任務の基調として、米帝国主義をはじめとする諸帝国主義政権と各国反動政権の侵略と抑圧の激化、国際独占資本・金融資本・多国籍企業の搾取・収奪の激化に断固反対し,これら帝国主義ブルジョアジーとその手先に反抗する全世界人民のあらゆる闘い、その国際連帯を支持・支援する。党は、グローバル資本主義に異議を申し立てる国際的な民衆運動の発展を支持しつつ、とくにアジア・環太平洋地域での国際労働運動・人民運動の前進のために闘う。
党は、それら全世界人民の闘いと結びつき、現代修正主義・社会帝国主義と訣別した世界各国の真の共産主義者との国際的な団結をしだいに強化・拡大し、国際共産主義運動の現代的再建のために闘う。
 党は、各国の現代修正主義党、社会民主主義や環境主義などの改良主義政党、また反米傾向を強めるところの政治勢力としてのイスラム原理主義などとの国際党派闘争を堅持しつつ、それら諸勢力が帝国主義と闘い全世界の労働者の団結および被抑圧民族との団結に敵対しないかぎりで、それら諸勢力との国際的な連合の意義を認める。
 B党は日本における任務基調として、日・米両帝国主義による安保体制の日米共同侵略戦争体制としての強化に断固反対し、憲法改悪・有事立法の攻撃を阻止する広範な共同戦線の形成を支持・支援する。党は、企業別の枠を越えた個人加入の新しい労働組合運動と失業労働者の運動の前進を重視し、労働運動を中軸とした地域的統一戦線の形成をおし進める。党は、それら日本の労働者人民の闘いと結びつき、日共現代修正主義と訣別し、教条主義とも一線を画した左翼諸勢力の団結を進め、再編・統合の結集軸を近年の内に作り上げるよう闘う。

   (2)党と労働者階級人民のたたかい


 C党は、労働組合運動を次のようにおし進める。党は、第一期第三回中央委員会総会の労働組合決議の基調を継承・発展する、すなわち「企業の枠にとらわれない、個人加入のゼネラルユニオンや地域ユニオンを日本の労働組合運動の主流におしあげ、広範な労働者の階級的団結を固めることこそ、労働者階級の解放を前進させる道である」とする基調方針を再確認し、関連諸方針を整えつつ、具体的実践をさらにおし進めていく。
党はひきつづき、全国各地での地域ユニオンの結成と強化、その全国的連携の強化をすすめ、また個人加入制中小単産によるゼネラルユニオン形成へ向けた努力を支持・支援する。党は、民間中小労働者の独自の政策要求を支持し、また雇用形態と性別による差別の撤廃要求を強く支持する。
党は、民間の企業別組合においては組合活動家のユニオンなどへの二重加盟を進めつつ、組合の発展段階に適応しながら、企業別組合を改組し個人加入制組合へ合流するように工作する。
 D党は、国・地方の公務員労働組合においては、組合活動家のユニオンなどへの二重加盟を考慮しつつ、公務員労働者と地域民間労働者との密接な連帯が進むように工作する。党は、国公の非正規雇用労働者をユニオンなどへ独自に組織化することを重視する。
また党は、地域的統一戦線の形成における公務労働者の重要性をふまえつつ、階級闘争の立場から人民多数を味方に付けるために、各公務員労組の独自の政策形成を重視する。自治体労働組合においては、中央権力による地方自治の破壊と先頭で闘い、住民自治の前進を推進できる労働組合をめざす。教職員労働組合においては、支配層の教育改革・教育基本法改悪と先頭で闘い、労働者人民の教育要求に応え、また教育をめぐる先進的な実践ができる労働組合をめざす。郵政労働組合においては、郵便公共サービスの切り捨てと先頭で闘い、同時に郵政官僚の権益防衛に反対して、当面、郵政民営化の攻撃に対決できる労働組合をめざす。
 E党は、全国各地の寄せ場などの半失業・失業状態に日常的に落とし込められている労働者層の組織化を重視し、反失業闘争をひきつづき推進すると共に、既存の各日雇労働組合の強化と全国的団結のための工作を進める。党は、労働者階級の失業部分と就労部分の階級的団結を促進する。
 F党は、野宿労働者運動と失業労働者全体の運動、就業労働者全体の雇用をめぐる闘争とを結びつけ、反失業・雇用闘争の政策と実践を発展させる。党は、野宿労働者自立支援法の制定を支持し、支援法を有利に活用できる前提である野宿・失業労働者の闘いをおし進める。党は、不当な整理解雇を阻止する闘い、正規・非正規の差別を撤廃する闘いのその成果を前提として、ワークシェアリングの導入を認める。党は、公的就労をはじめとする雇用創出の要求を重視し、NPO、労働者協同組合等の形態によって労働者人民が事業を組織する運動を支持する。
 G党は、今大会での憲法闘争決議を指針として、重大な段階に入りつつある憲法改悪攻撃との闘いを全力で闘う。現憲法についての共産主義者の独自的態度を堅持しつつ、護憲勢力などとの広範な共同戦線を支持・支援する。憲法改悪の一環である有事法制・憲法改正国民投票法案などの攻撃を阻止する。「戦争のできる国家」作りのための軍事的・政治的・社会的なあらゆる策動と闘い、とくに天皇制の強化との闘いを重視する。 
 H党は、沖縄の軍事基地全面撤去闘争をはじめとする全国の反基地闘争、反米軍・自衛隊闘争を支持する。党は、沖縄民衆が反基地闘争などを通じながら、沖縄民衆の独自の、自立的な統一戦線の形成をすすめることを支持する。 
 I党は、三里塚農民・住民による暫定滑走路と二期工事に反対する闘いを引き続き支持・支援し、軍事利用反対・大型「公共」事業反対の立場から進められている全国各地の反空港闘争と、その連携を支持する。
 J党は、日米両帝国主義の戦争挑発・分断固定化策動と全力で闘い、朝鮮半島の自主的平和的統一を熱烈に支持し、日韓民衆連帯の諸課題をおし進める。とりわけ日韓の労働者階級の連帯を重視する。日本の歴史的責任を正しく総括した形での、日朝国交正常化を明確に支持する。
党は、反グローバリズムの国際的な民衆闘争を支持しつつ、東アジアでは明確な政治課題をもった反帝国主義闘争の緊要性を確認する。党は、東アジアでの緊要な課題が、朝鮮半島の統一を焦点とした東アジアからの米軍の一掃と日帝の軍事的進出阻止にあると認識し、朝鮮半島・沖縄・日本「本土」の労働者人民の団結をとりわけ重視する。
 K党は、支配階級の差別分断支配、日本帝国主義の社会的腐敗と闘い、新しい社会を建設する労働者階級の能力を育てるために、また被差別大衆を一構成要素とする全人民の統一戦線を形成するために、あらゆる社会的差別との闘い、人権確立の闘いを重視する。 
党は、身体・精神・知的障害者の解放運動においては、障害者自身の決起と団結を重視し、ノーマライゼーションの制度政策要求はそれに従属して支持する。精神障害者への保安処分攻撃を全人民への攻撃として、粉砕する。部落解放運動においては、行政・同和対策事業依存の旧来の傾向を克服し、反差別共同闘争を推進しようとする部落解放運動を支持する。狭山差別裁判を許さず、再審決定を要求し、石川一雄氏の無罪をかちとる。
L党は、政府が年金、医療、福祉など社会保障を後退させることに対して闘い、社会保障の充実を求めて闘う。これら生存権の保障を国家に要求するとともに、社会連帯による共生・共助の諸運動を発展させる。

   (3)党建設と団結・統合の闘い


 Mわが党自身の党建設を次ぎのようにおし進める。党の組織建設では、党勢拡大の意識的な取り組みを全党的に強化する。
 わが党は党勢拡大を、セクト的にではなく、労働者人民の闘争態勢の前進、統一戦線の形成と結びつけておし進める。党が必要とし、大衆運動が必要とする人材を同志として獲得し、階級闘争の前進のために配置していく。
 党勢拡大では、青年・女性の入党をとくに重視する。社会への不満を再び強めつつある青年層への働きかけについて、意識的な取り組みを行なう。また、党外での女性の社会的・政治的進出にもかかわらず、党内では女性党員が後退しているという長年のギャップ状況をきびしく反省し、女性党員の増加と活性化について意識的な取り組みを行なう。
 党は、党勢拡大の主要な武器である中央機関紙について、それを有効に活用するための意識的な取り組みを、機関紙活動者会議などの設定も含め組織的に進めていく。
 N党は、中央・地方・細胞の組織態勢を次ぎのように強化する。
中央については、すべての地方組織の指導と全党を代表しての対外工作を強化するために、最低限、中央専従体制・機関紙誌発行体制・インターネット活用体制の現行水準を堅持し、全国の地方組織への派遣による指導、各地・各方面の諸工作への専従の臨機応変な投入などが、より円滑に行なえるよう態勢強化をすすめる。この中央機能の安定・強化のためには、党勢の一定程度の拡大を早期に実現し、党中央財政を一定強化する必要がある。
地方委員会については、細胞と個々の党員の指導を強化するために、かならず地方党大会を開催して地方指導部と地方方針を確立し、実践し、次の党大会で総括する地方党運営を確立する。こうした党運営によって、地方党指導に責任と能力をもった幹部隊列を強化していくとともに、党勢拡大を実現していく。地方党の党勢を拡大し、地方における要員と独自財政の強化を可能としていく。
細胞については、大衆と直接に結びついた党の基層組織として強化するために、かならず細胞をまとめる責任者(細胞長)を選出し、党勢拡大を含む細胞方針の討議と決定、機関紙誌の配布と拡大、党費の徴収などを組織的に遂行できる細胞運営を確立する。
財政は、今大会以降決定される党費基準を物差しとしつつ、細胞で徴収し、地方委員会が上納に責任を持つ体制を厳格にすすめる。
中央の各専門部の任務については、今大会決議を具体化して、速やかに決定していく。   
 O党の理論・政策建設では、わが党の党性を鮮明に打ち出すようにしていき、「マルクス・レーニン主義の現代的発展」を具体的にすすめていく。機関紙誌での党員個人による理論・政策提起をひきつづき活発にすすめる。理論・政策課題の内、全党的意思一致を進めることが適切なものは、決議案として提起することによって、理論・政策建設への全党的参加を促していく。
 P党は、団結・統合政策を次のようにおし進める。党は、日本の共産主義者と先進的な労働者による大きな統合をめざし、近年の内に、その結集軸を確立する。 
党は、綱領・戦術・組織の上での基本的一致を条件とし、また共産主義運動の現代的発展をめざす課題意識を共有し、また党建設の総括の相互了解を重視し、また大会を開いて指導部と全体を統合することによって、共産主義政党・政派との組織統合を行なう。党は、二党間統合協議を主とする方法によって、対象党派・政派への働きかけを引き続き進める。統合協議では、わが党の「共同声明」「規約」が可変的であることを当然としつつも革命運動の原則を堅持し、団結の願いをもって論争するとともに、意見の相違を柔軟に処理して統合の達成をめざす。
また党は、既存党派の再編という次元だけでは左翼の本格的な再生・結集軸には成り得ないことを認識しつつ、その次元を超えて、広く先進的な人々とこれからの世代にアピールできる規模と内容をもって、団結・統合の大きな流れを形成することをめざしていく。
党は、今現在のわが党自身の党建設、党勢・党性両面での党建設の強化が、より大きな団結・統合を実現していく基本的な力であることを自覚し、わが党の強化と団結・統合政策とを結びつけて奮闘する。
                                     (了)