医療観察法

 精神病者への保安処分新法を許さない

  秋には廃案へ地域からの運動を


 七月末日をもって、今通常国会は閉幕となった。有事法制をはじめとして、あい次ぐ反動的な立法に、世論は決して同調してはいなかったように思われる。
 その一環であった、精神病者にたいする「医療観察法案」は、三月に閣議決定され、五月に国会提出されたが、ついに衆議院さえ通過することができなかった。しかし、廃案ともならず、九〜十月に開始が予想される臨時国会に、審議未了先送りとなった。
 三月の閣議決定のころ、たたかう側は正直言って悲観的だった。早々と「敗けるにも敗け方がある」という、論議さえあったのも事実だ。それをじつに半年近くの長期にわたり、採決をおしやったのは、何よりもいつにない下からの闘う力の盛り上がりがあったからだと思う。
 たしかに今まで、刑法改悪・保安処分立法は、すべて強い反対のなか、葬り去れていた。しかし今回は、なんといっても闘う勢力は、微弱であり、分裂していた。「改革派」の医師は、わずかの残党をのぞいてからめとられ、病者は、いくつもの団体やいくつかの共闘に分裂していた。議会内の情勢としては、民主党が対案を出し、日共は再犯予測は可能とまで言うしまつだった。
 だが、意外と審議はこう着し、ついに決まらずじまいとなったのである。諸戦線、闘う側の勝利である。
 この法案は、主に法務委員会で審議されたが、法務委員会のある火曜と金曜に、議員会館前で、ビラまきと演説をしているは、いつもたたかう「病者」を中心とする医療観察法案に反対する面々だった。「病者」にとって、このような長期戦はきびしいものであったが、時に「こんなにやったら、つぶれるぜ」という声をうけながらもねばり強く闘った。そうした場に、必ず登場する医師や医療従事者も少数はいた。
 こうした力が今回の勝利を導いたものであることは、まちがいない。勝利の要因は、議会政党のやりとりではなく、闘う名もなき大衆がまく一枚いちまいのビラ、シュプレヒコールをあげる一人ひとりの民衆のこぶしだ。私たちは、このことを決して忘れてはならないと思う。
 ただ議会政党も、社民党をはじめ、対案政治を前提としているとはいえ民主党も、とくに後半になるにしたがって、対決の姿勢をつよめていった。
 七月十八日、会期終了を近くして、闘う団体の一つ、六・二三実行委は、野党にたいする要請行動とデモを行ったが、この時は、要請に対しては民主党では水島、平岡(以上、衆)、朝日(参)ら、社民党では植田(衆)、福島(参)ら国会議員が、各党の陣頭にたち廃案までたたかうことを確認した。
 臨時国会まで、少しの間の仕切り直しである。ふたたび地域から運動を再構築し、意見のちがいは「別個にすすんで同時に撃て」という原則で対処して、下手な寝技をろうすることなく、誰が実際にたたかったかで、いい意味で各グループの競い合いとなる情勢を作り出したいものである。そして、長期の闘いで疲れ切っている「病者」は、いまは少しの休息が必要であろう。   (A)