有事法案

「継続審議」許さず

      「廃案」へ追い込もう

 

6・16 STOP!有事法制全国大集会に六万人

  広範な全国陣形へ


 六月十六日、東京・代々木公園において、陸・海・空・港湾労組20団体、平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネットの呼びかけによる「STOP 有事法制6・16全国大集会」が、六万人をこえる労働者、学生、市民の結集で闘い取られた。
 会場の代々木公園には、続々と参加者がつめかけ、原宿駅は集会参加者であふれかえった。午後一時の開会には、広い代々木公園は立錐の余地がないほど人で埋まり、中央会場に入れない人々は、第二会場の大型ディスプレイに映し出される映像に見入っていた。
 松平アキラさんのトランペット演奏ののち、宗教者ネットの石川さんによる「与党の国会会期の大幅延長−継続審議の野望を打ち砕き、廃案を勝ち取ろう 」という開会宣言で、集会は開始された。
 集会では、司馬遼太郎の「軍隊は国民を守らない」という言葉を引用し、帝国主義軍隊の本質を明確に言い表した脚本家の小山内美江子さん、6・8県民大会五五〇〇名での闘争の報告と、「この闘いを職場、地域へと発展させ、廃案へ 」という沖縄平和市民連絡会の本永春樹さん、「日弁連として反対声明を出した」「十七年ぶりに御堂筋デモを行った」という日弁連の伊礼勇吉副会長、全労連の小林議長、高校生平和ゼミナールの和光高校生、また20団体を代表して、湾岸戦争時に「良心的兵役拒否権」を盛り込んだ労働協約を結んだ海員組合・片岡和夫副委員長の発言と続いた。
 国会からは日本共産党・志位委員長、社民党・土井党首、そして「民主党の良識派を代表して」との前置きが笑いと大きな拍手を呼んだ民主党・生方衆院議員の発言があった。 最後に、交通安全会議の大野さんの「有事関連三法案の廃案まで闘い続ける」という大会宣言を全体で確認し、シュプレヒコールを上げたのち、宮下公園コース、明治公園コース、新宿コースと、三方面に分かれてのデモンストレーションを行った。

  問われる本質的批判

 この6・16集会の意義は、今年4・19の五千人集会、そして5・24の四万人集会とつづいた有事法制反対の闘いを継続して、今回、九九年五月二十一日の明治公園で開かれた周辺事態法反対の五万人集会を上まわる六万人の大結集(賛同団体一〇三、個人一一六名)を実現したことに見られるように、政党やナショナルセンターの違いを超えた労働組合、労働者、市民運動、各分野の闘いが合流し、小泉内閣−与党の国会会期の大幅延長−継続審議を打ち破る、広範な全国陣型の端緒が形成されつつあるということである。
 我々は、この闘いを更に地域での共同闘争として打ち固め、この闘いの中軸として労働者の決起を実現しなければならない。
 国会審議のみに、そしてそのための「院外闘争」に押し止めるのではなく、具体的に労働現場で有事動員と闘う20労組の闘いを孤立させない、地域での広範な反戦闘争の布陣を打ち固めなればならない。
 そのためにも、この有事法制の本質をはっきりと見ておかなければならない。
 それは第一に、自衛隊・防衛庁が描いてきた古典的意味での国内有事への反革命的対応と準備であり、第二に、米帝を中心とする国際反革命同盟体制のアフガン侵略に見られ、更に、イラクや北朝鮮をも射程に入れた対テロの派兵型戦争への軍事協力に名を借りた戦争遂行国家作りであり、第三に、「有事」をテコに今日の社会構造を危機管理型国家体制に移行させようとするものに他ならない。
 そうであるならば、「ソ連崩壊以降、日本への具体的な危機など存在しない。あるのはテロや不審船であり、それへの対応が有事三法案にはない」、「有事法は日本国民を米軍の戦争に強制動員する『アメリカの戦争への協力法』」という主張については、前者は「憲法の枠内での法整備」への道を拓くものであり、後者は、その本質の一面しか見ていないものであると批判できる。たとえば日共は、「日本が攻められたら罰則規定などなくても国民は協力する」(筆坂書記局長代行)という発言を見ても明らかなように、「有事の際の自国の防衛」論議に「愛国の党」として完全に屈服している。
 従って、こうした反対主張では、当然にも日米安保との闘い、在日米軍基地撤去の闘い、帝国主義軍隊としてますます強化されている自衛隊の解体など完全に後景に追いやられ、徴兵制−有事体制に抵抗できない。
 今日、ブッシュの戦争政策とイスラエル・シャロン政権によるパレスチナへの戦争に対して、パレスチナ人民の闘争が激化しており、アメリカ帝国主義本国においても、4・20のワシントンでの五万人集会、サンフランシスコでの三万人集会と、反戦闘争が高揚している。
 全世界の反戦闘争と連帯し、反戦・反安保闘争の前進を 有事法制粉砕闘争の大爆発を 全国−地域を貫く強大な大衆闘争を作り出そう   (東京S通信員)
 

大阪、京都でも諸行動活発に

廃案へ闘いの手抜くな


 大阪では、旧総評系の6・8有事法制の廃案を要求する関西集会に、約一万人が結集。また京都では、有事法制制定を求める意見書を採択した京都市議会に抗議の座り込みが闘われるなか、6・13廃案にしよう!有事三法案緊急京都集会が行なわれた。
 続いて六月十五日、大阪・扇町公園で「STOP有事法!戦争はいやや6・15市民のつどい」が約一千名で行なわれるなど、廃案への示威が活発化している。この6・15集会・デモは、これまで「ひびけ沖縄のこころ関西集会」など、沖縄・アジアとの連帯を追求してきた諸団体・個人による実行委で主催された。
 集会では、当面国会情勢は有利になってきたものの、「戦艦・戦車などの修理のための徴用工リストが特定の工場ではすでに作られている」(黒田伊彦さん)との指摘もなされ、油断することなく、今延長国会で廃案へ追い込むために闘いの手を抜くな、と訴えられた。 (関西I通信員)