地域から有事法制に対抗を

   非核平和条例制定運動―北海道から全国へ


 地方自治体は、基本的に「独立」した行政単位である。本来であれば地方自治体が決定した行政施策は尊重されることが基本である。これらを根拠として、「地域から平和」をスローガンに取り組まれた北海道内の非核平和条例運動は、第一段階を終えた。
 一九七五年神戸市議会で決議された「外国艦船に非核証明書」の提出を義務づけた「神戸方式」によって、以降、米艦船は神戸港には一隻も入港が出来なかった事実。それらを補強し、更には、日米新ガイドラインに伴う日本の戦争加担を阻止するために条例制定運動が函館市を皮切りに始まったのであった。
 函館市の取り組みは、九九年三月議員提案で成立を図ったが審議未了で廃案となり、それからも持続的運動の中で、今年三月、七万筆署名を背景に再度の提案だったが、採決の結果、賛成一四、反対二〇で否決され廃案となった。
 同時期、苫小牧市では理事者側から提案され、全会一致で採択された。内容は「神戸方式」には届かないが、「非核三原則が損なわれる場合、関係機関に協議を求め、必要な場合は適切な措置を求める」が盛り込まれ、外国艦船の入港許可についても「地方自治体の権限、管理にかかわる」とし、主体は地方自治体にある事を明らかにしている。
 そして、新ガイドラインの先取りとして米空母「キティ・ホーク」が入港した小樽市では、市民団体の条例制定の請願書提出も否決されてしまった。
 この動きを察知してか小樽港では、五月三十日、米第七艦隊所属のイージス艦「カーチス・ウィルバー」が、六月末入港の打診を求めて来ている。
 しかし、函館、苫小牧、小樽、帯広、室蘭、札幌では二月に、各市の条例制定運動・平和運動が連携して「地域から平和をつくる全道ネットワーク」が作られており、ひき続き港湾等の軍事利用を許さない運動が続けられている。
 国会で審議されている「有事法制」は、自治体が管理する「港湾・空港」等の施設管理権を国が権限の中でなきものにしようとする法案となっており、その意味では、既成事実化と、条例運動を風化・無力化させようとする動きであることを見ておかねばならない。
 私たちは、北海道から「発信」された平和条例制定運動を幾多の困難があろうとも推し進め、条例を制定させるために奮闘して行かねばならない。この非核平和条例をテーマにする全国集会が、昨年には横須賀市で、先日の五月二十五日には鹿児島市で開催されており、全国に呼応する動きも高まってきている。その制定運動こそが、日本の戦争国家作りに「抵抗する力」となることは明確である。
 また、制定されても今の政治体制では、その条例をいつでも無力化させようとする力は出てくるのが必然である。その意味でも、実効あるものにするために地域からの平和運動が決定力となるだろう。
 まさしく、「平和・条例制定」運動こそが、北海道の平和勢力の一翼となって来ており、私たちも積極的に参加し運動を盛り上げて行きたい。 (北海道M通信員)