戦争法案の断固阻止を


 有事法制三法案の四月十六日・閣議決定、翌日の国会提出に対し、この戦争法案を断固阻止し、廃案へ追いこむための大衆行動が全国各地で展開されつつある。
 二年目に入った小泉内閣はその「改革」のペテン的効力も失って急速に不安定性を高めつつあり、戦後誰もやらなかった有事立法への突出によって、日本人民とアジア諸国政府・人民の批判と懸念に包囲されつつある。今通常国会で法案を阻止することは、充分に可能な情勢となっている。
 そのためには、有事立法に反対する政党・団体・個人が大きく共同戦線を作り、世論・マスメディアまた野党民主党などを明確な法案反対へ塗り変え、小泉内閣が国民に包囲・攻撃されて倒壊するというような状況をたぐりよせるための、強大な大衆行動を実現することが必要だろう。
 当面、超党派の取り組みで行なわれる五月二十日・大阪での大集会(扇町公園)、五月二四日・東京での大集会(明治公園)に広範に参加すること、五月七日から強行されようとしている衆議院有事法制特別委員会の審議入りを許さず、怒りの国会行動を持続・発展させることなどが問われている。四月の諸行動を、五月・六月へ急速に拡大しよう。

閣議決定許さず

異議あり!有事法制4・16集会

 

 東京では、有事法案の閣議決定が強行された当日の四月十六日、「異議あり!有事法制 世界の人びととともに戦争をとめよう4・16集会」が日比谷野外音楽堂で開かれ、約三千人が結集した。呼びかけは、社民党系の労働組合などが参加のフォーラム平和・人権・環境、原子力資料情報室、テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動。
 集会では最初に、四月二十日の国際反戦共同行動を呼びかけている米国の反戦団体からのアピールが紹介された。発言では、社民党の福島瑞穂参院議員の他、民主党からも佐々木秀典衆院議員の挨拶があった。また、イギリスの市民運動を通じてイスラエル軍の虐殺を阻止する行動に参加し、四月一日にイスラエル軍の銃撃で負傷させられて帰国中の清末愛砂さんも登壇し、イスラエル軍の即時撤退とパレスチナ民衆への具体的支援を、と訴えた。集会アピール採択後、「市民は戦争に協力しない!」の横断幕を先頭に、銀座方面へデモ行進をおこなった。こうして、国会に載せられた戦争法案とのたたかいの火ぶたが切られた。

STOP!有事法制4・19大集会

  陸海空・港湾労組などが

        超党派で大結集

  
 四月十九日には、交通・運輸関係、医療、建設関係の労働者などがナショナルセンターの違いを超えて大挙参加した形が特長の、「STOP!有事法制4・19大集会」が日比谷野音で開かれ、会場に入りきれない五千人余が参加した。呼びかけは、陸・海・空港湾労組二十団体、平和を実現するキリスト者ネット、日本山妙法寺。
 最初に呼びかけ団体を代表して、航空安全会議議長の大野則行さんが挨拶、「ありそうにない外国の侵略に備えるとして有事法案が出されたが、ありうるのは米国が引き起こす周辺事態。周辺事態の戦争に私たちを動員するのが、この法案だ。私たちは、被害者にも加害者にも成ることを拒否する」と訴えた。
 連帯挨拶では代理を含め、社民党・福島瑞穂、共産党・筆坂英世、衆院議員・川田悦子、民主党・金田誠一などの各氏が参加。
 各分野からの発言では、日本弁護士連合会の川中宏副会長、女性の憲法年連絡会の江尻美穂子さん、浄土宗見樹院住職の大河内秀人上人、全建総連全国青年部協議会幹事の品川太さん、社会保険病院看護婦の堂薗幸子さん、日本消費者連盟の富山洋子さん、一万人アピール署名運動の高校生が、それぞれの立場から有事立法阻止を訴えた。
 NCCの西原美香子さんの元気な音頭で「有事法制反対ウェーブ」をやったあと、集会宣言と続き、閉会あいさつでは「5・24明治公園の五万人集会を成功させよう」と強調された。デモは、銀座コースと国会請願コースの二手に分かれて行なわれた。
 採択された集会宣言では、戦争の「加害者」にも「被害者」にもなることの拒否を強く訴えるとともに、有事法案の「本質は、アメリカと日本が、日本とその『周辺』で行なう戦争行為への『協力』を、さまざまな形で多くの市民・労働者に押しつけるものです。これはまさに、『周辺事態法』発動にほかなりません。」と適確に批判している。
 一九九九年五月二一日に明治公園で行なわれた周辺事態法反対の五万人集会が最初であったが、戦争協力・動員の主な対象となる職種の労働者が中心となり、また媒介となって、政党やナショナルセンターの違いを超えた共同行動が可能となっている。今のところ労働組合の参加としては、全労連、全労協、全港湾などの非加盟、一部連合加盟単組であるが、有事立法反対の一点で一致して、より多くの労働組合が積極的に合流していくべきものと考えられる。

 4・20

   世界16ヶ国同時統一行動

  世界の人々とともに

  戦争をとめよう

 つづいて四月二十日、東京・芝公園において市民団体を中心として「世界の人々とともに戦争をとめよう!有事法制に反対 全国集会」が、世界十六カ国の同時統一行動として行なわれ約一千人が参加した。主催は実行委員会。
 主催者挨拶は、日本消費者連盟の富山さん、「戦争をやる法案は、憲法違反で提出自体が不法です。有事立法反対は、不法な小泉内閣打倒の闘いでもあると思います」とアピール。
 海外ゲストからは、非核フィリピン連合のコラソン・ファブロさんが、「米軍が十年ぶりに舞い戻ってきて、フィリピンは第二のアフガンになろうとしている。米軍は沖縄、横須賀から来ている。日本の有事立法はアジアへの脅威だ」と述べた。また三名が来日した韓国全国民衆連帯からは、「南北は対話を再開しているのに、日本だけが有事立法で緊張をもたらしている。偽りの平和の韓日共催ワールドカップに対して、対抗アクションを」と訴えた。また米国「平和のための退役軍人会」のジョン・シューシャードさんは、「何百のUSAの反戦団体は9・11以降、アメリカは戦争に行くな、と繰り返し立ちあがっています。ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ウォー」と叫んだ。
 国内からの発言は、この日「廃案」要求決議に踏み込んだ日弁連の有事法制委員会からの報告として内田雅敏弁護士、非核ヨコスカ宣言運動、広島県全市町村で法案反対の要請行動を進めている有事立法はいけん!広島県市民の会、ホームページでの反戦平和アクションを展開するネットワーカー、パレスチナ子どものキャンペーン、有事法制に反対するアジア共同声明から行なわれた。労働組合からは代表して、航空安全会議が発言した。
 つづいて、有事法制反対公募キャッチコピーの優秀作品、「国家守って人守らず」などが発表され(デモ先導車にこのコピーが大書きされていた)、最後に喜納昌吉さんのミニコンサート、集会宣言で終わって、銀座方面へデモに出発した。

  米国反戦運動も最大規模で


 なお、ブッシュ政権の戦争政策とイスラエル・シャロン政権のパレスチナへの戦争に反対するこの国際同時行動を呼びかけたのは、米国の反戦・反人種主義の諸団体による連合体(国際ANSWER)。この日、ワシントンでは、G7財務相会議に抗議する集会と合流する形で五万人、サンフランシスコでは三万人が結集し、9・11以降最大の反戦行動となっている。
 そのワシントンでの行動は、「四月二十日動員行動」による世界に向けての呼びかけによると、次の諸要求、一、軍人と企業の圧制ではなく社会的・経済的公正に基づいた米国の外交政策を。一、人種によるプロファイリングと、有色・労働者階級の若者を標的とした軍人募集に終わりを。一、9・11の攻撃と景気後退の経済的犠牲者に役立つプログラムに対する政府資金の提供を。一、移民に対する人権を無視した秘密の投獄に終わりを。一、軍事目的でない教育用資金援助の増額を。一、軍と大学との契約の完全開示を。を掲げている。
 米国の反戦運動、アジア・全世界の反戦運動と連帯して、日本の有事立法を叩きつぶそう。(東京W通信員)

 4・9大阪

  小泉「改革」NO!有事法制NO!

  春闘の中から反戦決起

 四月九日、小泉「改革」NO!改憲・有事立法NO!リストラ・解雇を許すな大阪集会が開かれ、大阪市扇町公園に大阪ユニオンネットワークの諸労組や釜ケ崎日雇労組などを中心に、約七〇〇名が結集した。主催は大阪集会実行委員会、共催は大阪労働者弁護団。 この行動は、春闘行動の一環として大阪ユニオンネットなどが市民団体と共に、有事立法反対をはじめ労働法改悪と医療費アップに反対などを掲げて、東京などの小泉「改革」NO!の運動と連携して取り組まれた。
 集会は、小泉改革NO戦争NO全国キャラバン隊が大阪の地に結集するなか、全港湾、大阪電通合同、全日建関生支部、キャラバン隊の徳島全労協などから連帯のあいさつが行なわれた。リストラ攻撃、NTT十一万人大合理化攻撃への反撃、今国会に提出されんとしている有事立法の阻止に向けた闘いの構築、そして春闘をたたかいぬくことを確認した。また大阪労働者弁護団からも、労働法・憲法改悪反対、有事法制反対の決意が述べられた。 そして、大阪中央郵便局までデモ行進を行なった。

 

4・19剣崎公園に6000名

  旧大阪総評系も大挙決起


 つづいて四月十九日には、大阪平和人権連帯会議の主催で「有事法制等に反対する反戦平和集会」が開かれ、中之島剣崎公園に約六〇〇名が結集した。
 この集会の特長は、大阪平和人権連帯会議の主催であるので、その下に結集している旧大阪総評系の労働組合が全部ではないが多く結集し、大教組、市教組、自治労大阪を中心に私鉄総連、JR西日本労組など連合加盟の組合が結集して参加者が大きくふくれあがったことである。
 参加した組合員の多くは政治集会に参加するのは久しぶりと思えるが、久しぶりであるから逆に、今の戦争国家体制作り・有事立法・憲法改悪に不安と怒りを共有し結集したものとおもえる。
 参加した労働組合は、労働者の立場から有事立法阻止を力強く訴え、とくに大教組からは「再び教え子を戦場に送るな」と訴えられた。長蛇のデモは、梅田方面を行進した。
 関西では、有事立法阻止の5・20大集会へ向けて、交通運輸産業の労働組合が四月十二日に共同呼びかけ文を発表した。
 共同呼びかけ文「有事法制反対の1日共同闘争を成功させよう」では、「私たち陸・海・空の交通運輸産業で働く労働者を組織する十四団体の労働組合は、職場の安全と命を脅かし基本的人権を制限する有事法制に強く反対します。」「私たちは私たちは、所属するナショナルセンターや組織の違いを超えて、平和憲法の理念を共有し、1日共闘による有事法制反対のたたかいに立ち上がりました。」「共同闘争の力で法案を廃案に追い込むことを訴え、『有事法制反対5・20関西集会』への参加を呼びかけまする」と訴えている。
 呼びかけの十四団体は、全港湾関西地本、大港労協、港運同盟近畿地本、海員組合大阪支部、運輸労連大阪府連、全日建連帯近畿地本、建交労大阪府本部、私鉄総連関西地連、国労西日本本部、JR西労組、全自交大阪地連、自交総連大阪地連、航空連大阪地連である。
 5・20大集会に、広範な労働組合の合流を。   (関西N通信員)

4・20 大阪の国際反戦共同行動

  米領事館へ戦争やめろ


 4・20国際反戦共同行動は、大阪においては米領事館抗議行動として、午後二時より約六〇名の結集で行なわれた。
 この国際行動は、米国インターナショナルANSWER(戦争と人種差別をやめるために今行動を)が呼びかけたもので、大阪ではアジア共同行動などによる実行委で取り組まれた。
 大阪米領事館前の集会ではまず始めに、米軍の世界各地への侵略戦争に対する抗議文が読み上げられた。そして参加者は、フィリピン、イエメンへの戦争拡大反対、イスラエルへの軍事経済支援の停止、イスラエルのパレスチナからの撤退、サウジアラビアその他世界各地からの米軍の撤退を求めるシュプレヒコールを繰り返した。日本の戦争遂行と米国への加担をやめさせるシュプレヒコールも繰り返し行なった。
集会発言ではまず、英国パレスチナ支援NGOの一員として現地入りし、ベツレヘムでイスラエル軍の威嚇射撃によって右足の怪我をした清末愛砂さんが、イスラエルのパレスチナ人への虐殺・横暴に対する非難を行なった。続いて全日建連帯労組、自立労連、韓青同、学生団体から、米軍の侵略と自衛隊の海外派兵反対、有事法制を阻止する決意表明が述べられた。(関西H通信員)

春の全国共同行動4・17中央集会

小泉改革・戦争NO!

 四月二日から展開されていた「小泉改革NO!戦争NO!春の全国共同行動」の集会行動として、四月十七日、東京では厚生労働省等に対する一日行動と中央集会が行なわれた。 日中には、いすず川崎および日本GM、トヨタ東京本社、NTT、住友重器、みずほ銀行などへの争議行動が行なわれた。
 夜の「吹き飛ばせ小泉改革 戦争NO!2002春の中央集会」では、永田町の社会文化会館に約七〇〇人が参加。
 主催者あいさつは、柚木康子さんが「小泉改革は不安定雇用労働者を増加させただけ。その上、有事法制で自由と生活を破壊しようとするもの」と糾弾。連帯あいさつでは、社民党の保坂展人衆院議員が、この日有事立法国会提出が強行されたことをふまえて、共同のたたかいの強化を訴えた。
 「小泉改革NO」「戦争NO」の手看板を参加者一同が掲げて気勢をあげたあと、国会請願デモへ出発。議員面会所では土井たか子社民党首も出てきて、エールを交換した。(東京A通信員)

軍事利用強まる全国の空港・港湾

有事法制阻止と共に軍港化阻止を


 有事法制制定の動きの中で、全国で空港・港湾の軍事利用が強まっている。しかし不況の中、財源確保問題もあり、空港整備においては、新規事業を認めず都市重点に移し、空港・港湾においては軍事利用が進められようとしている。
 三月に国土交通省は、〇三年に始まる第八次空港整備計画(八空整)の方針を固めた。七空整で未着手だった十一空港の新設・滑走路延長は凍結され、その分の予算を〇五年開港の中部国際、〇七年供用目標の関空二期、更に羽田の四本目の滑走路などにシフトするというものである。ただしここでも、東アジアへの拠点となる沖縄新石垣空港は、離島名目で残ることになった。
 一方で、現在供用されている民間空港の軍事利用は、地元自治体の禁止要請にもかかわらず、米軍機は昨年度二十空港で八〇八回に上り、特に沖縄の下地島、波照間空港は合計三十八回で、これはフィリピンでの合同演習への往復の時、給油のため使用し始めたものである。一方、自衛隊機の使用は、演習名目で七十三空港、三万六千回余に増えている実態である。
 

  4・15大阪港米艦反対

港湾でも、関西において自衛艦・米艦の民間港への寄港が拡大している。昨年八月、いわゆる「非核神戸方式」を崩そうと、神戸は実現できずに姫路港に、一昨年十月の大阪南港に続いて巡洋艦「ビンセンス」が、入港を強行した。
 今回は米第七艦隊の旗艦「ブルーリッジ」(満載排水量一万八千五百トン)が、四月十四日に、大阪港中央突堤北岸壁に入港した。目的は、乗務員の休養と物資補給とされている。しかし、かつて九〇年に同艦が舞鶴港に入港したが、米情報公開法による米海軍文書によれば、この寄港は有事に向けた舞鶴港の支援能力に関する調査目的である事がわかっている。今回ももちろん調査目的を持っており、軍事利用の地ならしであり、現在はインド洋で軍事展開している米第七艦隊の中枢司令部としての旗艦の入港である。
 翌十五日には天保山公園にて、大阪平和・人権センターの呼びかけで軍港化反対の抗議集会が約千名で取組まれた。去る三月にも自衛艦三隻の入港があったばかりであった。
 

  4・13神戸空港いらない

一方、八空整でも既着工分として認められる方向となった神戸空港に対し、四月十三日、大阪市のエルおおさかにて、「神戸空港いらんで−どうなる大阪の空と海 関西に空港は三つも要りません!」講演会が、五〇名の参加で取組まれた。昨年末に結成された「反空港全国連」の取組みの一歩ともいえる集会で、「無党派市民ネット」が主催し、「神戸空港工事の中止を求める市民の会」、「ミナト神戸を守る会」と「反空港全国連絡会・関西」が共催した。
 集会はまず、『THE・END神戸空港』の著者である野村知生氏が、一兆円もの公共投資となる無駄な計画と年間三百四十万人もの過大な利用客を予測し、埋立てた土地を売却しての収支というデタラメさを暴露した。つづいて航空安全会議大阪支部議長でパイロットの森徹次氏が、六甲と生駒の山にかこまれた狭い空域で、関空と発着ルートの重なる危険性について解説した。神戸大人間環境学科の讃岐田訓教授は、神戸空港の埋立てが海流を妨げ、芦屋、西宮から更に大阪の海の汚染が拡大する危険を訴えた。
 

  4・21関空反対現地行動

四月二十一日には、大阪府貝塚市二色の浜にて、「二期・軍事空港、陸上飛行を許すな!関西新空港絶対反対!」泉州現地集会が、「泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会」の主催で開かれた。集会には、関西新空港に一貫して反対してきた釜日労を始め百二十名が参加したる
 集会では、まず名渡山代表が、「今年、住民連絡会結成三十年を迎えた。関西新空港は地域社会の破壊、地場産業の破壊をもたらし、府を始め、沿岸市の赤字を引き起こしてきた。一方、有事法制が進む中、空港の軍事利用が進んでくるだろう。政治の腐敗を生活の場から見直し、二期工事反対、陸上飛行反対、そして軍事利用反対の闘いを更に強めていこう」と訴えた。
 共闘の連帯のあいさつは、尼崎市議の酒井さん、関西三里塚闘争に連帯する会の上坂さん、釜日労の藤井さん、労働者共闘、関西共同行動、京都の学生等から決意が述べられた。貝塚まで空港反対を訴え、デモが行われた。
 有事法制体制が目論まれている中、空港、港湾の軍事利用は必ず強まる。関西の地での神戸空港、関西新空港二期工事への反対運動を強め、神戸・大阪港の軍港化を阻止していこう。(関西S通信員)