自治体臨職の02春闘

正規・非正規の分断越え

  地域労働者住民と連帯し

    社会変革めざす主体へ


 二〇〇二春闘をどう闘うか、この問いを自らに発したとき、課題の大きさに、はっきり言ってわたしは立ちすくむ。
 わたしの勤務する自治体では、自治労中央での不祥事の発覚、そして不況と自治体「行革」の結果、正規職員の労働組合からの離脱者が増えている。私たちの臨時・非常勤職員組合においても、なかなか前進しない闘いに対する焦りや、正規職員とのあつれきなどで組合員が減ってきている。
 わたしの自治体も財政危機に陥っており、労使一体となって財政健全化に取り組むという雰囲気を余儀なくされている。こうしたなか、当局は、労働条件改善の要求に対して、市民の視線(公務員は一般市民より高い収入を得て、しかも仕事をさぼっているとする「視線」)という論点を持ち出したり、民間労組の例を引き合いに出したりして、労組に屈服を迫ってきている。
 最近、正規職員の残業手当を削減して、その分臨時・非常勤職員を増やす動向が、自治体ワークシェアと呼ばれて広がっている。ここには、人減らしの中、残業が本当に減っているのかという問題や、臨時・非常勤の低賃金・不安定雇用がそのまま拡大するという問題がある。ここではそれを論じないこととするが、わたしの自治体でもこの動向を先取りして、数年前から臨時・非常勤を大量に雇用しており、それが正規職員の待遇改善を押しとどめる要因になっている。真の意味での労働の分かち合いではなく、決められた仕事をカネをかけずにこなすための対策になっている。
 私たち臨職は、財政危機の責任は労働者にはないとして、このかん少しずつでも労働条件の改善を勝ち取ってきたが、当局は、私たちの条件でも「世間相場より良い」として攻撃している。私たちは、正規職員との格差解消を目指し、自治労の提起する短時間公務員制度の確立(臨時・非常勤を、勤務時間が短いだけの基本的に正規職員と同じ職員として位置づける)という方針にもとづいて待遇改善を求めつづけているが、当局側は、雇用関係を規定した法的観点からみて、その実施は難しいとしている。
 正規職員の労働条件は年々切り下げられている。臨時・非常勤の労働条件は何とか少しずつ改善されつつあるが、今春闘では、きびしい攻撃の前に現状の防衛で精一杯となることが予想される。
 このような状況の中、今年の春闘をどういう基本姿勢で闘っていくのか、私なりに考えてみた。
 まず第一に、現在の自治労の路線、連合の枠組みの中で、民主党を支持して国政を変えていくという路線に付き従っていては、闘いを前進させていくことは難しいということ、増大する非正規雇用労働者をむしろ主役とした新しい日本労働運動を前進させ、それに合流して闘っていくという大方向を共通の認識にしていくことではないかと思う。
 第二に、自治体に臨時・非常勤労働者として働くことの意味を、深く掘り下げて考えてみることが必要だと思う。
 自治体で働くということの中には、基本的に日本帝国主義の自治体政策を執行する役割をどうしても担わざるを得ないという側面がある。意識的に学習して、その負の側面をどう克服していくのかということを念頭に置かなければ、地域住民の闘いに敵対する立場に立ってしまう。また臨職の圧倒的多数は女性であるが、女性差別とどう闘うのかという姿勢を確立しつつ、地域の反差別の諸運動とどう共闘していくのか、仕事を通じて地域住民とどう結びついていくのか、を追求していく必要がある。
 第三に、以上のことをふまえつつ、他の自治体の臨職や、地域の民間の労働者と交流して共通認識を深めること、また労働者階級の社会変革の理論を学びながら、社会変革を目指す主体として自らを成長させていくことが必要である。
 この三点を追求していくことは、非常に困難である。しかし、この困難を回避すれば、私たちはバラバラにされ、労働条件の防衛すら不可能な状況に追いこまれてしまう。 
 こうしたことを念頭に入れ、腰を落ち着けて今春闘に取り組まねば、と考えている。(自治体臨時労働者T)