2・16三池炭じん爆発40年シンポ

  問われる労働安全の根本姿勢

 二月十六日、三池CO研究会が主催して「三池炭じん爆発40年 戦後最大の労災事件、その教訓を引き継ぐために」というシンポジウムが東京で行なわれた。
 一九六三年十一月、大争議が終結してまもない三井三池炭鉱で炭じん爆発が起こり四五八名が死亡した。生存者九四五名を含めて八三九名がCO(一酸化炭素)中毒にかかり、今でも苦しんでいる。その苦しみは本人だけではなく介護にあたってきた家族にも及んでいる。
 一九七二年、家族の苦しみに対して損害賠償訴訟を起こした松尾專さんらの闘いは、特に注目された。第一審で、国は三井鉱山の責任を認め原告に対して損害賠償を払うように命じた。しかし家族の蒙った責任は認められなかったので最高裁判所にまで上告して争うことになったが一九九八年この上告は棄却された。
 このシンポジウムは裁判などを通じて明らかになっていった三井鉱山の姿勢、爆発当時の状況、その後の企業責任追及などを資料集に残すために企画され、研究会会長の星野芳郎氏、炭じん爆発を医師として追及し続けてきた原田正純氏、裁判闘争を支援した弁護士の美奈川成章氏、元労働基準監督官の井上浩氏、ルポライター鎌田慧氏が発言し、戦後最大の労災事故の教訓を引き継ごうと訴えた。
 その後も日本では大きな労災事故が起こったが、三池の教訓を踏まえていれば防げるはずのものがいくつもあったはずである。安全に対する企業の根本姿勢と、労働組合のありかたが見直されるべきであり、人が働くことの尊さをその基本に据えなければならないという思いが、発言したパネリストの方々から感じられた。
 資料集は来年四〇周年を目安として編纂されるが、是非多くの人々が注目され今後の闘いに生かしてほしいと思った。(東京H通信員)