2・16第二回釜ヶ崎講座「野宿者支援法の早期成立を」

  「自立」をめぐり活発な討論


 大阪・釜ケ崎では、一月十日までの第三十二回越冬闘争が取組まれた後、一月十四日の東京での日雇全協決起集会、一月二十五日の「野宿生活者支援法」早期成立を目指した第五次国会前座り込み・集会に代表派遣を取組むなど闘いを継続している。一月二十九日には、一月四日のお礼まいりデモで提出した府・市に対する要求への回答促進の取組みが行われている。
 さて、昨年十月に立ち上げられ、十二月八日「釜ケ崎は今‥‥」と題した講演の集いを六十余名で成功させた「釜ケ崎講座」は、二月十六日、第二回講演の集いを開いた。
 今回は、「野宿生活者自立支援法の早期成立を」をタイトルに、講師に連合大阪・中小労働運動センター所長・要宏輝氏を招いて取組まれた。会場のエル・おおさかには第一回の集いを上回る七十名の参加者があり、「野宿生活者への特別立法」への関心の高まりを示し、「釜ケ崎講座」の取組みが定着したことも示したものとなった。
 要さんは講演で、「何故連合大阪という組織労働者がホームレス問題に取組むのか。ホームレスの出身は労働者であり、我々のOBだ。大阪の失業率は全国で二番目で、六・九%に達している。連合でアンケートを取ったところ四人に三人が雇用に不安を訴えている。大阪ではこの三年間で五十二万人の雇用が失われた。東大阪市の人口、連合大阪の組織員が全てクビとなったに等しい数である。労働組合は、公正な社会をつくる事を目的とする。かつては適正配分問題だった。現在は社会的セーフティネット作り、排除のない社会づくりだ。ホームレス三万、失業者三百万人は排除された状態だ。やり直しのできる社会、再参加のできる道をつくり出す取組みこそ労働組合に問われていると考えて取組んできた」と、連合大阪の取組みの視点を明確に説明した。
 続いて、昨年六月提出された民主党案の立法趣旨と法案の骨子を説明した後、昨年十二月の民主党と自民党社会労働委員会での合意という報道記事を機として与党のワーキングチームに戻された経過と、その後の新たな動向を説明した。また大阪市から出された三項目の修正意見について厳しい批判を説明した。
 この通常国会の中で連合大阪としても、「公的就労、雇用創出」こそが実効のある現実策であることを柱に、国に法律を、自治体に施策を求めて奮闘すると結んだ。
 会場からは活発な意見、質問が出された。「自立」という言葉をめぐって違和感を感ずる、野宿生活者に失礼では、との意見も率直に出された。これについてNPO釜ケ崎支援機構の山田理事長は、「今までの福祉での措置主義は、現実はあてがいとされ、一方で依存型となる面をもっていた。自立支援という表現の中には、当事者主義すなわち自分にあったものを、お互いの助け合いのあり方の中から作りあげていこうとしている事、とりわけ働くことを通した社会参加の一形態を通して、野宿生活からの脱却を目指せる質を含めている」と、当事者からの意見として答えた。
 活発な質疑の中で、時間も足りなくなる集いであった。国会運営が予算審議前に空転する状況の中で、「野宿生活者支援法」の制定をめぐっては、種々な困難が予測される。今回の講座の取組みは、論議を交わしながら法案の早期成立を目指す動きを更に作り出す上で時期にかなったものとなった。講座は引続き連続して取組まれる予定である。  (関西S通信員)