1・31〜2・1

  注目の自治労臨時大会開かる

  自治労再生へ課題はのこる


 自治労は、一月三十一日から二月一日の二日間、臨時大会を開催した。
 いわゆる不祥事が発覚して最初の大会であり、不祥事の真相と原因の解明、そして責任の所在と今後の再発防止が果たして明らかになるのか、ということで全国の組合員が注目する大会となった。
 多額の負債と裏口座の存在は、特定の幹部の不正に限定されるものでなく、なかば組織的に了解してきたものと認知され、中央執行委員長をはじめ本部役員経験者は辞任することになった。また負債返済のため本部役員及び本部役員経験者は、一定の拠出を求められ、各都道府県本部の現・旧役員にもカンパが要請されることとなった。
 本部役員はこれまで、民主党支持の主流である組織力の大きないくつかの都道府県本部を中心として選出されていたが、不正問題追及の中から、この点にも批判が集中し、今回の中央執行委員長をはじめとする役員補充にあっては、この点を配慮した人事となった。しかし本来ならば責任追及と運動の再生をめぐって競争選挙もあってしかるべきであり、役員選出の過程が未だに不透明だという批判も当然ながら大会代議員から出された。

  基金本体の徴収は停止


 負債の返済にあたっては、これまで全国の組合員から集めてきた自治労基金を借入することになり、結果的には、全組合員が責任を負わされる羽目となった。多額の負債は既に一九八〇年代から始まったとされ、日共グループの組合費の納入停止と離脱、多くの国会議員(当時は社会党)を抱えたことなどが、その原因の始まりとされた。共済事業から生み出された裏口座の存在も対日共との組織対策に使われたということである。
 つまり多額の負債と裏口座の存在は、国政選挙と組織防衛上必要であったが、その手順や手続きが不透明かつ民主的でなかったと反省されている。そのため中央本部に対して、多額の負債と裏口座の真相を求める地方幹部の追及の声は、反主流派の社民党支持派も含めて次第にトーンダウンせざるを得ない状況になりつつある。というのは、この間、不透明な支出や負債について、中央本部は反省を含めて原因を徐々にではあるが弁明してきたが、組合員レベルでの論議では誤解を招くので、表現に注意してほしいという県本部さえ、あったくらいである。とりわけ、国政選挙や組織対策で中央本部から資金を受け取った県本部などは尚更である。
 野放図な多額の負債を負った背景としては、多額の自治労基金の存在があげられ、今後の方向としては基金の一部を取り崩し五十億円を各都道府県本部に交付するとともに、社会貢献基金の創設が提案され、基金本体の徴収は停止することになった。基金の一部を負債の返済のために借入することもあり、全組合員に納得してもらうためにも、基金の徴収停止は賢明な措置と思われる。しかし公務員改革大綱に対する闘いや、市町村合併に対する対応、さらには現業部門の合理化に対する闘いなど、自治労を取り巻く厳しい情勢の中、基金の充実を図るべきだという意見も数多く出された。
 だが、はっきりした目標・目的がないままの基金の増額は、今回のような腐敗を生む温床となる危険性は高く、近年は民間を含めた公共サービス部門の組織化に力を注ぐために基金を取り崩したように、大衆的論議の中で、労働運動が進むべき道を指し示していくことに使われるべきであろう。

  民主党支持路線が問題


 大会は労働運動を取り巻く情勢が厳しい中、分裂・分散の方向ではなく、自治労の団結を守る方向で閉会したが、全国の数多くの組合員が納得するものには、残念ながらまだほど遠いと言わざるを得ない。端的に言えば、総括は国政選挙と対日共との組織対策にカネがかかったというだけであり、それを実行してきた地方幹部も中央本部の総括と事後対策に従わざるを得なかっただけのことである。
 そこには多くの組合員の意識とかけ離れているものがあると指摘せざるを得ない。確かに自治労は機関手続きをとりながら、民主党支持を決め、民主党の選挙運動に力を入れてきたが、多くの組合員は反自民党ではあっても、熱心な民主党支持者ではないのである。とりわけ自衛隊の海外派遣や有事立法への対応、「改革」を自称した新自由主義など民主党に対する不信は高まっているのである。しかし原則的な労働運動に真面目に取り組む自治労の活動家が現場にいるからこそ、多くの組合員は自治労を信頼し、国政選挙にも一定理解を示し、協力してきたのである。
 このことを抜きに単に国政選挙や日共対策にカネがかかりましたでは、誰が納得するであろうか。このことは地方幹部も現場に近い分だけ、承知しているのである。だからこそ、前述のように組合員に誤解を与えるような表現はやめてくれと、本部に注文をつけなければならなかったし、これ以上、資金の使途を明らかにさせるのは、自分達の首を絞めかねないので、大会方針に手を打たざるを得なかったのである。
 よって、不祥事問題はこれで解決したのではなく、政治闘争のあり方を含めて、労働運動のあるべき姿を求めて、今後活発に大衆的議論が進められることが望まれており、そのことが自治労の再生を図るものになるだろう。  (自治労M通信員)