抗議で迎えられたブッシュの東アジア歴訪

  小泉のみ「悪の枢軸」論に追従


 米大統領ブッシュが二月十七日に来日し、十九日には訪韓、二十一日には訪中した。
 ブッシュの来日・東アジア歴訪は初めてである。昨年のアフガニスタン侵攻以降、「対テロ」戦争中を自認し、一月の一般教書演説で北朝鮮・イラク・イラン「悪の枢軸」論をぶったブッシュ、この戦争屋というべき最悪の米大統領に各国首脳がどう対処するのか、注目された。
 ところが日本の小泉首相は、十八日の日米首脳会談で「『悪の枢軸』については、大統領のテロに対する強い決意と受け止めている」と応答し、NATO諸国を含む世界の諸政府の対応とは相当かけ離れた米国追従ぶりをさらけ出している。これは、日本と良好な関係にあるイランを含め北朝鮮、イラクに対して「テロ国家」として、日本が米国と共に対処すると言明したに等しい。
 とくに、ブッシュがその「悪の枢軸」に対して「我々はすべての選択肢を排除していない」と述べ、第二次対イラク戦争計画と「フセイン政権打倒」を公然と語っているなかで、小泉は、「イラクについては、国際社会が協力して取り組むことが重要だ。テロとの戦いについては、日本は米国と常に共にある」と応答してしまっている。普通は、二十一日の中国・江沢民主席の対応のように「平和解決を望む」とか何とか言うものなのである。
 小泉の応答は、ブッシュがイラク攻撃を始めれば日本は参戦すると約束しているに等しい。このような約束は、日米安保条約からも周辺事態法からも対テロ特別措置法からも決して出てくるものではない。(対テロ特別措置法はアフガン問題のみに限定された時限立法である)
 このように小泉のブッシュ支持ぶりは、世界的に見ても異常なものである。ブッシュも小泉を改革者として異様にほめている。小泉連立政権は昨秋、後方支援とはいえアフガン侵略戦争の実戦への自衛隊派兵に踏み切った。ブッシュは今回、「日本ほど堅固な支持をいただいている国はない」と述べている。日本の参戦について、当面は軍事的というよりも政治的な意義において、ブッシュは小泉を高く買っているのである。
 しかし、ブッシュはこの「反テロ」の盟友小泉を、日本の内政問題・経済政策で失いかねない。それで、「不良債権を市場に移せ」などのいわゆる助言をやかましくしている。日本発の世界恐慌になれば、小泉もブッシュも共倒れだ
 小泉のブッシュへのとんでもない言明が出てくるのも、結局日本の労働者人民の反戦平和闘争と小泉連立政権を許さない政治勢力が弱いからである。これと対照的であったのが、ブッシュ訪韓での情勢である。
 韓国の労働者人民と広範な政治勢力は、朝鮮半島を戦場化し、同胞民族の殺し合いにつながる「悪の枢軸」発言に猛烈に反発した。ブッシュも韓国の地では、これを考慮に入れた発言(「悪の枢軸」発言は北の「体制を懸念する」ものであって、北を侵略する意図はない云々)をせざるをえなかった。それで、米韓首脳会談では一応、金大中大統領によると、米国は韓国の「対北太陽政策を積極的に支持し、北との条件をつけない対話意思を明確にした」ということになった。
 しかし、ブッシュが一貫して明確にしているのは「今年は戦争の年になる」という戦争意思である。日本・沖縄・朝鮮半島・中国の民衆は連帯して、ブッシュ・小泉の戦争勢力を東アジアから撲滅しよう。(A)

 

2・17東京

  アメリカは戦争をやめろ!

   小泉は自衛隊を撤兵しろ!来日抗議行動

    沖縄・韓国民衆と共に

 
 アメリカ大統領ブッシュが来日した当日の二月十七日、東京・恵比寿公園において、「アメリカは戦争やめろ!小泉は自衛隊を撤兵しろ!ブッシュ来日抗議行動」の集会とデモが、同実行委員会の主催で行われた。この行動には、六〇〇名が参加し、集会・デモを韓国民衆、アジア民衆と連帯し力強く貫徹した。
 集会では、沖縄の名護・ヘリ基地反対協代表委員の安次富さんからのあいさつが行われ、「名護市長選挙は残念な結果となったが、一万一千余が断固基地建設を拒否した。これを基礎に市民投票を上回るたたかいをめざす。沖縄の米軍基地は、ブッシュの『対テロ』戦争出撃の一大拠点とされてきている。世界の人々と連帯し、アメリカの覇権主義を打ち破るためにも海上基地建設を阻止する」と訴えた。
 韓国の六〇三の社会・労働団体などで作られた「ブッシュ訪韓反対連席会議」から代表派遣されたキム・サンジンさんは、「『悪の枢軸』発言で朝鮮半島に戦争の危機が立ち込めている。ブッシュが韓国に来ようとしても、朝鮮半島には一歩も足を踏み入れることのできないような闘いを繰り広げる」と、力強いあいさつをおこなった。
 デモは、小雨降るなか機動隊の規制をはねのけ、ブッシュ訪日反対!小泉は自衛隊を撤兵しろ!とシュプレヒコールをあげて渋谷まで元気良く貫徹された。 (東京S通信員)

2・18大阪

 戦争をやめろ!

   ブッシュ来日・訪韓反対緊急集会

   労働者こそ戦争NO!

 二月十七日ブッシュ来日反対東京集会に続いて、関西においても二月十八日、「戦争やめろ!ブッシュ来日・訪韓に反対する緊急集会」が、大阪住まい情報センター三階ホールに二〇〇余名の参加者で行われた。
 集会は、呼びかけ団体の「しないさせない戦争協力」関西ネットワーク代表の中北龍太郎氏が、「9・11以後『報復』の名の下に、今もアフガン空爆を続ける戦争屋・ブッシュは、『対テロ戦争は始まったばかりだ』として、イラン・イラク・北朝鮮を『悪の枢軸』呼ばわりし、戦争をしかける事を公然とさけんでいる。今回の訪日・訪韓は、まさに朝鮮半島の平和的統一気運に水をさし、戦争協力を取りつけるものだ」と発言。
 急拠参加した韓国の闘う仲間も、「我々民族の統一を破壊するブッシュの訪韓を絶対に許さない」と、アピールした。
 最後に、おおさかユニオンネットワーク代表の馬場徳夫氏が、「ブッシュの来日の意味は、戦争資金準備を各国に拠出させる約束を取りに来たのだ」と述べ、我々闘う労働者は、大量解雇、リストラに反対し闘う春闘を作り出す、その第一歩として四月九日に「小泉改革NO!戦争NO!」の総決起集会を決定した。さらに五月には、労組・政党・市民諸団体を巻き込んで、有事法制粉砕の大闘争を準備していると報告した。
 デモンストレーションは、南森町まで「ブッシュの訪韓を許さない」と、アピールしながら闘い抜かれた。
 いまこそ小泉政権と対決し、雇用と生活、諸権利の確立、反戦平和の大きなうねりを創り出すために奮闘しよう。   (大阪Sa通信員)