「暴力の連鎖」が事態悪化の本質か

  パレスチナ侵略戦争やめよ


十二月十二日、イスラエル・シャロン政権は「アラファトを交渉相手としない」と宣言、パレスチナ自治政府と自治区への侵略戦争を開始した。これは、九三年和平合意の破棄宣言に等しく、自治政府の存在を否定し、自治区を再び軍事占領せんとする重大な暴挙である。全世界の人民と政府は、この暴挙を強く糾弾しよう。
このかんのパレスチナ情勢について、マスコミ報道にありがちなように暴力の連鎖によって事態が悪化、というように観ることは表面だけの誤った見方である。情勢の本質はイスラエル支配層がシャロン政権成立前後から、和平合意・自治協定に対する右からの破壊を系統的に進めてきたこと、これが9・11事件以降、パレレスチナ抵抗勢力への破壊として拍車が掛けられているということである。
米ブッシュ政権がアフガニスタンへ標的を定めるやいなや、シャロン政権は、左派系のPFLPやイスラム原理主義系のハマスなどを「アルカイダ」、自治政府を「タリバン」として描きだし、その打倒戦争にブッシュの同意を得ようと画策した。
が、ブッシュは一時、アフガン侵略へのアラブ諸国の容認を取り付けるため、国連総会でパレスチナ国家の存在を尊重する発言を行なった。そこでシャロン政権は、ハマスの指導者三人を軍事攻撃で殺害。報復の「自爆テロ」が起こるべくして起き、これを口実に十二日の戦争宣言となった。シャロンの謀略的対応は明らかである。
イスラエルとパレスチナの双方が暴力をやめよ、というのは侵略者と抵抗者を区別しない見方であり、結局和平合意を救うことができたとしても、米帝を「仲介者」とした和平実施がパレスチナ人民に全く不利・不当な形で行なわれることを事態の根本的「解決」と見なしてしまうことに通じるだろう。
イスラエルは、自治政府否定の侵略、パレスチナ人民殺害をただちに停止し、軍を撤収せよ! そして東エルサレムを含む占領地からの完全撤退を行ない、入植地を解消し、すべての難民の帰還の権利を認めよ!
パレスチナ自治政府の完全独立を支持し、さらに、パレスチナ人・ユダヤ人が平等に共存する非宗教的パレスチナ国家の建設を支持しよう! (W)