組合員は、徹底的な真相解明に立ち上がろう

  自治労幹部の腐敗を糾弾する


 自治労本部による不正経理や私的流用等々が九月以降、次つぎと明るみに出て、十二月十二日には後藤元委員長が法人税法違反で在宅起訴される事態へ至っている。
 自治労本部は今回の腐敗の真相を徹底的に暴くといいながら、未だに組合員が納得できるような解明が行われていないのが実情である。このことは腐敗が特定の一幹部に限定できるものでなく、腐敗が構造的、組織的なもので根深いものであることを証明している。

  現場組合員への裏切り

 各地では脱退する組合員や組合費の納入停止をする単組が相次いでおり、県本部などの地方組織の役員も「中央は自治労結成以来の最大の危機という認識が不足している。本部役員が入った真相究明委員会で本当に解明できるのか?」と非難せざるを得ず、組合費納入を停止する県本部も次々と出てくる状況になっている。
 にもかかわらず本部は厚顔無恥にも「使途は不明であるが、三十九億円にのぼる借財への対処も課題」とほざき、暗に組合費からの補填を臭わせている。また本部は「組合費の納入停止は自治労の破壊につながる」「停止に対しては措置を講ず」と恫喝も加えているが、腐敗の真相解明ができないことそのものが労働組合の存立基盤を根底から崩すことになることにあまりにも無自覚である。
 官民の区別を問わず、公共サービス部門の組織化という自治労方針を掲げ、労働条件が劣悪な外郭団体や下請け・委託企業の労働者の中に入り込み、自治労の旗の下への結集を呼びかけ、組織化に日夜奮闘している真面目な活動家たちがどれだけショックを受けているのか、わかっているのだろうか? 中央幹部の腐敗は裏切りと背徳行為の何物でもなく、現場で奮闘する活動家に頭から水をかけるに等しい行為である。
 

  正攻法忘れカネで解決

さて中央幹部の腐敗はどこから始まったのだろうか? 自治労は共済事業として自動車共済や火災共済、生命共済などを従来から取り組んでいたが、基本的にこれらは一年契約の掛け棄てで、余剰金があれば毎年還付されていた。しかし近年は退職後の保障や子どもの将来の学費を賄うということで、新たに長期共済や学資共済に着手。従来の掛け棄てと違って積立方式となるが、当然ながら退職まで年数がある組合員や子どもが小さい組合員が加入。そうなると積立金は増える一方であり、現在約四千億円が積み立てられているという。今後予想される支払いに対し準備することになるが、この膨大な資金は生命保険会社への再保険や信託銀行、投資顧問会社などに運用されている。当然ながら運用先の会社は複数あるわけで、「ぜひウチの会社へ」と誘いが入る。ここで登場するのが接待であり、手数料であり、さらにはバックマージンである。現に手数料を受け取るトンネル会社まで作られていたし、これらの資金は表に出ず、複数の裏口座に入れられていたのだ。むろん、組合員には一切知らされず、本部役員の裁量で使われることになり、腐敗の温床となったのである。
 これら裏金が作られてきた時期は、自治労委員長が連合会長代行という要職につき生保・金融資本の労組幹部を通じて資本に接近し、階級闘争論=社会主義を放棄して社会民主主義を標榜し、鳩山由紀夫のさきがけと結託して村山政権を誕生させ国家官僚に接近し、ついには社会党を分裂させ民主党を旗挙げさせた現在につながるものであり、後藤森重元委員長時代と重なるのである。この裏で裏金が暗躍したことは間違いない。
 労働者の正当な要求を汲み上げ、大衆的な行動を組織して政府に迫るという正攻法を忘れ、楽して得た裏金のため何でもカネで解決するという体質が染みついてしまったのだ。現に右翼からの脅しに対し、カネで解決する提案が本部の執行委員会で論議されたという始末である。こういう体たらくは、個人の使い込みがあっても、裏金の弱みがあるため自浄能力を失い、警察権力を呼び込んでしまったことにも現れている。
 もちろんその背景には、「行政改革」の一環としての「公務員制度改革」で賃下げ、首切り、そして権力に従順な公務員を作ろうとしている小泉内閣の攻撃の意図も働いたと思われる。しかし、もともと裏金を使って政界・国家官僚に癒着していたので、警察・検察や国税庁が入ることはないと高をくくっていたと思われ、そのこと自身が癒着体質を現しているのである。
 自治労傘下の組合員は腐敗の追及に手を緩めることなく、徹底的な真相解明に立ち上がろう。

                                (自治労M通信員)