11・17

飢餓と戦火のアフガニスタン 中村哲医師東京講演会

  現状を知ろうと会場超満員


 十一月十七日夕方から、東京・三宅坂の社会文化会館で、「飢餓と戦火のアフガニスタン 中村哲医師東京講演会」が開かれた。主催は、労働者住民医療機関連絡会議、NPO法人東京労働安全衛生センターなどによる実行委員会で、協賛はテロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動、虹と緑の五〇〇人リスト関東ブロックなどで、協力団体がペシャワール会であった。
 集会場は開会時にはすでに満員で、それでも聴衆は増えつづけ、主催者側は一人でも多くの人がアフガンの現状を知ってもらいたいと、通路はもとより、演壇の三分の二ほども埋めつくされた。こうして集会は、一二〇〇名もの参加者の熱気の下で開催された。
集会は、天明佳臣氏(労働者住民医療機関連絡会議議長)の主催者あいさつの後、メインである中村哲医師(ペシャワール会現地代表)の、スライド上映をまじえた講演会がおこなわれた。
 中村医師の話は、世界の最貧国ともいえるアフガニスタンでの十八年間にわたる現地などでの医療活動が中心であった。しかし、アフガンは貧富の差がはなはだしく、外国で治療を受ける金持ちもいれば、何らの治療も受けられない人びともいること、社会は地域のジルガ(長老会議)が慣習法をもとに三権をかね、もめごとを解決しいること、、警察もほとんどなく、殺人、レイプなどの事件は住民が解決していることなどの話は興味深かった。だが、ソ連侵攻後の国土の荒廃、多くの戦死者と難民、ソ連撤退後の内戦とマラリアの大流行、さらには一昨年からの大旱魃という悲惨な状況、そこにアメリカの空爆である。中村医師は、マスコミはアフガンのことを正しく報道していない、日本は熱に浮かされた状態で軍隊を動かすということが簡単に決められていると、厳しく批判していた。
 最後に中村医師は、“人間が失ってはならないもの、失ってもよいものを見分けるヒントをアフガニスタンは私たちに与えてくれている”といっていたが、この言葉は筆者には強く頭に残りつづけた。近代的な生活様式にしがみついて、自然や他人を傷つけ、平然としている近代ブルジョア文明とは何か。そのような不公正な文明に明日はないであろう。(東京T通信員)