参戦法許さず PKO法改悪案阻止しよう 

  自衛隊は即時撤退せよ


十一月二五日、海上自衛隊の艦艇三隻が「対テロ特別措置法」を根拠として、横須賀・呉・佐世保から戦場へ向けて出撃した。これは、アフガニスタン侵略戦争を現在進行形で強行している米軍を軍事支援するための戦時派兵、まさに参戦に他ならない。
九二年のPKO等協力法成立によって自衛隊海外派兵の道が開かれ(その前年には湾岸戦争終結後の掃海任務に出動しているが)、カンボジア派兵等が行なわれ、ゴラン高原派兵が現在も行なわれているが、これらは停戦合意後の派兵であった。今回の戦時派兵の強行は、「戦争をしない国家」から「戦争のできる国家」への戦後日本の転換点であり、その意味では「戦後」が終わり新たな「戦前」が始まった、いやすでに「戦時」に突入したということすらできる。
今秋、日本人民による報復戦争反対・日本の参戦反対・即時停戦要求の行動が全国各地で継続されてはいるものの、戦時派兵という日本帝国主義の軍事的飛躍を押し止めるだけの力をまだまだ獲得できてはいない。今、我々日本人民の運動は当面の反戦行動に全力を上げるとともに、戦時派兵という現状に至った情勢をふまえ、日米の戦争勢力と我々反戦平和勢力との力関係を好転させるために、中長期的にたたかいの方向を熟考し、態勢を強化していく必要があるだろう。
対テロ特措法すなわち参戦法に基づく自衛隊派兵の承認案が十一月二七日、衆議院で強行可決された。民主党の多数は積極的にこれに賛成したが(民主党は対テロ特措法案については派兵の国会事前承認を求めるとの立場で反対していた)、横路副代表、金田議員ら二十一名の旧社会党系部分などが反対あるいは退席して戦時派兵に強く抵抗した。民主党の基本姿勢、シビリアン・コントロールのみを課題として「戦争のできる国家」作りには賛成するというデタラメさが、戦時という情勢の緊迫の中で破綻してきた。国会レベルでも一定の流動化が始まった。
この参戦法と十六日に閣議決定されたその実施「基本計画」によると、出撃した三隻の自衛艦隊は、十一月九日にデタラメにも防衛庁設置法の「情報収集」を名目として先行派兵されていた三隻と合流し、インド洋・アラビア海の全域で米軍を支援するという。B52の出撃基地でもある一大侵略拠点基地ディエゴガルシア島の米軍やアラビア海沿岸に展開する米空母機動部隊群に対して、燃料・軍需物品を無償で補給し、軍事情報を提供し、(法に明記されていないが)弾薬を輸送し、米兵を捜索救助したり、さらに米軍を輸送することもできるとしている。また派兵自衛隊の武器使用基準を、PKO派兵での使用基準である隊員自己防護から「職務を行なうに伴い自己の管理下に入った者」の防護へ拡大している。
まさにアフガン侵略戦争の後方支援であり、小泉の言う「武力行使はしない」とは、前線で自衛隊が直接殺したり・殺されたりする事態を避けたいというだけのことで、アフガン人民を殺害する武力行使の一環を成すことは明らかである。国際紛争を解決する手段としての一切の武力行使・威嚇を放棄した平和憲法は、小泉連立政権によって完全に蹂躙されたのである。

  戦争へ突き進む「国際貢献」論


この憲法完全否定の戦時派兵を正当化する理屈付けは、これまで同様またもや「国際貢献」であった。小泉は、参戦法案の国会質疑で「憲法の前文と第九条の間にすきまがある」などと述べた。この意は、いわゆる反テロ世界連合への積極的参加は、憲法前文での「平和を維持し…努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。」「自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって」との文言に適っている、だから第九条で論議があっても自衛隊を出すことが必要なのだ、とするものである。
こうした参戦正当化論が、反戦平和勢力にとっては憲法曲解の屁理屈でしかないことは明らかであり、また我々革命勢力にとっては、アメリカ帝国主義を主柱とする国際反革命同盟体制における強盗どもの協調と日本帝国主義の地位強化・国益強化を唄っているものでしかないことは明らかである。しかし、こうした「国際貢献」論は、民主党など戦争容認勢力を広く支配しており、国際テロリズムとの闘いなら止むを得ないという形で一般世論に影響力を持っていることも軽視できないのである。
戦時派兵の強行突破の勢いをかって提出されているPKO等協力法改悪案(武装解除など本体業務の凍結を解除し、武器使用基準を対テロ特措法と同様にするもの)も、こうしたイデオロギーで正当化し、今臨時国会で成立させようとしている。小泉政権は、国連平和維持活動に参加する自衛隊部隊を明白な武力として投入することができるようにした上で、今後のアフガンPKO設置の可能性に備え、また来春の東チモールPKO開始に大部隊を送らんとしているのである。
攻防のこうした性格は、日本の反戦平和運動にとって、派兵の違憲性を強調するだけでは充分に闘えなくなっていることを示している。敵のでたらめな国際貢献・国際協調論に対して、世界の中での日本と日本人民の進路と役割についてどうあるべきなのか、抑圧民族としての日本をどう変えていくのか、大衆的なレベルでの実践と思想の積極的な対抗をしていくことが問われている。
また、憲法調査推進議員連盟が十一月十六日、来春国会に「改憲国民投票法案」を提出する方針を決めており、現在の戦争・派兵をめぐる攻防が一気に憲法改悪阻止の大攻防に直結する可能性も出てきている。戦時下での憲法をめぐる攻防は、政治的流動化を進めていかざるをない。危機的情勢を、闘いの飛躍的発展に転化することは不可能ではない。我々日本の労働者人民は、大きな闘いの展望をもって共同行動を進めていくべきである。

  アフガン人民の自決権支持

一方、アフガニスタン情勢では、国際法違反の大量殺戮兵器・燃料気化爆弾なども使った米軍の空爆が強化され、タリバンが十一月十三日にカブールを撤退、米地上軍侵攻開始と南部での泥沼戦局となっている。アフガン人民の自決権を侵害したあれこれの「暫定政権」構想が賑やかになる影で、地方全般で治安が極度に悪化し、国内避難民百万人に餓死・病死が迫っている。ブッシュ政権は、イラク、スーダン、イエメン、ソマリアなどへの戦争拡大を口にしており、その対テロ自衛権行使の戦争なるものの本性が、米国に歯向かうものは何であれ全部殺すという無茶苦茶なものでしかないことを暴露している。
アフガン情勢で労働者人民が取るべき態度は、米帝の報復戦争が国際法違反のアフガニスタン侵略戦争であることを明確にし、侵略軍即時撤退とアフガン民衆救援のための全世界人民の行動を促進することである。侵略戦争と認めるということは、したがってアフガニスタン人民の抗戦は正当な自衛権の行使であり、それを明確に支持するということを含むのである。また米帝などの侵略は、アフガンの従来からの内戦を利用した形で進められている。現在のアフガン人民の自衛権行使は、主にタリバン勢力の抗戦として担われているが、アフガン国民の他の諸勢力も外国諸帝国主義との結託しつつも緊張関係の中にあるのであり、自決権の侵害者に対する抵抗の広がりは不可避である。
アフガン侵略戦争の即時停止を要求するとともに、アフガニスタン人民の自決権を支持・支援しよう。
自衛隊の即時撤退を要求し、小泉戦争内閣を打倒しよう。