首相の靖国参拝

韓国人遺族120名と提訴

全国各地で違憲確認・参拝差し止め求め


十一月一日、大阪地裁に対し、靖国参拝違憲訴訟が提訴された。原告の主体は「小泉首相靖国参拝違憲アジア訴訟団」で、大阪で約六四〇名に達し、靖国神社に合祀された韓国に住む旧日本軍人・軍属の遺族等約一二〇名が参加している。参拝が違憲であることの確認や、今後の参拝差し止めを求める内容である。
 松山地裁においても約六〇名の原告と、高松市と松山市にある真宗大谷派の寺院が法人として参加し、同時に提訴。同日には福岡地裁に約二〇〇名が、更に千葉、東京でも準備がすすんでおり、原告は全国で一〇〇〇名を超える予定である。
 小泉純一郎首相の去る八月十三日の靖国参拝に対し、国と首相、そして靖国神社の三者を相手に、違憲の確認と、「それぞれの立場で戦没者への思いをめぐらせる自由」を侵害したとして、原告一人あたり一万円の慰謝料請求を行っている。更に小泉首相に対しては、総理大臣としての参拝のとりやめ、靖国神社に対しては総理大臣としての参拝を受け入れないことを求めた。
 首相の靖国参拝をめぐっての訴訟で、韓国の遺族が加わるのは初めてだ。靖国神社をも被告とするのも初めてである。これは政教分離原則を定めた憲法二十条が「いかなる宗教団体も国から特権を受けてはならない」としていることから、宗教法人の靖国神社を対象としたのである。
 前日、十月三十一日、支援のつどい兼、原告団・弁護団結成が行われた。この結成は、「小泉首相の靖国神社参拝を許さない全国ネットワーク」を基礎に進められてきた。
 現在、靖国神社には約二百四十六万柱が合祀されているというが、うち朝鮮出身の方々は約二万一千名強といわれ、更に台湾出身者も約二万七千八百柱とされている。合祀反対の訴訟も行われる中、今回の違憲確認・差し止め訴訟に、多くの韓国の人々が参加した意義は大きい。
 当日、小泉首相は、「話にならんね。世の中おかしい人たちがいるもんだ。もう話にならないよ」という暴言を記者団に語った。中国、韓国での、過去「反省」の発言も口先のものと明白になった訳で、アジアの人達と連帯して、靖国神社の公式参拝に反対する闘いを、訴訟をも通して強めていこう。   (関西・原告の一人)