アフガン侵略の即時停止を

   小泉連立政権による「対米協力法」強行成立糾弾


 九・一一自爆テロへの報復として、米英帝国主義などの空爆は、十月八日いらい三週間以上も、連日つづけられ、さらに一部、特殊部隊の地上戦投入へと、アフガニスタン侵略はエスカレートしている。
 容赦ない空爆は、国連関連のNGO事務所、赤十字国際委員会の倉庫群、高齢者施設、大型バス、都市・農村の住宅地域などを破壊し、多くの罪もない民間人が虐殺されている。アメリカ帝国主義の「自衛戦争」などというのは、真っ赤な偽りである。
 それだけではない。アメリカの攻撃から逃れようと、難民化する膨大なアフガニスタンの人民は、アメリカと同盟するパキスタンなどにより、国境を閉鎖され、安全な身のおきどころもなく、生命の危険にさらされている。アメリカの攻撃と迫りくる冬将軍は、さらに一〇〇万人規模での餓死者を生み出すと、救援関係者たちは口々に訴えている。(WHOによると、昨年春からの干ばつで、アフガニスタンでは四〇〇万人が飢餓に直面し、一〇〇万人が餓死線上あるといわれる)
 米英帝国主義などの二十一世紀の「新たな戦争」は、“テロ根絶”を旗じるしに一〇〇万人規模という途方もない犠牲者を生み出そうとしているのであり、このような蛮行は決して許すことはできない。
 米英などは、直ちに空爆をやめよ!ただちに侵略をやめよ!アフガニスタン人民救援のルートを再開・拡大せよ!小泉内閣は、アメリカ帝国主義の歴史的蛮行への支援と参戦をやめよ!

  泥沼に陥るアメリカ帝国主義


 帝国主義者の侵略とテロの報復による応酬が、今回の事件の根本的原因を解決するものでないことは、いうまでもない。
 だが、なぜアメリカ帝国主義は、テロに狙われるのか。それは一言でいえば、世界の搾取者であり、世界の抑圧者であるからだ。たとえば、アメリカは、イラクのクウェート侵攻は武力で阻止するが、イスラエルの侵略やテロは非難すらせず、逆に経済的軍事的に支援している。サウジアラビアには軍事駐留したままである(イスラム教徒のアメリカへの怒りの原因を経済問題に切り縮めるのは、誤りである)。京都議定書は身勝手にも批准せず、世界の自然破壊を資本の意のままにしている。アメリカン・スタンダードのグローバル資本主義を推進して、第三世界をはじめとして世界の経済をほんろうしている。
 今度のアフガニスタン侵略も、その延長線上にある。テロの根本原因を振り返ることなく、軽率にも「新たな戦争」などと称して、罪もないアフガン人民を殺戮し、アメリカ主導の身勝手な国際体制整備にひた走りに走っているのである。
 しかし、アフガニスタン侵略への突入は、世界政治の不安定性を増幅し、確実にアメリカ帝国主義を泥沼に引きずり込んでいる。
アメリカ帝国主義などのアフガン人民への虐殺がつづくがぎり、イスラム教徒の宗教的なインターナショナリズムの高揚を強化せざるをえない。すでにアメリカ帝国主義と同盟し、米軍の出撃基地化したパキスタンでは、アフガン難民とパキスタン民衆が反米闘争のみならず、ムシャラク政権に反対する闘争を日に日に強めている。パキスタン・インド間の係争地─カシミールでは、イスラム原理主義勢力の活動が、アフガン侵略でさらに活発化するであろう。核保有国のパキスタンとインドの衝突は、世界政治をさらに流動化させ、紛争を拡大させるであろう。中東で第一の親米派のサウジアラビアでも、王政を足元から揺るがす動きが出始めている。さらに、東南アジアをはじめ世界各地での、反米闘争や宗教対立を激化させ、死傷者を生み出している。
 グローバル資本主義を政治的軍事的に保証するアメリカ・EU・日本などの帝国主義者たちの国際政治は、新たな難問を抱え込み、帝国主義と世界人民との矛盾を、新たな形で深めつつあるといえる。

  戦時派兵阻止へ


 十月二十九日、小泉政権は、「常識」を連発してきちんとした論議もせずに、「対米協力法」(テロ特措法)をしゃにむに成立させた。軍事上、後方支援、兵站活動が重要なことはいうまでもなく、それが軍事活動の一環であることは、世界の常識である。それにもかかわらず、対米支援が武力行使とは別物と詭弁をろうして、同法をスピード成立させた。また、同法が、戦後憲法の下でこれまで行ってこなかった集団的自衛権の行使であるにもかかわらず、それをもゴマカシて成立させている。
 それは今ここで“湾岸戦争時の徹をふむ”ならば、また笑い者にされ、G8から孤立し、アメリカからも見捨てられるという焦燥感によって、せきたてられたためであろう。だがそればかりでなく、自衛隊の海外派兵の既成事実を積み重ねるのに好機とばかりに、“火事場泥棒”的にアフガン侵略を利用した面も強い。
 「対米協力法」は、日米安保条約とは全く関係がなく、アメリカに協力するためには、世界のはてまでもいかなる所にまで、自衛隊を派遣するという代物である。また、それは戦後日本では、初めての戦時派遣となる。日系多国籍企業の世界各地での活動が強まる今日、日本帝国主義としてその活動を政治的に軍事的に保証することはますます必要なのである。アジア諸国の反発をできるだけ少なくして、自衛隊の海外派兵のための実績づくりには、今回はまぎれもなく一つのチャンスなのである。
このことは、「対米協力法」に関連して、自衛隊法、海上保安庁法を改悪して、在日米軍支援のみならず、「戦争のできる体制づくり」のために便乗していることでも明らかである。
 小泉政権のアメリカ支援、アフガン侵略への参戦に反対しよう!「戦争のできる体制づくり」に反対しよう!十一月の自衛隊戦時派兵に強力に反対しよう!