米国テロ事件報復

米帝のアフガン侵略戦争に反対し

   日帝の参戦阻止を


九月十一日に米国ニューヨークで大規模な同時テロ攻撃が何者かによって仕掛けられ、アメリカ帝国主義の経済・軍事中枢に甚大な打撃を与えるとともに、超高層ビル倒壊などによって一般市民など五千名以上が死亡したとみられる大事件が発生した。
翌日、米大統領ブッシュは声明で、この攻撃を「テロを超えた戦争行為」と規定し、刑事的対応ではなく、犯人に対して国としての戦争(自衛権の発動)を開始するとの基本対応を表明した。二十日の議会演説でブッシュは、何ら証拠を示すこともなく、アフガニスタンに滞在するオサマ・ビンラディン氏が率いる「テロ組織アルカイダの犯行である」と決め付け、国際テロリズムを撲滅させる「新しい戦争」「これまで経験したことのない長い作戦」を戦うとし、また「文明世界」対「テロ」という構図を強調して、世界中の国々に「我々とともにあるか、さもなくばテロリストと一緒になるか」と二者択一を迫る脅迫的演説をおこなった。
こうしてアメリカ帝国主義は今回の本土攻撃に逆上しながら、犯人が誰であろうが国家の威信回復をかけて戦争をとにかくやるのだとして、内政外交を通じてアフガニスタンなどへの侵略戦争準備とそれを支援する反テロ世界連合作りに凶奔しつつある。
小泉・日本政府は、二五日の小泉訪米などを通じてこの米帝の報復戦争を全面的に支持し、対米支援法の新規立法・自衛隊法改悪などを十月臨時国会で成立させようとしている。これは、これまでの憲法的制約を完全にかなぐり捨てて集団的自衛権の行使に踏み込み、米帝の報復戦争に参戦しようとするものである。
いま日本の労働者人民がなすべき第一のことは、「自由・民主主義の世界」対「テロ」の戦いなどと称する現在の戦争正当化のデマ宣伝に断固反対しつつ、全世界人民と連帯して米帝の報復戦争に反対し、日本帝国主義の参戦策動を粉砕することである。

 米帝の悪業がテロの原因


さて、今回の米国同時テロは、世界貿易センターと米国防総省を標的としており、米国の経済的軍事的覇権と横暴に抗議・報復する政治的動機を推定させるものであったが、そのやり方はハイジャック民間機を自爆攻撃に使うなどという最悪の無差別テロリズムであった。このテロ形態の軍事を指導する政治・思想路線は今のところ不明であるが、こうした無差別テロが、帝国主義を打倒し新しい社会を建設しようとする労働者人民の闘争方法と異質なものであることは明らかである。
米帝ブッシュは、これまでの覇権主義の数限りない悪業に対する突拍子もない報復に動転しながらも、この攻撃の無差別テロとしての誤りを最大限に利用して、テロを受ける自分の原因をおおいかくし、「世界中の自由を愛する人々への攻撃である」とか、「このテロが罰せらずに終われば次は君たちが標的だ」などと世界に叫んで、戦争突入を正当化しようとしている。その戦争は、米帝がテロリストと見做しさえすれば、組織でも個人でも世界中で撲滅して良い、それをかくまう政府も撲滅するという人権も主権も無視した国家テロリズムそのものである。

米国に代表されるように政治的テロに直面している国家は、その内政外交で人権や民族の権利を圧殺するなどテロの土壌をもつ国家である。世界中がテロの脅威にさらされている、などというのは脅迫的デマである。米国が例えばイスラム原理主義系からのテロを避けたいのならば、その中東政策を転換すること、イスラエルの占領地支配・国家テロへの支援を止め、湾岸諸国から米軍を撤退させることが最も確かな方法である。
しかしブッシュはそうしようとはしない。テロに国家テロで果てしなく応酬する「新しい戦争」へ、その泥沼へ合衆国市民と世界を引きずり込もうとしている。アフガニスタン侵略を開始すれば、今回のテロ事件の犠牲者の百倍いや千倍の犠牲者が硝煙と飢餓のなかで発生する危険がある。その危険を知ったうえで開始しようとしているブッシュの報復戦争こそ、人類と文明全体への敵対である。
政治的テロの根本原因が帝国主義の側にあることを曖昧にしてはならない。たとえば日共はこのことをおおいかくし、反テロ世界連合の側に立って、テロ防止策(軍事報復ではなく国際協力での法的裁きを云々)を米帝に献策している。このような態度では、米帝の侵略戦争とたたかうことはできない。
米国においても、報復戦争反対の声、「戦争は答えではない」の声はしだいに高まりつつある。米国人民をはじめとする世界人民と連帯して米帝の報復戦争を全力で阻止しよう。

 「対米協力法」粉砕しよう


日本の小泉内閣のこのかんの対応は、一つには、反テロ連合でアメリカの他の同盟諸国に遅れを取らず同盟国の価値をブッシュに売り込みたい、ここで対米協力をしっかりやらなければ日本はG8から孤立するという、外交理念もなにもないブッシュへの唱和である。日本のアラブ外交というものも、帝国主義者なりの独自的な調停能力を果たすというものではなく米帝の情報屋をやっているにすぎない。あとは、パキスタンを米帝の侵略基地として買収するための緊急資金提供であった。もう一つの決定的に重要な対応は、この反テロ連合への参加を、在日米軍基地を「新しい戦争」の出撃基地として存分に使わせることと共に、日本自身を「戦争のできる国家」へ仕上げるための跳躍台にするということである。
十月初旬に国会に提出されようとしている「対米協力新法」案は、九月十二日の国連安保理決議などを対米協力の根拠としている。しかしその安保理決議は、米国同時テロを「国際の平和・安全への脅威」として認定したものにすぎず、国連の安全保障措置を決めているものではなく、米軍などのアフガニスタンでの作戦を認めたものではない。ブッシュ政権は「自衛権の行使」としてフリーハンドを狙い、今以上の国連決議は必要なしとしている。湾岸戦争の時のような具体的な安保理決議がなければ、米国が勝手にやっている戦争であり、国連加盟国としての対米協力の法的根拠にはならない。今回は日米安保条約上の義務も関係ない。米国が攻撃されたのは本土であり、日本の領域ではなく「極東」でもない。また周辺事態法の適用つまりアフガニスタンを「周辺」としてしまうことは、さすがに諦めたようである。
にもかかわらず今回、自衛隊派兵をはじめとした対米支援に踏み切るということは、日本が米国と攻守同盟関係に入るということ、米軍が世界中どこで攻撃されても日本軍は共同対処するということを意味する。テロ反対の美名の下で、集団的自衛権の行使が一挙に突

破され、湾岸戦争時にも行なえなかった戦争継続中での自衛隊派兵が強行されようとしている。日本の報復戦争参戦を全力で阻止しよう。