梅香里

    2001年 西山正啓監督 梅香里製作上映委員会

   韓国西海岸・米軍射爆場の村―

      五十年に渡る米軍犯罪の実相


西山正啓監督のドキュメンタリー映画『梅香里(メヒャンニ)』を観はじめて早々に、小川伸介監督の諸作品が思い起こされた。評者は小川伸介作品を全て観ているわけではないが、初期の『三里塚』シリーズ、晩年の『ニッポン国古屋敷村』等と同様に、闘争現場と日常生活の組合わせが、相反するがごとく描写されていながら、それぞれの作品の登場人物によって、人間の根源的で歴史的な「生」に辿り着くように思えた。
 この『梅香里』は、現在の闘争現場でありながら、撮影上の制約性からか闘争場面は、このメヒャンニに反米軍の市民団体や学生組織が多数参加した支援連帯の闘いを描いた昨年の記録映画『闘争報告 梅香里』が挿入されている。もし撮影ができたなら、その場でフィルムを抜き取られるそうである。
 映画は、住民対策本部委員長のチョン・マンギュさんと駐韓米軍犯罪根絶運動本部のニョン・ユジンさんの証言を通して、韓国における50年に渡る米軍犯罪の実相に迫り、その犯罪性を浮かび上がらせている。とくにメヒャンニのチョン・マンギュさんの証言では、生活と風土が伝わる描写をしており、一層意思の固さと決意が伝わっている。評者は、この点に小川伸介作品がダブってみえた。
 この作品は、九州湯布院の日出生台米軍演習場撤去運動を取り組む人々が、制作上映実行委員会をつくり、ともに連帯し米軍撤去運動を取り組んでいる沖縄で上映運動を開始した。
 メヒャンニ・沖縄・湯布院の地域共闘で作られたこの映画は、米軍犯罪を白日のもとにあぶりだし、「報復戦争」の名のもとにまた始めようとする米帝の侵略戦争の投影といえるだろう。
 東京から開始された全国上映運動に、ぜひ参加されることをお勧めする。
(S)
 ▼問い合わせ先
 「梅香里」上映東京事務局
TEL&FAX 03(3394)3734
 「梅香里」製作上映委員会本部(湯布院)
  TEL&FAX 0977(85)5003