小泉首相の靖国参拝強行糾弾!

  8・13〜15靖国神社と全国各地で抗議行動

    国立慰霊施設案も問題だ

 

8・15東京

  「全国慰霊追悼式」にも反対

   撃退しよう右翼暴力


東京では、小泉首相に靖国神社参拝の中止を求めて、八月六日からの首相官邸前連日行動が行なわれ(平和遺族会全国連絡会、日本キリスト教協議会の呼びかけ)、また八日には関西からの上京団を中心に「小泉首相の靖国参拝を許さない全国ネットワーク」としての内閣への署名提出行動および衆議院議員会館での院内集会が行なわれた。
また十一〜十二日には、韓国の旧日本軍軍人・軍属遺族らでつくる太平洋戦争犠牲者遺族会の九名が来日し、靖国神社境内などで断食・座込みを闘い、肉親の合祀取り下げを靖国神社に求めるとともに小泉首相の参拝中止を訴えた。
姑息にも前倒しで小泉が参拝を強行した十三日には、午前中から靖国神社で、小泉参拝を許さない実行委員会など市民・労働者の緊急行動が二百人近くで闘われた。右翼が境内に入れまいとして前面に出て攻撃してきた。
十五日には小泉の参拝強行に抗議する諸行動・諸集会が都内各所で行なわれた。これらの取り組みは例年の8・15よりも参加者が多かった。午前中の靖国神社での市民グループ「とびだせヤスクニ行動」によるチラシ配布は右翼に襲撃され、二名が負傷した。また権力は、平和遺族会のデモに対し靖国神社に近ずけないコースを強要した。権力は、靖国通り一帯での大量の右翼街宣車の違法駐車を放置し、右翼の暴力を後援している。
八月十五日の諸行動の一つ、「小泉の靖国参拝・『全国戦没者追悼式』に反対する8・15集会」とデモが行なわれた。主催は反天皇制運動連絡会や靖国・天皇制問題情報センターなどによる実行委員会。
前段の集会が正午から西神田公園で開始され、靖国神社と武道館に向かって「小泉の靖国参拝反対!」「戦没者追悼式を許さないぞ!」「天皇制の戦争責任の清算を許さないぞ!」などをシュプレヒコール、約一五〇名でデモを貫徹した。毎年のこの行動は、武道館の政府式典に対しても、天皇制の戦争責任を否定する天皇制国家儀式として明確に反対していることが特長。
引き続き午後二時から文京区民センターで集会開催。反天連、山谷争議団、全都実、山労連、東水労、反安保実、アジア青年講座、労活評その他市民団体など約二八〇名が結集して成功裏に闘い取られた。
主催者を代表して天野恵一さんが、要旨次のように発言。マスメディアの状況として、靖国神社の戦争責任の隠蔽、その天皇の為の神社である性格、天皇制の戦争責任の問題が一切論じられていない。さらに新たな国立慰霊施設の建設構想、またそれに関わる「社民党・保坂議員の千鳥ケ淵戦没者墓苑の整備についての言動にも問題がある」とし、小泉がA級戦犯の分祀−合祀に関わらず、靖国神社と千鳥ケ淵、武道館と沖縄平和の礎の違いについて整合性も無いまま、丸ごと「追悼」し、すべてを「戦争国家」へ向けて持っていこうとしていることに反対を強化しようと訴えた。集会基調は、新たな国立施設について、国家による戦没者慰霊そのものを問題として明確に反対するものであった。
続いて、十三日から連続して闘ってきた各団体から、「十五日参拝を変更させたことは意義があった。継続して闘っていこう」と報告。
特別講演として、VAWW−NETジャパンの松井やよりさんより、渡韓報告を含めて提起を受けた。松井さんは、天皇主義右翼による集会破壊および千代田区人権講座での言論弾圧、天皇制問題を批判することについてのマスコミのタブー状況を批判し、NHKによる「女性国際戦犯法廷」報道の改竄に対する提訴について力強く述べるとともに、「女帝論議でフェミニズムにも危うい面があるが、女性はそれに巻き込まれてはならない」と明確にした。
集会後半の過程で、右翼(愛国党、興隆社など)が官憲の容認の下で集会破壊の襲撃を試みてきたが、毅然たる体制で撃退され、集会は力強く完遂された。
今日、このように攻防が激しくなるなか、松井さんを始め心ある人々が決起する一方、若い人の運動への参加も一定拡大している。この状況下、最近顕著となっている右翼の妨害・襲撃などに対する大衆的防衛体制が急務とされていることを改めて痛感した。(東京Y通信員)

8・15大阪

  アジア人民と連帯し

  「戦争神社」許さず


大阪では、「小泉首相の靖国参拝を許さない!8・15集会−アジアにおける歴史認識の共有のために−」が阿倍野市民学習センターホールで午前十一時半から開かれ、二八〇名が結集した。主催は、ヨンデネット大阪、関西共同行動、ユニオンネットワーク大阪など二十団体による集会実行委員会。
これに先立つ八月十三日、小泉は内外の反対を無視し、総理の資格で靖国神社参拝を強行した。この日は、これに強く抗議する集会・デモとなった。
集会は、始めに石川逸子詩集「千鳥ケ淵へ行きましたか」の詩の朗読で始まり、井上二郎弁護士から講演を受けた。
井上さんは、まず今までの政教分離関係訴訟(津地鎮祭訴訟、自衛官合祀訴訟、箕面忠魂碑訴訟など六件)の訴訟内容を解説し、そして靖国神社は戦前の国家神道の中心施設としての本質を戦後も変えていない、天皇に対する忠誠の死、天皇の国のための死を賛美し、その戦死者を他の戦争犠牲者と峻別して「英霊」とし、侵略の歴史を続けようとするものである、などを中心に靖国神社の本質を話した。
つづいて立命舘大学の徐勝(ソ・スン)さんが、「死してなお軍役を解かれぬ鬼神(クィシン)皇軍の行進」との題で講演、A級戦犯が死ねば死者に罪がなくなるのか、靖国は侵略戦争の戦利品を展示している展示場であり、天皇に忠誠を尽くした兵士を讃えた天皇制軍国主義の国家軍事機構である、などを話した。
「小泉首相の靖国参拝を許さない全国ネットワーク」の服部良一さんから、このかんの緊急署名と8・8院内集会の報告、日本の戦争責任資料センターの上杉聡さんから、「つくる会」教科書の採択(都教委と愛知県教委が不当にも養護学校で採択)についての報告があった。
また本集会への中国(侵華日軍南京大屠殺遇難同胞記念館、侵華日軍南京大屠殺史記念館、南京日本歴史教科書問題研究会)からの連帯アピールが紹介された。それは、小泉首相の靖国参拝は侵略戦争を肯定することであり、被害国人民の傷をまったく無視した新たな加害行動でもあると抗議する内容であった。
最後に、小泉総理に対する「抗議声明」を採択して集会を終え、四天王寺までビラまきをしながらデモ行進を行なった。
我々は、政教分離原則をふみにじるとともに「天皇、国家のために死ね」とする靖国の本質を暴きだし、また戦後補償をまったくしていないなか人格権・民族人格権を無視して五万人近い朝鮮・台湾人を一方的に靖国に合祀している実態を許さず、また支配層が戦争のできる国家体制作りを進めるなかで、今後の戦争のために戦争神社(戦死すれば神として靖国で祀る)を復活させようとしていることを粉砕しなければならない。アジア人民と連帯し、靖国の国家神道化に反対していこう。(大阪N通信員)

8・15京都

  天皇制と靖国の

  戦争責任を問う


内外の反対の声を押し切って小泉首相は、靖国神社へ参拝を強行した。マスコミは、靖国神社の戦争責任を問うことなく、また同神社と天皇の関係も論じることもなく、ただ外交問題と憲法問題だけで報道し続けた。残念なのは、反対に立ち上がった人たちも天皇の戦争責任を不問にし、政教分離違反の憲法領域にとどまった声が多かったことである。
このように、一段とナショナリズムが強まった二〇〇一年八月十五日、京都では、京都「天皇制を問う」講座実行委員会主催の恒例の「8・15を問い続ける京都集会」が洛陽教会で開かれ、約百人の参加者が集まった。
今年で二十二回を重ねた同集会では、「ナショナリズムと歴史観を問う」をテーマに京都大学教員の池田浩士さんが講演。池田さんは、ヒトラーと小泉人気、および当時のドイツと今日の日本の状況を比べて、今の日本は非常に恐ろしい時代に立っていると発題した。
集会後は、京都府向日市議の飛鳥井けい子さんの呼びかけで、「8・15」を問い続けるピースウォークを行ない、京都市民へ小泉首相の靖国神社参拝反対のコールを主に反戦・平和を訴えた。(京都M通信員)