国は控訴取り下げよ 郭さん裁判

  在外被爆者五千名

  に援護法適用を


去る六月一日、大阪地裁で在外被爆者に被爆者援護法を適用する完全勝利判決を勝ち取った在韓被爆者・郭貴勲(クァク・クィフン)さんの裁判は、六月十五日政府が不当にも控訴した(本紙三八一号既報)。また長崎地裁にて同様の裁判を闘っている李康寧さんの判決も、年内に予定される段階となっている。
郭さんは、去る八月広島の原水禁・原水協の会議や市民集会に参加し、控訴取り下げを訴えた。8・6ヒロシマ平和へのつどい2001の市民集会でも、「大阪地裁判決は百十%の勝利。政府は控訴を断念すべきなのだ。法律の改正は必要なし、通達を取り消すだけでよいのだ」と特別アピールを行なっている。
坂口厚生労働相は控訴断念を求める世論の前に「在韓被爆者に関する検討会」を設置した。法改正を考えるというが不適用を明文化するおそれさえある。この十月アメリカ、ブラジルから被爆者が来日、在外被爆者へ援護法の適用を訴える。郭さんらの裁判を日本側の市民運動として支え抜いてきた「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」は、在外被爆者五千名に援護法の適用を求める首相・厚生労働相宛て要望署名を提起している。
植民地支配(強制連行)−被爆−帰国後の放置・排除という三重の苦を強いられてきた在韓被爆者への、さらに全ての在外被爆者への援護法適用を求めていこう。(関西S通信員)