8・11〜12 

第4回移住労働者と連帯する

全国フォーラム・関西2001

    包括的人権政策へ提言


八月十一〜十二日、大阪市天王寺区の大阪国際交流センターにおいて、「第四回移住労働者と連帯する全国フォーラム・関西2001」が開催された。主催は京都・大阪・兵庫・奈良・滋賀などの三十五余の団体より構成される開催地実行委員会(連絡先・RINK「全ての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク」)で、会場には一五〇〇余りが参加した。
 この「移住労働者と連帯する全国フォーラム」は、全国各地で移住労働者とその家族の人権保障と多民族・多文化共生社会の実現のために活動してきた外国籍者をふくむ市民団体や個人により、九〇年代はじめより準備され、九六年に第一回を福岡で開催し、その後九七年に愛知、九九年に東京と、開かれてきたものである。二一世紀最初のフォーラムとなる今回、「二一世紀の多民族共生社会にむけて─わたしたちの課題」をメインテーマとして行われた。
 昨年三月二十四日、法務省は「出入国管理基本計画(第二次)」を告示、発表した(法務省告示第119号)。ここでは、グローバリゼーションと他方での少子・高齢化に伴う人口減少化時代にあたり、移住労働者の積極的受け入れ基調による入管政策の基本方針を明らかにした。
 もちろん入管政策は、一方で「社会の安全と秩序の維持」という社会防衛と治安管理の面より、「不法入国の抑止」「不法滞在者対策強化」を強く押しだすものとなっている。しかし、悪名高き技能実習制度を独立した「在留資格」として創設することを述べるなど、総じて移住労働者とその家族の労働力を如何に利用するかという点に重点を移しつつある。また他方で、昨年の石原東京都知事の自衛隊式典での「不法外国人・三国人・外国人」発言に典型的な差別排外主義も強まっている。
 このような二十一世紀初頭にあたり、とりわけ在日の歴史の深い関西でのフォーラムにあたり、これまでの歴史を横軸に、グローバリゼーションをタテ軸にしたテーマとして、一、植民地時代(帝国的民族国家秩序の形成)から、戦後の「単一民族国家秩序」形成の歴史的経緯の中で、日本の外国人政策や差別問題の課題を明らかにし、二、同時にグローバリゼーションの中で、移住労働者とその家族が、国境をまたがった生活を生きているという現実態を見つめ、国籍や国境を越えた「多民族・多文化社会」の創造を展望したい、と実行委員会は提起をした。
 このテーマのもと十一日には、パネル討論が行われた。在日こりアンの辛淑?(シン・スゴ)さんは、東京都知事発言への抗議の経験から「外国人に差別的な社会を変えるのは日本人だ」とすると共に、多文化共生とは、私が私の権利を主張すること、権利を侵害されたら抗議すること、このことを大事にする事から出発すると明確に述べた。立命館大学教授の文京洙(ムン・ギヨンス)さんは、国籍取得の緩和や日系人労働者受け入れなど日本人の枠を拡大する動きを注目すべき事と指摘すると共に、旧植民地出身者と新しい滞日の人達の連帯が大きなテーマとなる事、「とりわけ在日朝鮮・韓国人は社会の一つの主体であり、社会をどうするのかに向けて、地域に参加する自覚と責任が重要になっている」と、述べた。
 夜には、「在日と滞日の架橋─マイノリティの人権」「入管政策『第二次基本計画』とこれからの入管政策を考える」「労働者としての権利〜?労働組合のとりくみ」等十五の分科会が課題別に行われた。
 今回は、移住労働者と連帯する全国ネットワークより、「外国人管理政策から、外国人人権政策への抜本的転換」を図るため、?自らの討議を経た「包括的外国人政策の提言」作りへの中間報告として、その骨格が提示され、ワークショップを重ねてNGOからの提言として完成させていく事が提起された。
 各地域で、各課題において、差別・排外主義と闘い、移住労働者とその家族の人権保障への取り組みを強めよう。  (関西S通信員)