<書評>


 『サイバーアクション』

   市民運動・社会運動のためのインターネット活用術

     著:井口秀介、井上はるお、小西誠、津村洋

     発刊:2001年7月・社会批評社   1800円

 この本は、「市民運動・社会運動のためのインターネットの活用術」と銘打ち、現状を総覧し、問題点を指摘し、活用術を紹介している。インターネットの活用が政治党派を含め諸運動の中にある程度浸透したこの局面において、極めて時宜にかなった出版であるだろう。
 インターネットは、階級社会の上意下達的は一方通行のコミュニケーション・システムを覆す特性、併せて国境の壁を無化する特性をもつ、共産主義革命にとって非常に大きな意味を持つ技術に他ならない。しかしわれわれも含め党派は、せいぜい機関紙発行活動の補助やホームページの作成にとどまり、これまでの活動のあり方を変えるような活用には程遠い現状にある。その最大の根拠は、理論的にこの技術の発達を組み込み得ていないことにあるだろう。その意味では、「活用術」以前の問題を抱えているということである。また同じ意味において、あれこれの「活用術」を越えて、インターネット技術を活用した時代を画する革命組織建設構想が問われているのではないかと思われる。
 ともあれインターネット活用術は、ハード的発達と連動しながら模索途上にある。実践しながら可能性を探っていかねばならない。その意味で、一読しておくべき本であるだろう。中核、革マル、第四インター等々、そしてわが労働者共産党の名も出て来たりして、面白く読めると思います。(M)