6.21大阪

連合大阪、解放同盟府連、NPO釜ヶ崎の

             三者が初めての共同闘争

   支援法早期成立を目指し

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六月二十一日夕方六時より、大阪市中央区の大阪城大手前公園(隣接する大阪府庁前で、釜ケ崎反失連が野営闘争を展開中)にて、約七百名の参加者で「野宿生活者支援法(仮称)の早期成立を目指す決起集会=基金事業継続と新たな雇用創出を目指して」が、開催された。
 野営闘争を展開中の反失連の仲間、特別清掃事業での仕事を終え釜よりかけつけたNPO釜ケ崎支援機構の指導員の仲間達が、早々に陣取る。仲間自身の手で、トラック荷台に仮設ステージが手際よく設営されていく。連合大阪、部落解放同盟大阪府連、NPO釜ケ崎等で結成された集会実行委員会主催で、集会が始まった。
 連合大阪副会長の要氏が司会として開会あいさつ。「連合大阪としてプロジェクトチームを作り、野宿者問題を政治課題として取り組んできた。昨年にはシンポジウムを開き、今年五大都市の五連合より法案についての提言を提出してきた。本日の法案早期成立に向けた集会の実行委に結集した連合大阪、部落解放同盟大阪府連、NPO釜ケ崎支援機構等と団結して成功させていこう」と述べた。
 次に、主催者あいさつとして、伊東連合大阪事務局長が、「野宿生活者支援法提出のただ中で六百余名で決起集会が持たれる意義は大きい。連合大阪は結成して十一年目に入った。労働団体であると共に、連合は社会団体でもある。社会問題として野宿者問題に七年前より取り組んできた。長引く不況の中、野宿生活者の働く場がますます少なくなってきている。府・市への対策要求では解決しない段階になっている。それでも大阪だけで二百名近い高齢者特別就労が出ている。特別基金は効果をあげている。次年度も継続すべきと、六月十九日には厚生労働省交渉を行った。省より『制度延長はしないが、日雇労働・建設労働者への対処は別途考えていきたい』と、現時点でのギリギリの回答を引き出してきた。しかし、予算措置は不明である。法案は廃案には絶対させず、継続審議へ持ち込み、新たな特別交付金制度とともに成立を目指していこう」と述べた。
 続いて、民主党参院比例区候補で障害者自立支援センターの樋口更子さんの連帯あいさつがあり、そして当事者の声という事で、野営闘争に参加中の小林さん(51歳)と小出(61歳)の二名の仲間より発言があった。二名とも仕事がほとんどない事、仕事があれば自力でやっていける。生命を大事にしたいために四月より野営の仲間達と闘っていることを訴えた。民主党の法案ワーキンググループの鍵田議員から、「法案成立に全力を尽くす」とメッセージがあり紹介された。
 続いて、NPOの釜ケ崎支援機構を代表して山田氏が発言。「反失業闘争をやってきて十年目にしてやっと共同した闘いとなった。石を投げなければ声がとどかない時もあった。要請する時もあった。現在は、批判するだけ、要求するだけの時から、府・市ともケンカもし、一方で責任を持って成果を実現させる構えでやってきた。特に仕事を得て、自らの生活を築きたいと九四年より就労確保の窓口をつくって自らの責任でやってきた。法案は、仕事保障と、一方で野宿へ至らない予防する方策を取らせようとしている。国は自立支援センターやシェルターなど箱ものをつくっていく構想だが、何よりも公的就労の枠をつくっていく事が重要だ。そして法を作っても運動をしっかりやっていかないと、うまく運営されない。自分たち自身に負っている責も大きい。頑張ろう」と、力強く宣言した。
 続いて、部落解放同盟大阪府連執行委員で西成支部の富田さんがあいさつ。「町づくりの立場からNPO釜ケ崎にも参画している。七年間の取組みの中から法案が出ている。人を人としての立場、豊かなやさしい町づくりの立場より、解放同盟としても頑張りたい」と訴えた。
 NPO顧問で、社会福祉法人自彊館理事長の吉村さんが、「野宿生活者の基本的人権を守っていこう」と訴え、連合大阪の田中さんが、六月十九日の中央行動報告を詳細におこなった。それは、全国より五大都市三十名の代表団が参加し闘い抜いたものである。
 釜ケ崎反失連の本田共同代表が「集会決議」を読みあげ提案、集会参加者全体で確認し、要さんの音頭の団結ガンバローで集会を閉じた。
 釜ケ崎の反失業の闘いにおいて、三者の共同の闘いの出発となった本日の集会は、大きな意義を持つだろう。(関西M通信員)

 

               集会決議

         
 長引く不況と厳しい雇用情勢下にあって、野宿生活者の増加の一途をたどり、深刻な社会問題となっています。一昨年までの調査によれば、全国では約二万人と推定されていますが、実質はその数を大きく超えており、最近では大都市のみならず地方都市へも拡散傾向を見せていることや、ゼネコンの不良再建処理が進めば新たな大量の失業が懸念されています。一旦、野宿生活に入ると脱却は困難で、一日も早い抜本的な野宿生活者対策が緊急の課題です。
 大阪における現在の野宿生活者の数は一万五千人にのぼり、その平均年齢は五五歳と高齢化し、また八割は建設業に従事していた労働者です。バブル崩壊後の建設不況に加え、機械化などの要因で失業し、野宿生活を余儀なくされた人々です。ほとんどの人が空き缶や古紙の回収、高齢者就労対策事業による収入で一息ついている状況です。
 政府においては、「ホームレス問題連絡会議」の設置や「緊急地域雇用特別交付金」による雇用創出事業などが細々と行われてきました。野宿生活者問題の解決は、地域や地方自治体の取り組みだけでは不十分です。また、一地方が個別に支援策を推進すれば、その地域に野宿生活者が集中するという問題を内包しているため、全国一斉に実行性のある施策展開が行われなければなりません。
 社会参加と発生防止を趣旨とする特別法を制定し、国は基本指針を策定し、財政措置など野宿生活者が多数存在する地域への支援を行う。実施主体である地方自治体は雇用創出のための公的事業を行う。国と地方が一体となった施策を展開する。このような特別立法を求められています。
 私立ちも野宿生活者のための仕事づくりなど、その自立支援の事業に参画するなど、自らも雇用確保の取り組みを進めるとともに以下のとおり国に要求します。

1、抜本的な実効性のある総合的な施策の展開を可能とする「ホームレスの自立支援等に関する臨時措置法案」を早期に制定すること。
2、自治体が進めてきた「自立支援センター事業」を拡大するため、国としても財政的な支援措置を拡充すること。
3、高齢労働者の命綱である「緊急地域雇用特別交付金」について、二〇〇二年度以降、制度化し、内容の抜本強化をはかること。
              以上決議する。

   二〇〇一年六月二十一日
     野宿生活者支援法(仮称)の早期成立をめざす決起集会