国会終盤に土地収用法の改悪強行

   一坪共有運動の禁止など目的


 六月十五日、小泉政権・与党・民主党により、公共事業に必要な用地を確保するために、国が私有地を一方的にとりあげるという内容の土地収用法改悪案が、衆議院本会議で強行採決された。
 国土交通省が、公共事業による乱開発、環境破壊に反対する一坪共有運動やトラスト運動の破壊をねらった今国会での土地収用法改悪は、廃案寸前にまでいっていた。
 ところが、民主党が、わずかばかりの修正案が受け入れられたとして賛成に転じ、七日の衆院本会議での趣旨説明・質疑のあと、国土交通委員会で審議に入り、十三日打切り、十五日に本会議採決という超スピード運営で強行したのだ。参議院でtの場合は、審理に際して「代表当事者」を選定し三名に絞る。
 第三に、補償金支払いの簡素化=重要な補償金支払いをこれまでの本人受取りから、書留郵便の送付だけでよいとした。
 第四に、事業申請と認定を、事業の主体である国土交通省や行政が自らお手盛りで行う。「事業説明会」「公聴会」の形式的な義務的開催など、地権者の権利の排除・計画推進のための手続き作りとなっている事である。
 更に、収用適格事業に廃棄物処理施設を入れた。明らかに東京都日の出町で起きた処理場建設反対運動・トラスト運動などを無視、建設強行を行おうとするものである。
 民主党の修正案は、第三者機関の「意見聴取義務」を「意見『尊重』義務」とする、その委員の中立性・公正性確保、そして公共事業の計画段階から情報公開・国民参加を促す枠組みの検討の明文化など五項目である。しかし、第三者機関の「中立性・公正性確保」と変っているが、国土交通省の場合では、第三者機関は国土交通省社会資本整備審議会である。事業者と認定省・行政が一緒、同一であり、自分で決め、自分で意見を聞くというのに等しい内容である。民主党の修正付加による賛成への転換によって法案が成立したことは、徹底して糾弾されるべきである。
 この後は、土地収用法の乱用を許さない闘いを強め、今回のようなネットワーク作りを強化していく必要があろう。事業者本位の収用委員会の廃止、地権者の権利保障、公共事業の計画・決定への住民参加、情報公開、そして計画・工事の中止へ権限を有する「総合アセス」の創出等を目指していく必要があるだろう。(S)