6・3〜4神戸

改憲への布石―地方公聴会に異議あり

   関西より改憲NOの声を


衆議院憲法調査会の第二回地方公聴会が、六月四日、神戸市のホテル・オークラにて開催される事を受け、『ストップ改憲!「神戸公聴会」を監視する実行委員会』による六月三〜四日の取り組みが行われた。
 前回四月十六日の仙台公聴会では、中山会長が「失敗だった」と述べ、朝日新聞で「国会の論戦と違って護憲論が優勢だった」と報道された様に、民主・公明推薦の陳述人までが改憲反対の陳述を行っていた。「神戸では改憲集会を」と右翼がさけぶ中での神戸公聴会をむかえ、「憲法を生かす会・神戸」等の神戸の市民団体を受け皿に、関西共同行動など、五・三憲法集会を取り組んだ関西の諸団体が統一実行委員会を起ち上げ、取り組んだものである。
 まず六月三日午後一時より、兵庫県中央労働センターにおいて、「改憲への布石『神戸公聴会』に異議あり!憲法調査会を検証する六・三神戸集会」が開かれた。会場は百五十名定員のところ約二百名近い参加者で、大いに盛り上がりを見せた。
 集会は、「『論憲』から改憲へ、憲法調査会の経緯と実態」と題して、憲法調査会監視センターの高田健氏から、憲法調査会、この一年半の経緯、憲法調査会が「つくっているもの」と地方公聴会の意味するもの、小泉内閣の登場と改憲へのいくつかの道―以上、四点の問題提起が行われた。
 次に公聴会での意見陳述者からの決意と、関西各地からのアピールが行われた。特に地元神戸からは、この時期の公聴会の開催が、阪神・淡路大震災の被災地・神戸で開催されることについて大きな関心を持っている。この一年間の「調査会」の論議の中で際立ったのは、「改憲派」からの「早く改憲を」の声ばかりである。今回の公聴会も「改憲」推進にむけた手続きとして、既成事実だけを積み上げているだけである。明日の公聴会は「改憲派」を圧倒して闘い抜くと、決意が表明された。
また大阪からは、今年三月豊中市における卒業式において「日の丸・君が代」に抗議しますと発言した教育労働者に対し、市教委当局が刑事告発するという前代未聞の事態がおこっている。これは戦前と同じ言論弾圧であり、身近にさしせまっている事例だと報告され、京都からは九条改憲こそ憲法全面改正そのものであるとアピールがなされた。
 今、小泉首相は八十%を超える支持率の高さを背景に、国会で堂々と「憲法を改正すべき」、「靖国神社へは公式参拝をする」と発言をくり返してはばからないのだ。集会は集会アピールを採択し、三ノ宮駅までのデモンストレーションと、駅前で明日の行動への情宣−ビラ配布を行った。
 翌四日十二時より、会場前のメリケンパークにて、統一集会が行われ、傍聴者団が紹介され、激励をうけて公聴会会場にに向かった。
 公聴会自身は、衆院各会派推薦八名、一般公募二名が各十分間、意見陳述をおこない、質疑が行われる形だが、各派推薦中四名が自治体の長という行政主導・偏重ともいうべき構成であった。
調査会としては、震災時には「危機管理」への対処として非常大権をもった有事体制や、それを前提とする新憲法をとの主張を期待したのだろうが、各長からは「地方にもっと権限を与えていたらもっと素早く対応できたのに」という主旨の発言がつづき、質疑の中でも地方分権が主張される形で終わった。改憲論は三名、明確に護憲を述べたのは、中北弁護士(社民党推薦)と浦部法穂神戸大教授(憲法)、そして、一般枠で・住民投票等で活躍している中田作成氏であった。
 改憲派にとっては、内容より調査会の活動(公聴会)が進んでいる実績づくりが必要なのだが、各地方からひとつひとつ反撃していく事が必要であろう。
 傍聴者団そして監視団は、公聴会後、兵庫県私学会館で、報告集会を約百五十名で持ち、二日間の行動を終えた。被災地・神戸、そして関西より改憲NO!の声を!
(関西Sa通信員)