野宿労働者自立支援法案 国会提出へ

    「特別立法」闘い取れ

 野宿労働者の運動は、今国会ないし秋の臨時国会において特別立法をたたかいとる大きな転回点にさしかかろうとしている。既に民主党が法案提出を決めているが、超党派での提出も模索されているようである。この三月の大阪の府・市両議会での特別法制定要求決議は、自民党まで含めた全会一致で採択されているのであるから、その可能性がない訳ではない。その場合には、今国会での通過もありうるようだ。
 運動内部において、特別立法を闘い取る方針に大きな抵抗があったし、ここまで来ても戸惑いは深い。そこには三つの根拠が在るように思われる。戸惑いの根拠の一つは、ブルジョア国家の治安管理的対処を過大に恐れ、国家の社会に対する総括力が衰弱過程に入っている側面を見ていないことである。治安対策的性格を抑え・自立支援を基軸に据えて仕事保障・生活保障の諸策を実施せしめる法制度の獲得は、充分可能である。戸惑いの根拠の二つは、特別法を十全に活用できるような運動構造(NPOなどの組織化)を実現できていないことである。この立ち遅れは、速やかに克服されねばならない。戸惑いの根拠の三つは、「仲間づくりの段階」に安住する態度である。闘争・事業・「仲間づくり」は一体のものであるだろう。闘争の制約要因にしてはなるまい。
  ところで大阪では釜ヶ崎反失連は、五月四日から大阪府庁前の野営闘争に特別就労の大幅拡大等を要求し突入する。現在、この十年の闘いの成果として、府・市より高齢者のための特別就労事業が、一日百八十名枠(昨年度延べ五万六十四名分)で出るようになっているが、登録した三千三百三名の野宿労働者からすれば、月二回程度の仕事しか回ってこない計算だ。七百名を超える労働者の参加が見込まれている。
 そして釜ヶ崎反失連は、法案の国会上程の際には、野宿労働者自立支援の特別法制定促進の闘いに連続的に入っていく構えでいる。特別法が、業者の経営を助けただけの「緊急日雇労働者多数雇用奨励金」制度のような代物とならないように、野宿労働者自身の声を突きつけていかねばならない。
 全国の仲間の団結で、野宿労働者自立支援の特別立法を断固として勝ち取ろう。(M)