5・19大阪

ナショナリズム煽動 税金無駄使いの東アジア東アジア競技大会に抗議

  オリンピック招致断念せよ

      天皇元首化へスポーツ利用


五月十九日、大阪にてスポーツを利用して、ナショナリズムを扇動する第三回東アジア競技大会の開会式反対行動が取り組まれた。
 東アジア競技大会は「東アジア地域でのスポーツレベルの向上や国際親善を目的とする国際スポーツ大会」との名目で、九一年に日本が提案し、作られたものである。第一回が九三年中国(上海)で、第二回が九七年韓国(釜山)で行われてきたもので、今回は十の国・地域(中国・韓国・モンゴル・台湾・中国香港・中国マカオ・グァム・カザフスタン・オーストラリア)から二千八百名の選手が参加して行われた。(朝鮮民主主義人民共和国は直前に不参加)
 一方でアジア大会がありながら、わざわざ東アジア地域を対象に競技会を作り出したのは、「この地域でアジアのオリンピックでのメダルの過半を占める」と説明されているが、大阪市が「二一世紀最初の春、新しい時代のオリンピックムーブメントが始まります。その第一歩が東アジア競技大会です」と言うように、オリンピック招致のための、官民あげた運動(組織委は大阪市・府・地元財界で構成。会長は関経連会長)のひとつにほかならないからである。
 実態は、皇族(高円宮)出席の下で、「日の丸・君が代」の開会式、二千人規模での開会式の集団演技、児童・生徒の観戦動員、一国一校運動・一国一商店街運動などの学校・地域動員、巨額の税金投入(総費用七二億円中、大阪市が三八億円負担)、三百名もの市職員の「組織委」への出向などなど、国体同様の天皇制を利用した、ナショナリズムを扇動する運動にほかならない。
 そのことが最も露呈したのは、「組織委」が小中学生向けに作成した、観戦ガイドブックに「日本は立憲君主制」「天皇は元首」と載せたことに示される。
 肝心のオリンピック招致は、大会直前の五月十五日の国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会発表の調査報告書で、大阪は低い評価となった。だが、七月のIOCモスクワ総会に向けて招致運動は続けるとし、「東アジア競技大会の成功がカギ」と、更に煽っている。
 「ナショナリズムをあおり、オリンピック招致の東アジア競技大会反対実行委員会」が主催し、十九日午前中、開会式会場大阪ドームの近く、大阪駅でビラ情宣が取り組まれた。午後一時には、港区の弁天町市民学習センター講堂にて、集会が行われた。 
集会参加は、「勝利号」にて大衆決起八〇名の釜ケ崎日雇労組や労働者共闘など、一二〇名になった。
 集会は労闘の吉田さんの司会で開かれ、まず主催者を代表して釜日労の藤井さんがあいさつを行った。「大阪市は、大会のため町内会動員をかけている。単にイベントへの動員のみならず、戦争体制への町内会動員の質をみていく必要がある。小中学生向けガイドブックに『天皇は元首の扱い』と記載されていた様に、天皇制を定着化させようとしている。スポーツを政治的に利用し、差別を更に拡大する動きに反対していこう」と、訴えた。
 実行委の吉田さんは、「東アジア大会は、オリンピック招致のための手段である。チケットは一万枚も実売されていない。町内会への割り当て、小中学生を授業で動員するというのが実態だ。」と、大会の実態を批判した。
 続いて反天皇制運動連絡会の天野さんが、オリンピック招致の危険性、最近の女帝論論議と改憲への連動の危険性について警鐘をならした。更に、京都反天皇制講座の寺田さんが、スポーツ大会の中で弱者に対する排除が徹底的におこなわれていることを批判した。つづいて四国の仲間より、また兵庫で神戸国体に反対する運動より発言があり、教育合同労組からは、卒業式での教員の「抗議します」との意志の発言に対し、教育委員会名で、威力業務妨害での告発(四月)という弾圧があり、これへの抗議の表明が行われた。
 集会参加者は、集会後の二時半より、開会式場の大阪ドームまで抗議のデモを貫徹した。 なお、集会に参加した部分を中心に、行動のあと、矢田解放塾にて、第三十一回反天皇制運動全国交流合宿が、翌二十日昼まで開催された。
東アジア競技大会やワールドカップやオリンピックなど、国際的スポーツイベントとナショナリズムの扇動問題、天皇制と「日の丸・君が代」、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書問題と、雅子妊娠を機に女帝論も含めたキャンペーンが繰り返される情勢について、討議が深められ、反対の取り組みの確認が行われた。
                   (関西S通信員、M通信員)