5・3憲法記念日

改悪阻止の共同すすむ

 

東京     日比谷公会堂あふれる

       生かそう憲法の大結集


「生かそう憲法 高くかかげよう第九条 二〇〇一年五・三憲法集会」は、五月三日午後一時より、東京・日比谷公会堂において、約五〇〇〇人―会場内外に人があふれる状況―の決起で開催された。主催は、護憲六団体を事務局とする実行委員会。
開会の挨拶を主催者代表の内田雅敏弁護士がおこない、これにつづいて諸団体から発言があった。
スピーチ・講演に移り、評論家の加藤周一さんから「憲法を育てよう。現実を憲法に合わせよう。平和・人権・主権在民は、憲法の柱である。押し付け論で改憲をおしつける反動と闘わねばならん‥‥」というスピーチを受けた。
 つづいて澤地久枝さん(作家)は、「沖縄での基地の実態、人民の熱い闘いに憲法(九条)の重要性を実感した」、「日本は五〇年間戦争をしなかったので死者を出していない。九条があったから勝手なことをやらせなかった。軍事基地を廃絶し、平和条約をアジアで全世界で結び、自衛隊を縮小し・廃止し、緊急救助隊にして、子ども・母性・福祉のために使おう」と、深い思いの決意を述べた。
 ついで政党から社民党首の土井たか子さんが要旨次のように決意のスピーチを行った。「かつての斎藤隆夫の反軍演説を思い、また今日の新たな闘う決意がみなぎっている結集の大きさに感激」、「九条、前文、そして九九条を何としても死守すること、首相公選制は、改憲が狙い。人権、平和、女性の問題を闘う人は味方で、反対するのは改悪勢力である。小泉首相にダマされてはいけない」、「社民党は昨日“平和構想”を発表したが、安保ではなくて“平和日本国家法”を国会決議し、九条国家を宣言し、各アジア・米欧諸国、ロシア、中国、朝鮮、韓国と平和条約を締結していくという画期的二十一世紀戦略を発した」と。
 これらは明らかに村山政権時の安保・自衛隊合憲論からの転換であり、好ましいものと評論すべきであるが、はっきりと反安保・反自衛隊での自己批判が無い方針転換でもあり、会場から“がんばれ!”と声援(批判!)がささやかれたのもうなづける。
政党の二番手として、共産党の志位和夫委員長が登壇し、「小泉首相の『自衛隊が合憲でないなどとは失礼だ。集団的自衛権については改憲をやるべきだが、改憲しなくてもやるべきことはやる』という発言を許すな」と強く決意表明し、「アメリカの要求に従って、小泉首相、山崎幹事長、中谷防衛庁長官は、集団的自衛権を実行するのが目的で改憲を目指している。単純な改憲ではない。アメリカに従属した集団的侵略を“国益”と言いくるめている。国益でも自衛でもない−それが問題なんですよ!」、「二十一世紀は平和の世紀です。九条を守って平和の世紀をつくりましょう!」と表明した。 しかし、これらの発言は、日本帝国主義の侵略・抑圧への批判が全く無くて、「安保・自衛隊棚上げ論」はそのままにしている。
  その後、カンパアピール、集会宣言採択、デモ指示と続き、閉会宣言を中小路元日教組委員長が行い、集会を終了した。
 そして、右翼・官憲による挑発・弾圧を毅然としてはねのけて、銀座通りを大デモンストレーションで席巻し、全体で闘いの開始を宣言したのである。 (東京Y通信員)

 

大阪   「九条実現」の論理で


五月三日、「憲法と戦争を考える5・3大阪のつどい」が、大阪市立住まい情報センターにて約二五〇名の参加で開かれた。主催は、憲法九条の会・関西と関西共同行動や、大阪YMCA、平和の手、護憲・大阪の会等を賛同団体とするつどい実行委員会。
集会は、憲法九条の会・関西の千本さんが、「ハーグ第三回世界平和会議で採択された十項の原則の一つに、『各国議会は日本国憲法第九条のような、政府が戦争をすることを禁止する決議を採択すべきである』がある。この事を生かしていこう」と挨拶。関西大学教員の黒田伊彦さんがスライド「リンゴの唄−焦土の中の日本国憲法」を上映し、憲法制定の意義について説明。
メインの講演は、元米海兵隊員で沖縄駐留経験があり、現在沖縄に住む元津田塾大教授のダグラス・ラミスさん(著書に『ラディカルな日本国憲法』)が行なった。ラミスさんは、「交戦権を否定している憲法九条の意味は大きい。ガイドライン、周辺事態関連法、日の丸・君が代法の後、九条改正の動きは大きくなりつつある。しかし逆に、日米安保・自衛隊がある限り九条は実現していないとの立場から『九条の実現』の論理で反撃する可能性・世界的意義は大きい」と述べた。
集会は最後に、関西共同行動の中北さんが、憲法前文の意義・精神を押し出し、憲法調査会の公聴会(六月四日・神戸)に取り組もうと訴えて終わった。(関西N通信員)