野宿者立法

大阪府議会の特別立法要求決議を勝ち取る

闘いは国政レベルへ

  三月二十二日の深夜、大阪府議会は全会一致で「ホームレス対策に関する特別法の制定等を求める意見書」を決議した。内閣総理大臣および総務・財務・厚生労働・国土交通各大臣あての意見書であり、内容的には「ホームレス問題の背景には、不況や雇用情勢の悪化など社会経済的要因があるため…全国一斉に実効性のある施策展開が行われなければならない。そのためには、自立支援施策とホームレスが多数存在する地域への支援、社会参加と発生防止を趣旨とする特別法を制定するとともに、基本指針の策定、財政措置など、国の責任の明確化と地方自治体の役割分担による事業実施を図る必要がある」と規定している。この決議は、大阪市議会決議に続くもので、都道府県レベルでは全国初の決議である。
 特別立法の動きは、九三年釜ヶ崎反失連が、府・市連名で国に対し「釜ヶ崎総合対策に関する要望書」を提出することを求めたことから始まり、立法化へは九九年、野宿を余儀なくされている労働者の経済的自立援助に関する要望の柱として、草案提起とあわせ「野宿生活者支援法(案)」の立法要求を掲げたことで具体化した。
 以降、数波にわたる野営闘争や交渉を重ねる一方、昨年十月には府議会に対し「釜ヶ崎を中心とする失業野宿者対策に関する件」としての請願(第四十三号)を提出、その第一項に「国に対し『野宿生活者自立支援法(仮)』の制定を求めよ」を掲げた。十月議会では継続審議になったが一方で十一月には連合大阪が「野宿生活者の自立支援の特別立法」と題するシンポを開催、更に今年になり、地方連合都市政策研究会(東京・神奈川・大阪・愛知・福岡)名で「特別措置法(仮称)」の立法化への提言が法案骨子とあわせておこなわれた。民主党をはじめとする諸政党への働きかけを強めると共に、昨年十二月四日の府・市への越年期要求、更には年明け四日の府・市への追加要求に掲げ、要求闘争、議会傍聴活動等数波にわたり闘い抜かれた。最終日にはなったが、請願を引く一方で議員提案により府議会自らが全会一致で地方議会決議を全国初で決議することになった。
 この地方議会レベルの動きは、速やかに全国化するだろう。闘いは、国政レベルの攻防へと入っていくことになる。

    釜・特別就労枠拡大を勝ち取る


 府・市議会とも予算審議の過程へ、反失連は「何よりも仕事を!」を目指し、高齢者特別就労の拡大・拡充へ要求行動を強めていった。二〜三月行動の中で、大阪市枠では十五名の通年拡大を勝ち取った。府に対しては、労働行政に責任ある立場を追及し、地域外就労で二十五名の通年枠拡大、更にセンター清掃が十五名増を勝ち取った。また、自立支援センターでの今までの三ヶ月の入所で一ヶ月の就労訓練、その後就職活動という固定した事業を、各センター毎十三名枠で通年の就労訓練活動に実態を変えていくことを確認した。
 三月末よりの再登録者は、二〇〇〇年度を大幅に上回り三千三百三名となった。そのため、前記のように就労枠が拡大されたとはいえ、焼け石に水であり、登録した労働者へ月一・七〜二・〇回しか仕事が回らないレベルに留まっている。特別就労事業の財源となってきた「緊急地域雇用特別対策基金」は二〇〇一年度末で終了することになっている。最低でもつきに五回の特別就労を年度内にも保障するためには、国に対する財源措置への要求も必要になってくる訳である。
 一方昨年十二月末開所した長居公園避難所には三月末で延べ一五四名が入所、現在百三十一名が在所している。十名枠のシェルター内の清掃と夜間巡視に、入所者が輪番で就労している。その他の労働者は、従来のアルミ缶回収や銅線バラシなど各自が必死に仕事をしている。入所者自身が交流と団結を深め、入所者討論を持ち、NPO釜ヶ崎と共に要求書を提出、所外就労枠の設置や所内生活条件の改善を勝ち取りつつある。
 大阪市は、元厚生省の方針を受け、二〇〇一年度予算で大型シェルター建設を打ち出しているが、反失連は、二十四時間利用飯補助付き小規模シェルターや低家賃住宅確保の要求を突きつけている。


  5・1釜ヶ崎メーデー

 五月一日、第三十二回釜ヶ崎メーデーが、釜日労・反失連の呼びかけにより、七百名の結集で闘い抜かれた。

 今年も、大阪城での連合メーデー会場清掃に百名、毎日の特別清掃事業に二百名の労働者が出ており、合わせて一千名となる。集会では山田委員長が、六月野営闘争と特別立法を勝ち取る闘いを提起した。(大阪S通信員)

    5・1新宿メーデー
    
 全都野宿労働者統一行動実行委員会の主催による第七回新宿メーデーが、東京・新宿の柏木公園で、五百名の結集により開催された。
 全都実の笠井さんから集会基調が提起された。
 「去年のメーデーは、自立支援センターを作れ、と要求してたたかった。そして昨年十一月から新宿寮、台東寮が開設されるなど成果を勝ち取った。今年は、『対策の拡大・拡充を』ということで闘っていこう。
 都は、『ホームレス白書』を出して本格的な対策をやると言うようになった。国も、国の責任を認める法律を作ろうとしている。このような流れを、われわれは作ってきた。
 今年は、要求闘争の第二段階にはいる。仲間のための事業を俺たちの力で創り出していく。やり直しの出来る社会を作る、世直しを底辺からやる、という決意で闘っていこう」と。
 集会参加者は、「屋根をつくれ」「仕事よこせ」と新宿公園までデモ行進を貫徹した。(東京M通信員)