転換するアメリカ帝国主義の軍事・外交政策

    呼応した安保強化の粉砕を


  
   世界支配政策、その各方面で転換
  
 米帝・ブッシュ政権の軍事・外交政策が、実践的に展開されだした。それは、アメからムチへ、世界支配秩序を維持する手段の重きをシフトさせ、クリントン政権時代の政策からの転換を鮮明にしつつある。
 米帝・ブッシュ政権はまず、二月十六日のイラク空爆をもって、全世界にこの政策転換を宣言し、諸国の政権に政策転換に備えるようメッセージを送った。
 三月七日には、米・韓首脳会談が開催された。この会談でブッシュ政権は、朝鮮民主主義人民共和国との対話路線の見直しを明確にし、韓国・金大中政権に対して「対北政策でどんな前進をする時も、事前に米国と協議すること」を確認し、単独行動をとらないよう釘を刺した。
 パレスチナ和平問題でブッシュ政権は、三月二〇日の米・イスラエル首脳会談において、「和平を強制はしない」との態度を明らかにした。またブッシュ政権は、パレスチナPKO設置案に対して、それがイスラエルに不利と判断し拒否権を発動した。
 ロシアに対してブッシュ政権は、イランなど反抗的な諸国への兵器・軍事技術の輸出を停止するよう誘導する、石油資源をめぐってカスピ海周辺諸国に対するロシアとの覇権争奪を強める、ロシアの核物質管理強化・民需転換への援助を大幅に削減する、等々の態度をとりだした。そして三月二十一日、ロシア外交官五〇人に対し、米国から退去するよう通告した。
 ブッシュ政権の軍事・外交において大きな比重を占めるのが、巨大市場としても軍事的警戒対象としても存在感を増した中国に対する態度である。ブッシュ政権のラムズフェルド国防長官は三月二十三日、ロシアの衰退と中国の台頭に対応して、第二次大戦後一貫して維持してきた欧州主眼の戦略配備を転換し、太平洋重視に移行することを明らかにした。
 米帝の軍事・外交政策のブッシュ政権誕生を契機としたこのような転換は、当然にも、中国・朝鮮半島をにらみアジア支配秩序の維持に当たる太平洋米軍の前方展開を支える日米安保体制の強化を不可欠とするものである。ブッシュ政権は、九六年の日米安保再定義、九九年周辺事態法制定と歩を進めてきた日帝に対して、集団的自衛権の行使・日米共同戦争体制の確立へ決定的な決断を迫らずにはいない。

   追随・呼応する日本帝国主義

 三月十九日、ブッシュ・森の日米首脳会談が開催された。この会談の特徴は、次の点にあった。
 第一は、二〇世紀最後の十年を通した米国経済の好景気が後退局面に突入し会談直前に世界同時株安の事態が生じたことを受けて、経済建て直しの問題が中心議題になったこと、日本の労働者人民に一層の犠牲を強いる不良債権問題処理が確認されたことである。
 第二は、日米安保体制の共同戦争体制への「拡大・深化」の為に、米原潜によるえひめ丸撃沈事件を契機とした対米批判を両国政府が共同して封じ込め、沖米軍基地の再編・強化と有事立法を重ねて確約したことである。
 第三は、朝鮮民主主義人民共和国に対して日米韓が協力対処し、米国の意向の枠外での単独行動を日本もとらない旨再確認したことである。
 総じて日米首脳会談は、米帝による国際反革命同盟体制の再編・強化の重要環としてある日本軍事力の動員計画を再確認しつつ、グローバル資本主義への日本市場の開放の飛躍的推進を促すものとなったと言えるだろう。そこにおいてわれわれは、ブッシュ政権になって軍事・外交路線を大きく転換しだしている米帝の下では、日米安保体制再編・強化の単なる再確認も、意味合いが異なってこざるを得ないことに留意しなければならない。

   名護の新基地阻止し、海兵隊撤退を

 米帝の傲慢にして強圧的な世界支配の態度が、そしてそれと連携した諸国政府の支配のあり方が、この時代の諸民族・人民に受容されるはずはない。米帝によってこれからの時代の世界戦略の最重要環に指定されようとしている沖縄・日本における民衆の運動は、全世界の民衆との連帯を深めつつ新たな局面に入っていくに違いない。
 既に沖縄では、県と全ての市町村議会で、超党派による海兵隊削減・撤退決議が採択される状況になっている。SACO合意の枠内での「削減」なのか、名護の新軍事基地建設阻止を含む「撤退」なのかの分岐も、進行していかざるをえない。日米安保体制打倒、米軍基地撤去、憲法改悪・有事立法阻止へ前進しよう。