2001年・春闘 ぎりぎりの中小労使だが…

  腹据えて反撃しよう


「緩やかな回復傾向」とか「個人消費は回復の兆し」が見られるとか、新聞紙上には政府発表のこんな記事がときどき載っている。中小企業に働くわたしたちにとっては、なにか別世界の出来事のようだ。
会社の経理部門はいつも手形の支払いに追われていて、社長は営業社員に対して売り上げが少ないことで、最近ほとんど毎日怒鳴りちらしている。組合員も含めて従業員全体が、会社の今後について不安と危機感をもって見つめているというのが現状だ。
昨年来、従業員が都合で退職したのに対して新たに人員を補充しなくなってきた。減員したままの職場で仕事をさせてきている。まとまった残業をしなければ仕事をこなし切ることができない、という状態がしばしば生まれている。今では一人の労働者が二つの部署の仕事を掛け持ちでしなければならない事態が、恒常化するようになっている。
一昨年以来、わたしの会社では利益が伸びていないことを理由にして、賃上げはほとんどゼロ状態で抑えこまれてきた。物価上昇が低かったこともあって、なんとかやり繰りしてきているが、年令が増すにつれて組合員の方では親の世話をしたり、子供にカネがかかったりして生活費の支出が増しており、賃上げなしには生活費の一層の切り詰めを覚悟しなければならない状態に陥ってきている。
会社が大変なのも判っているが、中途半端な交渉をしていては、労働者の生活も権利もおしつぶされてしまう。
今春闘は腹を据えて反撃しなければならないと覚悟している。賃上げが軸となるが、同じ比重で残業など時間外労働に対する対策を要求していかなければならない。経営が厳しくなっている分、賃上げ交渉はむずかしくなっている。同時に経営が厳しくなっている分、労働者に対する締め付けやしわ寄せが厳しくなってきている。
放っておいてはやられっぱなしになる。会社もギリギリの状態になっているので、組合の側もギリギリのところで、交渉していかなければならない。
春闘は、日本中の労働者が闘争に起ち上がるということで、われわれ中小企業の労働者も闘争に起ち上がりやすい環境にある。賃上げを含め、職場での最優先の要求項目を掲げて腹を据えて反撃する。組合の春季攻勢としてたたかいとりたい。
(中小企業労働者T)