重信さんの帰国に思う(元共産同赤軍派M)

 

   昨年十一月、重信房子さんが逮捕され、帰国していたことを知った。
 元赤軍派のメンバーとしては、二〇世紀の終わりと重なるこの「事件」に、朝鮮に渡ったメンバーの帰国が現実化し出していることと合わせて、時代の区切りというものが見事に到来するものだと不思議な感慨を持たざるを得なかった。彼女自身も、法廷から発したメッセージを読むと、新たな出発を画すために帰国したようである。それはそれで結構なことだと思う。
 私は、彼女達がどんな性格の党派になっているのか、余り知らない。どこかで民族民主革命路線に転換したようなことを読んだ記憶がある。赤軍派の軍事第一・テロリズムの路線の反省が、安易な幅広イズム(主観的願望)へと流れた例は多い。
 もっとも、まだ「日本赤軍」を名乗っているところから見ると、根底的な反省は出来ていないと言うことだろう。そしてまた、赤軍派―日本赤軍の根底的総括をしたところで、日本の労働者人民の運動からの召還・遊離を導いたテロリズム―「国際根拠地建設」路線を体現してきた自己の存在形態そのものを転換させない限り、どうしようもないという現実がある。この転換を開始したということなので、注視していきたいと思う。
 また支持基盤の問題もある。「日本赤軍」を国内で支持してきた流れの出発点は、七〇年代の総括論争において赤軍派の破産を認めず、テロリズム―「国際根拠地建設」路線の応援団に止まった人々である。この構造を引きずる限り、それは「よど号」グループにも言えることだが、良い結果は期待できない。支持基盤の再編は、彼女達の転換を計るバロメーターになるだろう。
 ともあれ、頑張って欲しいということである。われわれ、つまり労働者共産党内の元赤軍派メンバー(主に「大菩薩」グループ)は、強運にも、ブント―赤軍派の破産の総括を足掛かりにこの三〇年、国内で実践して来ることができた。この位置から得た成果と教訓を、当時の同志たちには、共有できなくとも伝える責務があるだろう。
 最後に、重信逮捕と警察の二波にわたる大掛かりなガサ入れに抗議しておく。そしてわれわれが、二〇世紀の苦々しくも貴重な教訓を武器に、社会の根底からの変革の胎動に依拠して、革命の時代を必ずや切り開く決意であることを明らかにしておきたい。