日教組全国教研

最終答申先取りの東京都教育長へ

   「帰れ帰れ」の大合唱


教育改革国民会議が十二月二二日に最終答申をだして、それへの対応が注目されている日教組は一月二七〜三十日、東京で教育研究全国集会を開催した。
今次教研は、朝鮮戦争さなかの五一年に第一回が開催されて以来、五十回目の記念すべき全国教研であり、「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンの現代的意義が問われる集会であった。
一日目の全体会では、榊原長一日教組委員長が「教育の力で共生の世紀に」との視点から主催者挨拶を行なった。その中で最終答申について批判し、「焦点である教育基本法については、改正ありきの方向に大きく舵を切り『教育を政争の具』にする意図が見え、警戒する必要がある。」「問題を起こす子に対する教育方策として隔離と排除の方向、地域コミュニティの崩壊につながる学校選択自由化、改善されないと判断された教員は他職種への配置換えや免職措置…これらは、子どもや学校の実態・背景を踏まえることなく国家主義的な色彩を強める内容の提言になっている」と述べた。
しかし、その批判発言には迫力がなく、対決する姿勢は何ら感じられなかった。委員長は続けて、日教組の意向が反映した教育改革の意義と七月参院選勝利の大切さを訴えた。それが教育反動に対決する日教組の態度であるかのように。文部科学省の「教育改革」にパートナーとして協力する路線を突き進む日教組中央は、組織を挙げてたたかうという姿勢を失っているのである。
現在、教育現場では、最終答申が先取りされ次々に実施されている。とりわけ東京都では、成績主義による人事制度の見直し(定期昇給の見直しを含む)、人事考課制度の導入、校長の権限強化、勤務時間割り振りの改悪、研修制度の改悪等様々な攻撃がなされ、日教組東京四単組(東京教組、都高教、都学校事務職組、都障害児学校労組)などが厳しいたたかいを展開している。
にもかかわらず、日教組中央は全体会に来賓として、こともあろうに都教育長・横山洋吉を招待し、発言させているのである。教育反動推進の当事者に来賓発言をさせているのである。
これへの教育労働者や市民の抗議の声は、会場の有明アリーナにこだまし、「帰れ帰れ」の大合唱になった。これは一昨年の岡山教研、昨年の金沢教研にも見られない出来事であった。政府・文部科学省に合流せんとしている日教組中央への怒りの声でもあった。
一月末に始まった今国会の焦点の一つは、教育関連法案の審議である。政府が、この学校教育法等の改悪から教育基本法の改悪に登りつめようとしているのは明らかだ。地域の労働者市民と手をつないで、教育反動を許さない運動を今こそ前進させよう。
(日教組O通信員)