新年アピール

 経験と教訓の20世紀を総括し、万国の労働者と団結して、

        世界革命の時代を切り開こう

            労働者共産党 中央常任委員会


読者・友人のみなさん、革命をめざす同志のみなさん、新年・新世紀おめでとうございます。
旧年は、結成まもない私たち労働者共産党に激励をいただくとともに、新しい労働運動・反失業闘争、沖縄軍事基地撤去闘争、各地域での労働者人民の陣型づくりなどなどで共にスクラムを組んでたたかうことができ、ありがとうございました。本年、新世紀の一年目はいよいよ、平和憲法改悪阻止のたたかいが重大局面を迎えると予想されるなど、連帯の拡大と一層の奮闘が問われていると考えます。
さて、こうした諸課題に普段は追われているとはいえ、新世紀の元旦ともなると、日常の忙事から目線を上げ、過去と未来を想いやり、私たちのたたかいの根本を問い直すこと、思想的に大局を見ることが重要、とおもわれます。
二十世紀をどう総括し、二十一世紀をどう展望するのか──さまざまな政治的・階級的立場から、何事かが語られています。これは、思想戦線での階級闘争の一つでもあります。
  主要なマスメディアやブルジョア民主主義者の多くは、支配階級の意を受けて、おおむね次のような観点を流布しています。
〃社会主義のユートピアは、最早完全に終わった。しかしグローバルな市場経済も決してバラ色なのではない。地球環境破壊、地域紛争、南北格差など国境を越えた課題は山積している。革命の幻想は終わったが、市民による着実な改革の努力が問われている〃と。論者の多くは、こうした立場に立っています。また、マルクス主義の立場から、こうした社会改良主義の立場へ移行した人びとが少なくないことも、世紀末の特徴でした。
より右翼的な勢力が台頭していることも、軽視できません。かれらは、「戦争のできる国家」づくりをすすめる日本支配階級の先兵となりながら、天皇主義・国家主義・民族排外主義という十九世紀的な反動で二十一世紀に臨もうとしています。都知事石原もその一人ですが、日本資本主義の内外環境がきびしさを増すなか、こうした右翼反動を徹底的に粉砕することが問われています。
一方、「科学的社会主義は破産していない」とする日本共産党現代修正主義者は、どういう立場に立っているのでしょうか。かれらは、昨年十一月の大会決議で次のように述べました。
「二十一世紀は、資本主義の是非そのものが、世界的規模で問われる世紀となるだろう」。しかし、「二十世紀に人類がかちとった世界史的な進歩は、その全体が、二十一世紀に新しい体制への発展を準備する歴史的意義をもっている。民主主義、民族独立、世界の平和秩序の発展は、人類が新しい社会体制にすすむ力強い土台となる」ことを忘れてはならない。だから、「社会主義への展望」においては、具体的には「『資本主義の枠内での民主主義的改革』という、当面の課題の実現に正面から挑」むことが前提なのであると。
──これでは、先述の、資本主義の存続を前提とした社会改良主義の立場と、実践的には大差がありません。また思想的には、二十世紀の、あるいは資本主義の、発展的な否定、弁証法的な否定になっていません。特徴的には、労働者人民の歴史的獲得物でもありブルジョアジーの支配制度でもあるブルジョア民主主義に対して、それを永遠化し、丸ごと肯定する立場に立っています。
私たち労働者共産党は、これらの改良主義、ブルジョア民主主義、右翼反動、現代修正主義などの観点に反対し、二十一世紀が革命の時代であること、世界資本主義から世界社会主義への移行の時代であることを、確信をもって表明します。
まず第一に言わなければならないことは、共産主義とは想定された理想状態を地上に実現せんとするユートピア思想ではなく、眼前の資本主義の現実を徹底的に批判し、その現実から新しい現実を再構築せんとする運動である、というよく知られてはいるが歪曲されやすい基点であります。
資本主義社会が人類史の歴史的な一時代にすぎないとすれば、その次の新しい社会はどのような社会であろうとしているのか、それを現実の矛盾の発展としてつかみだし、その発展を促進すること、そのポイントを「万国の労働者団結せよ!」として押し出し実践するのが、共産主義運動であると言えます。
資本主義は確かに永遠ではない、しかし未来は不可知である‥‥‥今はやりのこうした観点は、批判的思考の停止であり、何も実践しないことの言い訳、あるいはやみくもな活動の正当化であるにすぎません。
第二に言わなければならないことは、二十世紀総括の最大のテーマと言ってよいソ連などの社会主義の挫折と崩壊をどうみるか、ということです。
この問題について私たち労働者共産党は、日本の新左翼にありがちなように、″破産したのはスターリン主義だ、真の社会主義は不滅だ″というような安直な観念論には立ちません。私たちは、党の出発にあたっての「共同声明」(一九九九年六月)において、「ソ連崩壊の事態について、それがそこに行き着いたこれまでの国際共産主義運動の再検証と国際共産主義運動の現代的再構築とを、われわれに要求する事態であることを確認する」と共に、「マルクス・レーニン主義の現代的発展を勝ち取らねばならないという強い課題意識」を表明しています。
大局的に見ると、二十一世紀の世界社会主義革命の時代の先き駆けとして、二十世紀には、ロシア革命をはじめとする社会主義革命・社会主義建設のさまざまな偉大な実験、試行が行なわれました。武装した労働者人民の自治としてのソビエト権力をはじめとする、新生事物が一旦は生み出されました。それらの実践が所期の目標に到達できず挫折した諸要因については私たちも一定の見解をもっていますが、結局、それらの実践は多くの経験と教訓を二十一世紀に遺しました。現代の共産主義運動は、これらの教訓の上に立つことができるので、本質的には、レーニンの時代よりもより強力になっているとすら言うことができるのです。
また付言すると、私たち労働者共産党は、崩壊したソ連体制はその時点ではすでに社会主義ではなかったという見地、社会主義の後退・変質の上に成立した「社会帝国主義・官僚制国家独占資本主義」であったという見地に立っています。私たちの「共同声明」では、こうしたソ連体制が、重化学工業化の時代には物質的生産力の発展の上で一定の有効性をもちえても、現代の経済的・政治的・文化的な要請には適合できない体制であり、その崩壊が必然的であったことを解明しています。
このソ連崩壊で世界はどうなったのでしょうか。世界資本主義は繁栄の時代を迎えたのでしょうか。そうではありません。「共同声明」は述べます。「ソ連崩壊と中国の改革・開放によって促進された世界資本主義の統合過程‥‥は、現代帝国主義の最新局面となっている。この現代帝国主義の世界統合は、資本主義的帝国主義の史的発展の最終局面であり、世界共産主義革命の客観的条件を成熟させるものである。」「団結した国際プロレタリアートが、国際独占資本を収奪し、新しい世界秩序の建設者として登場する時代が近づきつつある」と。
そのように私たちは確信しています。もちろん、私たちもすべてを見通しているわけではありません。断定できないこと、分からないことがたくさんあります。分からないことがあるから、認識は発展するわけであります。
しかし、確かなことは、私たちは、みなさんと同様、よりよい世界をめざしてたたかい続けるということです。
この決意の共有を確認して新世紀のあいさつとさせていただきます。

二〇〇一年 元旦
労働者共産党中央常任委員会