船舶検査法成立を弾劾する

十一月三十日、船舶検査法案が与党三党と民主党の賛成で成立した。この法案は、武力を持って海上を封鎖し経済制裁を厳しく実施するため、船舶の積荷と目的地を検査し、航路・目的港・目的地の変更等を強制するという活動を合法化するものである。
 そもそもこの法案は昨年、戦争協力法である「周辺事態法案」が国会に上程された際、その一部に含まれていた。当時は、船舶検査活動の実施要件に関して、「国連安全保障理事会の決議」が必要だとした公明党の主張と米帝を軸とする多国籍軍による軍事介入の場合にも実施できるようにすべきだとした自由党の主張の間で折り合いがつかず、この法案部分だけ切り離され(周辺事態法の本体は成立)先送りされたのだった。
 今回の船舶検査法案は、国連安保決議がなくても「旗国(対称船舶の船籍が置かれている国)の同意」があれば、自衛隊による「船舶検査」ができるものになっている。公明党が戦争協力に一段と踏み込んだことで衆院通過となった訳である。
 周辺事態法―船舶検査法案は、米帝が国際反革命同盟体制の内に反抗的諸国家を組み込む政治、ブルジョア民主主義・市場開放・市場経済など多国籍企業の行動の自由を保障する制度を受け入れさせる形態で組み込む政治に、日帝がその武力行使的領域で協力・貢献する為の法律である。そしてこの政治の性格こそが、民主党を含め国会の圧倒的多数を戦争協力法の賛成へと導いた主要な要因でなのである。
 これらの法案に対し、日帝が「天皇制ボナパ的」「ファシズム的」「植民地拡張的」戦争を再び繰り返そうとするものであるかのように批判する態度は、「神の国発言」的勢力が残存している限りでの部分的妥当性しか持ち得ない。軍事介入なり武力行使の政治性格を批判できず、絶対平和主義の立場から「戦争反対」を唱える態度も、限界がある。われわれは、敵の政治を根底から覆していくたたかいを構築していかねばならない。
 周辺事態法・船舶検査法の発動を阻止していく運動を、地域から作り上げていこう。(M)