国労闘争

  勝利的解決へ踏ん張ろう


 JR採用差別事件について十一月八日、東京高裁が九七年の地裁判決を上回る不当判決を出し(判決は、JRは使用者でなく不当労働行為責任を問えない、さらに国鉄による採用名簿作成において組合差別があったことをJR設立委員会が知り得たとしても、JRに責任なしなどとしている)、また十一月十六日にILO第二次勧告が出た。
 ILO第二次勧告の内容は、第一に、「全ての関係者に対し、当事者にとって満足でき、関係する労働者が適正に補償される解決に早急に到達する目的で、JRと国労の交渉を促進することとなる条件を示している四党合意を受け入れるよう、強く要請する」と共に、第二に、「ILO第九八号条約(団結権・団体交渉権の適用条件)が定める反組合的な差別行為に対する保護は、採用時および雇用終了時を含めて雇用期間中のあらゆる時において、組合差別に対する保護を保障している」という原則を確認する等となっている。
 このかん国労自身は、九月下旬の組合員一票投票で「四党合意」受け入れ本部方針への支持がかろうじて過半(五五%)となり、それを受けて十月二八・二九日に定期大会を開いた。定期大会では、「四党合意」反対の国労闘争団と組合員による批判によって、また一票投票で四〇%近くの反対・保留があったことによって、具体的解決案が一向に提示されないまま「JRに法的責任なし」を認めることへの本部自身の動揺も示され、またもや「四党合意」受け入れを決定することができず、「休会」となった。
 これで「四党合意」は言わば賞味期限が過ぎた、とおもわれたところで、11・16ILO勧告が出た。
 今回のILO勧告で、「四党合意」支持が入ったのは、日本政府の働きかけや一部主張採用によるものであるが、それは「関係する労働者が適正に補償される解決」を前提とし、それに役立つものとして「四党合意」を解釈したものであり、勧告の主旨はあくまで、JR移行時の組合差別是正に置かれているのである。そのことは、勧告が九八号条約の原則を再確認して、日本政府が国鉄時代の選考だからJRに責任なしとしていることを退けていることからも明らかである。第二次勧告によって、政府・JRは早急に具体的解決案を提示する責任を、さらに負ったといえる。
 予想された高裁判決、「期待はずれ」のILO第二次勧告で一見、国鉄闘争はいよいよ厳しくなったようにも見えるが、必ずしもそうではない。
 「四党合意」への対応で対立があるにせよ、国労の分裂は敵が喜ぶだけである。国労闘争団の団結と自立を軸に、勝利的解決へ踏ん張っていくべき時だ。すべての労働者は、いまこそ国鉄闘争に連帯しよう。(W)