11・11〜19

 均等待遇2000年キャンペーン

 「間接差別」排除へ


「均等待遇2000年キャンペーン日英シンポジウム」が、十一月十一日から十九日にかけ、東京・名古屋・大阪・福岡で開催された。
男女雇用機会均等法により、募集・賃金表などでの直接的な差別はできなくなったが、採用区分・雇用形態など男女をうたわない実質的な男女の区分けが横行し、実質的な男女差別が解消されていない。このことに対し、イギリスで実施されている「間接差別」の禁止から学び、日本における女性差別を解消する取組みとして、このシンポが実施された。主催は、均等待遇2000年キャンペーン実行委員会。
イギリスから、講師としてアリス・レナードさん(機会均等委員会=EOC 法律助言部長)と、イレーヌ・ライス・ドネリーさん(マンチェスター雇用審判所審判長)のお二方においでいただいた。
十一月十一日の東京集会などでは、東京都立大学の浅倉むつ子さんが、開催にあたって「均等待遇への新しい世界」と題し、2000年キャンペーンの趣旨、経過を報告し、イギリスの性差別禁止法と同一賃金法に関する概略説明を行なった。
続いて、アリス・レナードさんから、間接差別の説明および間接差別と認められた事例説明があった。
資料から一部紹介すると、「間接差別とは外形的には公平であるが、不均衡な結果をもたらすような基準・規定・慣行が実施されているところに発生する。間接差別が発生するのは以下のようなときである。
・要件、慣行、条件が外見上は(性)中立的。
・慣行が女性にも男性にも平等に適用される。
・しかし、男性よりも女性の方がそれを充足しにくい。
・女性がその条件を充足することができないため、女性にとって不利益となる。」
また、イレーヌ・ドネリーさんからは、雇用審判所における同一価値労働・同一賃金に関する具体例の報告があった。
同一価値労働・同一賃金の実施にあたっては「職務評価分析が差別的にも非差別的にもなり得る」ことが、具体例をあげて指摘された。
つまり、評価の要素(項目のたて方)により結果に重大な差が出てくるため、間接差別禁止の原則から女性が不利になるような要素を排除しなければならないと。
イギリスにおいても、審判には多大な時間と経費と労力(心労も含めて)が必要とされるため、審判に頼るよりも運動によって実現をはかることが必要であろうとの見解も披瀝された。
また、男女間の全体的な賃金格差の縮小には、最低賃金を引き上げることがより効果があることが強調された。
キャンペーン実行委員会は、今年一月から、パート法を改正して「均等待遇」を明記させる等の運動をすすめている。
法律の整備を勝ち取る運動を進めると同時に、法律があろうがなかろうが、間接差別を許さない個々の取り組みを積み重ねることが必要だと感じた。 (A)