カデナ包囲行動総括し団結を固めよう

 沖縄の未来は沖縄が


 十月二一日、県内移設阻止県民会議の主催による「名護市への新たな基地建設に反対する総決起大会」が開かれ、那覇市・与儀公園に約二千人が集まった。
 県民会議としては久しぶりの集会・デモであり、沖縄サミット後設置されてきた代替施設協議会など政府側の動きに、広範に対決するための行動である。十一月十二日投票の那覇市長選挙をふまえた行動でもある。
 県民会議は、平和運動センターなど労組、平和市民連絡会など市民団体、県政野党などによる最も広い枠組みとなっているが、いぜんその動きはにぶく、この日の集会も結集が低調である。
 集会では、那覇市長候補の堀川美智子さんも連帯あいさつ。今、那覇のいわゆる革新市政を守れるかどうかは、非常に重要である。自民党側は、サミット攻勢に次いで那覇で勝利することによって、基地容認の流れを作るチャンスとしている。以前と違うのは公明党が自民側であること。
 その候補者の翁長雄志は、今春の県議会で「一坪反戦地主排除決議」を強行した張本人である。反基地運動の立場からも、翁長を敗北させないわけにはいかないのである。那覇市民は十二日、こぞって堀川さんに一票を!
 これに先立つ九月十八日、平和市民連絡会は総会を開いた。
 崎原盛秀事務局長が、サミットを利用して基地の県内移設・強化をもくろんだ日本政府に対抗し、昨夏三十四団体が結集して連絡会を作り、諸行動をすすめてきたこと、とくに7・20カデナ基地包囲行動によってサミットを圧倒したことなどの総括を述べた。
 新崎盛暉代表世話人が、カデナ包囲の「指令塔なきたたかい」の勝利について説明し、平和センターのもたつきがあったが、それでも二万七千の人々が人間の鎖を作った、それは民衆の危機感があったからだ、等を述べた。
 総会は、サミット対抗というたたかいの第一幕を終え、名護への移設阻止に全力をあげるための、市民連絡会の再出発(個人加入を認めるなど、より開かれた会とする規約修正等)を確認した。
 ここで、カデナ包囲へ到る過程での問題点について補足しておこう。最初、昨夏に市民運動の側から、サミット対抗のための「平和サミット」や普天間あるいはカデナでの「人間の鎖」が提案された。自治労なども包囲行動を主張したが、全体の動きはまだだった。今年二月、しびれを切らした市民連絡会は、基地包囲行動実行委結成の呼びかけを準備。ここで平和センターが動揺し、同乗を希望して、まったをかけた。社会認知度の高い平和センターの参加は、もちろん望ましい姿である。
 四月十一日、第一回の実行委員会が開かれ、包囲行動をいったんは七月二二日と決定。平和センターはその日程でカデナ包囲を発表した。ところが五月八日の実行委で、平和センターによって「7・22」は「7・20」に変更される。

 この一連の流れは、平和センターのサミット対抗での日和見主義であると共に、市民運動への悪賢い介入・支配の打算を示すことは明らか。一連のゴリ押しを行なったのは、平和センター事務局次長の岸本喬氏である。
 この五月八日以降、七月に入るまで平和センターは動き出さなかった。平和市民連絡会や傘下単組の追及によって、7・20を目前にしてようやく岸本氏らは動き出したのであった。
 政治的には、カデナ包囲の成果は、岸本氏の功績ということになった。彼は平和センターのトップでもないし、またかっての六九年2・4ゼネストの亀甲氏のような、労組の責任者でもない。そういう彼が、強引に決定変更を行使できるというのでは、平和センターの責任体制はどうなっているのか。外部には、奇異に写らざるを得ない。今後の市民団体との関係、県民会議にも関わることであり、指摘せざるを得ない。信頼関係をとりもどし、団結を固めてほしいとおもう。
 このかんの沖縄のたたかい、九五年の八万人県民大会から今年の7・20に到るたたかいは、結局、沖縄の未来を沖縄人が自分自身の手でたたかい取ろうとしていることを証明しているといえる。政党的・選挙的な選択などではなく、沖縄民衆の歴史的選択だからこそ、持続している五年間なのである。
 一方では、東京の頭で、東京の肌で、沖縄の大衆運動を考え、組織をいじくり回す傾向が(右にも左にも)あることも事実である。
 その代表例としては、上原康助氏を挙げることができる。彼は全軍労をはじめ沖縄に強固な地盤を作り上げていたが、いつのまにか、沖縄の反戦平和を東京に対して言うのではなく、東京の立場で沖縄にものを言うようになっていた。
 かって米軍の銃剣に対峙した全軍労が近年は、「基地で働きながら基地撤去を言うのは疑問だ」と言い、沖縄基地労働者の根幹的立場を放棄した。そのイデオロギーは、日本政府によって、市民運動に対する対抗イテオロギーとして利用されている。
 十月二八日、全駐労は大会を開いて連帯ユニオン(自治労など)を脱退し、連合沖縄への一本化を決定、また中部地区労からの脱退も決定している。民主党による、東京によるイニシアチブであろうが、この時期の沖縄に身をおく者の発想としては、政治感覚を疑う。
 ともあれ、問題はつきないとはいえ、沖縄民衆の、基地なき沖縄への自己決定の基調は流れ続けていく。カデナ包囲に示された沖縄民衆自身の力量をさらに打ち固めよう! 自信を持って巨大な団結をたたかいとろう!  (T)