9・22〜23

第12回コミュニティ・ユニオン全国交流集会

地域労働運動を次の世代へ 

第12回コミュニティ・ユニオン全国交流集会が九月二二日から二三日、大分県大
分市で開催され、北海道から鹿児島まで全国から三〇〇名余りの仲間が結集した。本
集会では20世紀の労働運動の成果を21世紀にどうつないでいくか、を意識的に追
求した興味深い意見が多くの仲間たちから出され、活発な議論が繰り広げられた。
まず開催地域の大分地区を代表して大分ふれあいユニオンの穴井委員長が開会の挨
拶を行い、全国ネットワークを代表して北海道地区の鈴木代表が発言した。来賓のあ
と活動報告と2001年度方針提案が、高井事務局長から出された。
 報告と方針提案は、この一年間で地域・地方のユニオンが連携を進めながら自立的
活動を展開していることを評価した。北海道地区の協力体制、首都圏では神奈川県央
に新ユニオンが結成され、一日行動などが定期的に行われていること。関西のネット
ワーク拡大や訪韓団派遣、全国的な派遣労働ネットワークの形成などが強調され、東
京管理職ユニオンのネットワーク加盟があったことが報告された。
また労働規制緩和反対、労働法改悪阻止のための様々な行動展開が報告され、日本
政府が未だに批准を拒否しているILO175条約(パート条約)の早期批准と、パート労働

基準作りの報告書を出した労働省の「ものさし研究会」の活動や内容に対して厳しい監

視が必要であることが強調された。
 さらに安全衛生分野などさまざまな課題で活動するNPOや弁護団との連携が強化さ
れていることが報告され、アメリカ労働運動を学ぶ訪米団が組織されたこと。オルグ
塾が全国運営委員会主催で開かれたこと。ホームページを持つ組織が増えており、
労働相談の内ホームページからのアクセスが3割を越えている組織もあること。100ユニオン、
組合員20000人目指してがんばることが確認された。
 続いてパネルディスカッションが行われ、「労働運動の挑戦・地域労働運動の創
造」と題して四名のパネラーが発言し、全体で討論を行った。20世紀後半の日本の
労働運動が
作り上げてきた地域労働運動を、次の世紀にどう発展させるかという問題意識が各パ
ネラーの発言から感じ取られ、非常に興味深いものとなった。
 神戸ワーカーズユニオンの黒崎さんは、地区労が作ったユニオンが低迷していた中で

神戸大震災を経験し、その中でしゃにむに活動した経験を総括して以下のように
述べた。
1.労働組合だけでなくホットラインなどをやっていた仲間と共同で活動した。
2.連合は未組織労働者、女性の首切りをわがことの問題として考えられなかった。
3.全国の仲間の支援と全国集会神戸開催に勇気づけられた。
4.今までは攻撃に対する防御の運動が主だった、これからは政策提案型が重要だ。
 連合宮崎コミュニティユニオンの熱田さんは、今なお健在な地域共闘を紹介した。
そして、
1.組織作りのためにはさまざまな手法を勉強すべきであり、全建総連など特徴ある
組織化を参考にすべきだ。
2.地域からみると、中央統制と組織化は産別の責任でやるべきという連合の体質は
問題である。組織は大きいだけでは尊敬されない。県評時代から比べてオルグの数は
三十名から五名に減らされてしまった。と、連合に対する問題点をあげた。
 弁護士の中野麻美さんは、「IT革命とは国境を越えた労働者の安売り競争促進化で
ある。規制緩和は、集団的規制の撤廃を主張しており、闘いとられてきた人権ルール
を根底から破壊する。」
 『地域からマーケットを人権で規制すること』が重要な対抗軸となる。アメリカで
行われているLiving Wage(最低賃金とは異なった人間として必要な生活給を地方で
制定していく)運動は大変参考になる。NPO団体との連携も必要だ。あるアメリカの
NPOはLiving Wageの経済効果を肯定的に評価して提言していた。」などと提案した。
 連合組織局長の高橋さんは、日本の労働組合がこの五年間で八十七万人減ったのに対
し、アメリカのAFLO-CIOは十五・五万人増加した。彼らは組織拡大のための予算を三
%から三〇%に増額した。日本の組織化は100人以下の職場と、パート労働者が
ターゲットである。連合は、このためのインフラ整備を次のように思い切って行おうとしてい
る。
1.オルグの配置(オルグの評価基準はどう行動したのかではなくどう拡大したのか
におく)
2.リタイア・オルガナイザーのの全国配置(組織拡大如何によって賃金評価が決ま
る)
3.労働委員会弁護団制度の着手金制度を連合が設定する、などを考えている。
 これに対し会場からは、自治労の小畑さんが、コミュニティというのは「地域」と
考えてきたが、もともと「社会」という意味もあるから「職」にこだわることも必
要。職能にこだわりながら、Living Wageの問題も考えたい。また国際連帯は非常に
重要である。地域にこだわりながら世界的視野で行動するユニオンを目指そうと発言
した。
 東京管理職ユニオンの設楽さんは、「連合の話を聞いて、連合はグローバル化にふみ
きったと感じた。我々も敵と同様グローバルに闘う。どの領域にも侵出しよう、事業
体などを作っていくことも大切」、と訴えた。
 集会二日目は八つの分科会に別れて活発な議論を交わした。そして、一年間元気で
闘い、来年は三重の地で21世紀のユニオン運動のスタートをきることを確認した。(H)