大阪・長居公園

 批判集中ー遅ればせの避難所計画説明会

 強制排除反対!野宿者の要求を

釜ヶ崎での反失業闘争で、釜ヶ崎就労・生活保障制度実現を目指す連絡会(釜ヶ崎反失連)は、秋の府・市議会を見据え、来年度予算への行政の対策を迫るべく、請願の形をとりながら闘いに入った。今秋の要求(請願)骨子は、一、国に「野宿生活者自立支援法(仮称)」の制定を求めよ、一、国に「緊急市域雇用特別基金」の期間延長と予算規模拡大を求めよ、一、大阪府下自治体野宿生活者対策連絡協議会を設置せよ、等を重点に他に中高年層の失業対策についての諸施策の要求となっている。釜ヶ崎での反失業闘争は、一方で九月より拡大された枠を含め、毎日約二百名の高齢者特別清掃事業の運営と、三角公園隣りに設置された六百名規模のシェルター(臨時夜間宿泊所)と北テント「二百二十名規模」の運営を一日たりとも崩さず実施しながら闘われている。
 さて七月末「長居公園適正化」対策の一環として出されてきた「仮設一時避難所」建設案を巡る動向では、釜ヶ崎反失連が市に対し、一、公園野宿生活者に対し、早急に説明会を行い、声を直接聞き、野宿生活者にとって真に有効な施策を行え、一、強制撤去を行わない、の二点を突きつけた。
 また、釜ヶ崎キリスト教協友会は、一、当事者の声を聞くこと、一、法外援護ではなく、生活保護の適用を図れ、一、強制追い立て・排除を前提とした施設建設をするな、一、当事者との話し合いにより計画を見直す、の要求を市に突きつけている。釜ヶ崎の運動主体は、「一時仮設避難所」そのものを撤回させる主張を含みつつ、公園での聞き取り・集会などを行なっている。
 一方九月十二日、周辺地域の住民団体から市長への要望、市議会および各政党に対する請願が提出された。「よりよい長い公園を目指す市民の会」「東住吉区長居公園を考える会」の二団体が一万八千名の署名を集め提出したものである。陳情内容は、公園での調査結果も示し、野宿者自身も避難所への入居は望んでいないとし、野宿者の生存権は認めるが公園での生活権は認めぬという立場で建設計画の中止を求めたものであった。建設促進とする町内会の動きもあり、市議会では前者の請願は採択されず、促進請願が採択された。
 大阪市は、このような状況の中でやっと九月二十六日、長居陸上競技場で野宿生活者への説明会を開くに至った。現地での説明会を要求して一ヵ月にしてやっと開催された。説明会も聞き取り調査もしてこなかった大阪市の態度に対し、約百五十名の参加者から批判が集中し、大阪市は具体的な計画案を説明することすら出来ずに終わっている。
 前号にて報告したように、計画そのものが、シェルター要求が出された時期からすでに数年を経ており、全く遅れたものになっている。府下一万五千名に及ぶ野宿生活者の生活のひとつとして定着しているブルーシートのテント生活に対し、計画は全く不充分なものである。仮設一時避難所後の自立支援センターからの就労、という計画も全く見通しのないものである。強制排除を排しつつ、野宿労働者の声を直接聞かせ、真に有効な施策を迫っていくことが問われている。(大阪A通信員)