二中総 総括決議

       
昨年六月の労働者共産党の結成大会および第一回中央委員会総会から、一年近くが経過した。共産主義者同盟と日本共産党(マルクス・レーニン主義)との統合による労働者共産党の結成とその一年は、旧両派の階級闘争に貢献する力量を大きく強化すると共に、ソ連崩壊以降とくに混迷の度を深めていた日本の左翼勢力のなかに一定程度の積極的なインパクトを与え、先進的な左翼の党派・グループ・個人による来るべきより大きな統合へ向けて、それを推進する一つの重要な足場を確立することに成功した。ここ一年間の闘いの成果のポイントは、そのように断言することができる。
第二回中央委員会総会の任務の一つは、このかんの中央常任委員会の活動を点検しつつ、わが労働者共産党の結成一年の経験を総括して、次の前進へ党建設をすすめていくことである。


1、結成大会以降の経過的総括


結成大会で、旧両派の中央メンバーが合同した形での中央委員会が選出され、一中総で中央委員会常任委員会(以下、党中央と略)が選出された。党中央は常任委員候補を含めた比較的多人数の構成で確立されたが、その機動性に問題はあるものの、これは旧両派の幹部が団結を深めるうえで当面必要な態勢であった。党中央は七月以降、事務局をはじめとする中央諸機関を次々と設置し、機動性ある事務局の機能を活かした党中央の日常的指導体制が作られた。
結成大会でその公表が多数意見を占め、党中央に処理が委ねられていた党規約公表問題は、七月の拡大常任委員会において討議・採決で決着が付けられ、機関紙上にも公表された。組織防衛に関わる公表反対意見の趣旨をふまえつつも、団結・統合を広くはたらきかける我が党として、規約の公表は完全に必要な措置であった。
旧両派の地方組織が重なっていたのは、首都圏と関西地方であった。

地方組織の統合は関西が八月に、首都圏が十一月にそれぞれ第一回地方党大会を開催し、統合された地方委員会を持つ地方党を確立した。新しい地方党指導部の下に、細胞レベルの再編・統合がすすめられ、旧年内にほぼ完了した。新しい首都圏党、関西地方党はその党勢をほぼ倍加した。これに旧来からの地方組織を併せると、我が党は初歩的な全国政党として出発することができている。
以上の中央レベルから細胞レベルまでの統合過程は、おおむね順調に進行した。
    (中略)

 我が党結成に対する党外の評価については、おおむね共産主義者の団結・統合を支持・歓迎するか、あるいは当然の動きとして認識するか、の反応となっている。しかし、それらの好意的反応を示すマルクス主義的な勢力自体が現状ではかなり小さくなっており、我が党に呼応する動きを過大に期待することもできない現状にある。新入党者をはじめ、我が党に接近・合流しようとする部分も若干現われてはきたが、その数は少なく、今後の我が党の能動的働きかけ抜きには、党勢拡大もありえないと見ておくべきである。
いま現在、時間と共に、旧両派の成員間の融合と信頼、なんでも批判しあえる関係は深まりつつあり、我が党の団結は一層強固になってきていると言うことができる。これまでの左翼の経験では、統合後まもなくして再分裂する例が多い。我が党結成への先進的な労働者人民の歓迎・支持を裏切ることなく、より大きな統合へ進んでいくためには、さらに我が党の団結を発展させることが基盤となる。
そして、我が党の団結を政治的・組織的に発展させていくためには、統合が成功した要因とその教訓、また結成大会諸決定の意義などについて、ここで確認しておくことが重要である。

2、統合が成功した要因と、その教訓

統合が成功した要因としては、日本革命の政治路線を要とする綱領の上で、また日本革命に勝利するための基本的な闘い方すなわち戦術の上で、また党規約の諸原則すなわち組織の上で、すべて基本的一致が得られたことをまず第一に確認することが必要である。綱領・戦術・組織についての基本的一致がなければ、いかに活動作風や人的信頼関係があったとしても、革命政党として団結していくことは難しい。今後の統合政策においても、これらの基本的一致を統合の最大の条件としていくことが必要である。
第二の要因は、旧両派のこれまでの党建設での各総括においても、大枠での一致が得られたことである。今後の統合政策においても、各々の党建設の正反両面の教訓について、相互に了解しあえることが重要である。もちろん、今回の我が党の統合のように統合する各派の組織系譜が異なり、過去の党大会など組織実践を共有していない場合、総括の細かい一致が必要であるわけではない。今回の統合は、日本共産党からの革命的分派としての各々の党史における、これまでの党建設の意義と失敗を総括し、ブントと毛沢東派の「歴史的役割が既に終了していることを確認」(共同声明)して、革命的左翼の抜本的再編をかかげている。このように、今回の統合が必然的で必要な歴史的到達点であることを我々が共有化できたことは、我が党の統合をきわめて強固にするものであった。
第三の要因は、ソ連崩壊後の情勢変化と左翼の混迷を背景に、共産主義運動を新しい内容をもって再建していく必要性について、共通の課題意識があったことである。それは、綱領・戦術・組織でのこれまでの基本線の一致だけでなく、その基本線の再検討をも考慮に入れた発展・豊富化、21世紀の共産主義運動へ挑戦する姿勢である。ひるがえって、旧両派の若干の見解・政策の違いは、ソ連社会帝国主義の崩壊など大きな情勢変化によって相対的に小さくなり、一つの党内での異見として扱うことが可能となった。今後の統合政策においても、前途の大きな課題の共有化に目を向け、旧来の党派性から来る相違を過大に見ることのないようにする必要がある。
第四の要因は、旧両派に長年にわたって団結・統合を模索してきた経過があり、幹部間に政治的信頼関係があったことである。このことは、統合成功の要因としては一定の特殊的性格をもっているが、たんなる人的関係ということではなく、このかんの党派再編の経過での共通する立場があった。今後の統合政策においても、再編過程での立場の接近を政治的信頼関係へ高めていけるような働きかけが必要となるだろう。

3、労働者共産党結成の現在的地平


すでに述べられたように我が党の結成は、日本の共産主義者と先進的労働者の本格的な団結・統合を促進する上での一つの重要な足場を作ったという政治的地平を持っている。それでは、それを保証する結成大会での内容、綱領・戦術・組織での現在的地平はいかなるものなのだろうか。このこと自体、次の党大会へ向けた党内論議の対象そのものであるべきだが、二中総としては以下の諸点を共通認識として確認するものである。

(1)綱領上において
第一に、日本革命の政治路線についてのこれまでの正しい規定を堅持していること。「当面する日本革命の基本任務と性格は、日本帝国主義ブルジョアジーとその国家権力を打倒し、アメリカ帝国主義を一掃して、プロレタリア階級独裁を樹立する社会主義革命である。」(共同声明、以下同)。この日本国家権力は「アメリカ帝国主義によって軍事的に補完され」「一定、統制支配されている。」
第二に、国内外の党派闘争において、現代修正主義との党派闘争の根幹性を再確認していること。「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想などを行動の指針としてきた共産主義潮流を継承・発展させ、現代修正主義と引き続き闘」う綱領的見地を確認。
 第三に、「マルクス・レーニン主義に対しての清算主義に反対するだけでなく、その教条主義にも反対し、マルクス・レーニン主義の現代的発展を勝ち取らねばならない」とし、これまでの国際共産主義運動の再検証とその現代的再構築の必要を確認していること。その端緒はすでに、情勢の現代的特徴の一つとして「発達した資本主義諸国では労働者の欲求の特徴が、物的豊かさを中心的に追求することから、人間の自由な発展の実現へ、地球環境破壊の阻止へシフトし始めた」と規定していること、社会主義建設の要点を「社会的分業への隷属からの労働者人民の自己解放をおしすすめ、労働者人民の自治能力を全面的に発展させつつ、統治するものと統治されるものの矛盾に弁証法的に対処し、国家死滅の客観条件を一歩一歩成熟させ」ると規定していること、それを指導する党の位置付けを「プロレタリア階級独裁権力の上に立つ公的地位を必要とするものでなく、統一戦線に結集する労働者人民の支持と信頼にのみ依拠して、社会主義建設をおしすすめる」と規定していること、等の諸点にも示されている。

(2)戦術上において
日本革命の基本的戦術を、「労働者人民の革命政権を樹立するために、日本プロレタリア階級の階級的統一を強化し、プロレタリア階級を中軸とする全人民の統一戦線を形成する」として、これまでの正しい規定を再確認していること。そしてさらに、「現代的な統一戦線のあり方を追求する」としつつ、「ここ当面の日本革命運動の統一戦線戦術は、日本労働運動の再建を軸として、全国各地に地域的統一戦線の形成をおしすすめ、全人民の統一戦線の形成を準備することである」として、より具体的に確認していること。戦術の現在的な実践方向が一致されていることは、党の団結にきわめて有利である。

(3)組織上において
党規約の根本的性格を、「党は、階級敵と闘う政治的戦闘組織であると共に、一人ひとりの自立した共産主義者の自覚的な結合体であり、『批判の自由と行動の統一』を組織原則とする」と明確にしていること。さらに、「新時代の党組織のあり方を創造していく」姿勢を確認し、その一端として、規約第十八条[少数派の権利]が規定されたこと。これらは、民主集中性をめぐる新旧左翼の混乱に対する、我が党の現段階での実践的回答でもある。

以上の結成大会諸決定の特徴的な諸点は、新旧左翼のこのかんの論議を充分ふまえて打ち出されているものであり、我が党の現在的到達点を明らかにするものである。今後の課題は、この地平を今後の実践のなかで、革命的左翼の団結・統合のための論争を含めた党の実践のなかで検証し、さらに正しいものへ高めていくことである。
我々は統合によって、党勢においても、大衆運動工作においても、党機関活動においても、ほとんどあらゆる面で強化された。とくに確認すべきは、旧両派がバラバラのままでは獲得することが困難であった左翼再編・統合の前衛的役割を、ある程度我が党が果たせるように成ってきていることである。こうした党の政治的地位のかなりの向上に比べ、依然として我が党の力量は非常に小さいのである。当建設上の当面の諸任務を立派に遂行し、党の政治的・組織的力量を前進させなければ、団結・統合の呼びかけは無責任なものになりかねない。
すべての同志諸氏が、革命派のより大きな統合という我が労働者共産党の責務を改めて自覚し、我々が切り開いた地平をさらに前進していこう!      (以上)