5・20〜21日韓共同シンポジウム

  米軍基地なき韓国・沖縄・日本を


韓国・光州(クワァンジュ)民衆抗争からこの五月に二十周年をむかえ、光州を中心として盛大な記念行事が行われた。民主主義民族統一全国連合(全国連合)をはじめとした民族民衆組織から、光州市行政府が参加した半官半民の行事などが、多くの日本人の参加も含めて盛大に行われた。
これらの韓国における行事が終了したあと、五月二十日、二十一日に東京で、全国連合のオ・ジョンヨル常任議長をはじめとした代表が参加した「日韓共同シンポジウム」が、日韓共同シンポジウム実行委員会主催で開催された。
第一日目の二十日は、江戸東京博物館で約百名が結集して討論集会がおこなわれた。集会は、日本側からは日韓民衆連帯全国ネットワーク(日韓ネット)の吉松繁代表世話人、韓国側からはオ・ジョンヨル常任議長がそれぞれ挨拶をし、韓国代表者がそれぞれ紹介された。
ハン・チュンモック全国連合執行委員長から、四月十三日の韓国総選挙および南北首脳会談についての報告をおこなうホン・スンソック氏(民族の自主統一と民族生存権保障のための青年連席会議共同代表)とソン・ミヒさん(全国連合女性局長)が紹介されていった。
総選挙については、日本でも話題となった総選挙市民運動連帯による「落選運動」と、進歩政党について報告された。落選運動については、ソウル首都圏では機能を果たしたが、地域主義の壁を崩すことが出来ず既成政党に利用されてしまったこと、また選定の基準があいまいで、逮捕経歴だけを基準とするなど国家保安法を問題にしなかったこと、国家保安法による逮捕歴経験者も含まれてしまっていたことが報告された。
また民主労総が政治勢力化をめざした民主労働党は、二十一名が立候補し、平均十三パーセントの得票率を得ながらも当選者を得ることが出来なかった(ホン・スンソック氏は、ウルサンで応援の活動をした)。しかしながら、既成政党の選挙運動とは違い、政策をおしたてた運動によって、選挙の中で民主労働党に入る人が増えた。
 当選者を出せなかったことも含めて、民主労働党の限界を次の三点で指摘した。 自主、民主、統一の理念をはっきりさせねばならない、 反米・反米軍基地と統一の問題を選挙戦で有利にならないと判断してか、これらのことに触れないようにしていた、 党員を選挙戦を通じて組織することが出来なかったことが指摘された。この報告でも、民主労働党が総選挙直前に結党され、綱領・政策の深化と党員の組織的活動が不十分であったことが明らかとなった。民主労働党の今後の発展を注目すべき、と締めくくった。
ソン・ミヒさんからは、六月に行われる民族最高位級会談(民族のあいだでの会談なので首脳会談という表現には問題ありとの指摘)について報告された。
まず、この会談を闘いの延長で見ていかなければならないと指摘した。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、アメリカとの関係改善のために、南北高位級会談のカードを切った。なぜなら金大中をパートナーとしては見なしていないからである。それとともに、国家保安法を実質的に取り崩すことを狙っている。国家保安法は、北朝鮮との敵対を前提とした法律であるから、この会談自体が保安法に触れることとなる。文民政権である金大中政権の限界は、この国家保安法の撤廃を政権担当時から触れようとしなくなったことである。これが金大中をして、朝鮮戦争による離散家族の問題だけを取り上げようとする姿勢に現れている。南北の平和的自主統一のためには、金大中政権は国家保安法を撤廃しなければならない。
韓国民衆の意識は、反金大中、反北が底にあり、会談にどう反応するか見ていく必要がある。そのためにも、全国連合や民主労総などが進める民衆大会や、連邦制統一のための市民の会の闘いを組織している。その中心をなすのが、国家保安法の撤廃と在韓米軍の撤退の問題であると報告した。
これらの報告を受けてハン・チュンモック執行委員長は、「今年は国家保安法の問題が大衆的な問題となってきた。全国連合は、運動を一つにして米軍撤退問題を取り組む。全国連合がこれを執行する」と表明した。そして具体的、実践的連帯を訴えた。
二日目の二十一日は二百名以上を集め、機械振興会館に会場を変えて開催された。この日は「米軍基地のない韓国・沖縄・日本を!」というスローガンを掲げたシンポジウムの主旨どおり、韓国側からはハン・チュンモック全国連合執行委員長、パック・ジャクホン青年連席会議祖国統一委員会委員長、沖縄からは新崎盛暉沖縄大教授、そして非核市民宣言運動・ヨコスカの新倉裕史さんからそれぞれの発題を受けた。
韓国側からは、光州事態における米軍の果たした積極的役割のみならず、朝鮮戦争から現在に至るまでの民衆に対する米軍犯罪を明らかにし、在韓米軍の撤退の闘いの取り組みを提示した。また沖縄の反基地闘争が、韓国の米軍撤退闘争に力強い指針を与えてきたことを表明した。
沖縄、日本における米軍基地は、日米両帝国主義の東アジア侵略の要であり、韓国の米軍基地と一体に機能を果たしていることが、それぞれのパネラーによって明らかにされた。最後に日韓共同シンポジウムのアピールが参加者全員の賛同をうけて採択された。
(東京S通信員)